【ネタバレ注意】ガラスの仮面第3巻その⑧【これは戦いです】

      2016/09/24

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亜弓の演じる美登利に恐れをなすあまり稽古を放棄し、
月影先生に物置に監禁されたマヤ。
暇すぎるあまり先ほど破り捨てた「たけくらべ」の台本を読み出す。
ふと我に返るマヤ。
稽古の出禁を喰らい、役を下ろされ、監禁されたのだった。

「かまわないわ。あたしにあるのはお芝居だけ・・・!」

一心不乱に台詞を反復するマヤ。

「照れてなんかいないよ!
 よしとくれ美登利さんおいらをからかうのは!」

物置の扉の向こうから聞こえる声。

「さあ続きはどうしました?マヤ」

なんと雪の降る中扉の向こうにいるのは月影先生。

「余計な無駄口はおやめなさい。
 私もちょうど演劇の稽古等やりたくなっただけです。
 稽古には相手が必要でしょう。
 気の済むまでやり合おうじゃありませんか。

いきなり喧嘩腰で臨戦態勢の月影先生。
そして「亜弓さんの美登利に勝てるようになるまで」
マヤは物置を出ることが出来ないという何とも漠然とした条件を提示される。

姫川亜弓の様な天才に勝つ方法はただ一つ。
天才亜弓の演じる原作そのままの完璧な美登利とは全く別の美登利を演じること。
新しいタイプの美登利を作り出すことにより強烈な印象を残すことが出来る。
しかしこれは完璧な美登利を演じるより遥かに苦しく難しいことだった。

「どんなことがあってもついてきますねマヤ」

「ええやりますあたし!どんなことになったって!」

否と言わせない見事な誘導尋問。

「いいことマヤ。ドア一枚隔てて外と内。
 あなたが先に参るか、私が参るか、これは戦いです。
 あなたが参れば演劇を捨てここを去りなさい。
 私が負ければもう一度美登利の役を与えましょう。」

どうしても芝居の稽古をバトルにしたがる月影先生の術中にはまるマヤ。
そしてどう考えてもマヤの方が不利なタイトルマッチが始まった。
そもそも月影先生が負けるというのは、美登利の役づくりに成功することなのか
それとも体力の限界を迎えることなのかもよくわからない。

「その台詞をちょっと怒った風に言って。」
「からかうように」
「困ったように」
「今度は健康的に笑いながら」

次々と繰り出される大喜利をクリアするマヤ。

「思わず吹き出したようにもう一度」
「今度は付け足しのように笑って」
「クスクス笑って」
「このシーンはその笑い方にしましょう」

どうやら月影先生も役づくりの方向性を理解していない模様。

そして何人もの役を代わる代わる演じマヤの相手を務める。
キャラクターによって声色を変え、演技を変え、
しかもドアを隔てて誰も見ていないというのに顔芸もつけて。
さすが往年の大女優。
人が見ていようがいまいが、演技は常に全力投球。
まるで何人もの役者がいるように錯覚する演技を披露し、

そして咳き込む。

月影先生の病気は心臓が痛む以外に咳も出るという合併症の疑いもあり。

そんな二人の様子を眺める寄宿生達。

「あの子を物置に放り込んだのはあの子を冷静にさせ
 自分を見つめ直させるためだったんだ・・・」

「まるで正気の沙汰じゃないわ・・・先生もあの子も」

至極真っ当な感想。

そして昼も夜も何日もこの戦いは続く。

「来る日も来る日もよく続くわね。」

「なんだかあの二人・・・あたし怖いわ」

至極真っ当な感想。

そして夜も眠らない特訓の中、ついに月影先生ぶっ倒れた。

マヤ勝利!

とはいかない。
ドクターストップがかかり、劇団員が稽古の代わりを買って出ても、

「もう少しで美登利が生まれる
 新しい美登利が・・・・」

月影先生は負けを認めない。

そして雪がようやく降り止んだ朝。
月影先生は雪の中にぶっ倒れ、麗に抱きかかえられたまま
たけくらべのラストシーンを迎える。

「そして下手より人々の声・・・
 ライト美登利を包むように次第に暗くなる
 幕・・・・・・」

気を失った。
マヤの役づくりのみならず、照明のプランニングまで行うという徹底ぶり。

そして麗達が物置を開け、中に入ると同じく気絶しているマヤ。
まる5日間もかけて通し稽古を行ったのだ。

「みてよ・・・この子・・・
 笑ってるわ・・・・」

麗・美奈・泰子・さやかドン引き。
そして結局どっちが勝ったのか?
なし崩し的にマヤの勝ちと言うことらしい。

「それは・・・
 全日本演劇コンクール東京地区予選の大会の一週間前のことであった」

劇団つきかげの無鉄砲ぶりと調整不足を露呈して第三巻は終わる。

続く

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第3巻・風の中を行く