【ネタバレ注意】ガラスの仮面第3巻その⑦【演劇なんか辞めておしまい!】

      2016/07/31

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「たけくらべ・劇団つきかげ」ガラスの仮面・劇中作品データ
「たけくらべ・劇団オンディーヌ」ガラスの仮面・劇中作品データ

劇団オンディーヌの稽古を見て以来、
マヤは自信を喪失していた。
姫川亜弓の美登利にかなわないと思うのだ。

稽古もやりたくない
亜弓さんほど上手くできない
とてもやれない

稽古すら放棄する始末。
そこに突然現れる月影先生

「マヤ!戦う前から試合を投げ出す気!?」

演劇は試合なのか初めて知った。

「亜弓さんの方が才能があって上手いとわかっているのに、
これ以上あたし続けられません!」

「ではおやめ!演劇なんか辞めておしまい!
 自分で才能がないと思うならやっていても仕方の無いこと!」

普段は厳しい言葉で自信をなくさせるほど追い込むにもかかわらず、
「己の才能を信じる」的なポジティブシンキングをも求めるという
鬼の月影千草。

「そんなに嫌ならもう何もやらなくてよろしい!
 みんな必死に稽古しているというのに目障りです。」

そういいながらマヤを引きずって来たのは敷地内の物置?

「地区予選が終わるまで稽古に出なくてよろしい!
 それまでここに入っていなさい!」

マヤの顔面にたけくらべの台本を投げつけると物置に監禁。
木枯らしの吹く真冬の夜にである。

「たけくらべなんか・・・!
 あたしには才能なんかないんだわ!
 もう・・・演劇なんて・・・」

台本を破り捨て泣き崩れるマヤ。

誰かが窓ガラスをたたいて合図する。
さやかが毛布と晩ご飯と懐中電灯を持って来てくれた。
月影先生は激怒。マヤを絶対ここから出すなと厳しいお達しがあったらしい。

二人が話しているのはさやかの肩ほどの高さにある、結構大きな窓である。
構造ややり取りを見るに、内側からカギをかけている様子。
絶対脱走できるやん。

「先生あたしを嫌いなのかしら?目の敵みたいに怒ってばかり
 あたしにばかりいつも厳しくて、あたしにばかり辛く当たる・・・」

「うらやましいわ
 それだけ先生はあなたに見込みがあると思ってらっしゃるのよ
 今にわかるわ。先生も何かお考えがあってのことなのよ」

中学生にして早くも自分に見込みが無いこと、
そしてこの後その他大勢として埋没して行くであろうことを教えられる。
劇団つきかげの格差社会恐るべし。

マヤはまんじりともしないまま、
毛布にくるまり物置で朝を迎えた。
その日は朝から冷え込みがきつく、夕方からは雪が降り出した。
窓からは稽古をしている劇団メンバーの姿が見える。
凍える、そして退屈きわまりないマヤ。

「みんなに揃いの鞠を買おうか?」

ふと破り捨てた台本の台詞を読んでみる。

「違う!なんだか違う稽古の時と!
 稽古のときは気取ってとりすました感じだったけど、
 声の調子を変え、目つき表情をほんの少し変えただけなのに
 まるで明るい下町の娘・・・」

当たり前のことに今気づいたマヤ。
稽古のときは原作を意識するあまり、そして姫川亜弓を意識するあまり、
美登利になりきることばかり考え、役を作ることを忘れていたのだ。

「できる。できるわ・・・
 同じ台詞でもずいぶん美登利の性格が変わってくる。
 動き!そうだ動きも同じこと。
 ほんの少しの動きの差で、さまざまな性格を演じ分けられる・・・!」

演じ分ける技術は持っているにもかかわらず、
役を作るという根本的なことに気づかない天才。

「あたしの美登利と亜弓さんの美登利は違う!
 作るんだ役柄を。あたしにはあたしの美登利の仮面がある
 あたしの美登利の仮面が・・・・!」

大事なことを二回言った後、一心不乱に台本を読み出すのであった。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第3巻・風の中を行く