【ネタバレ注意】ガラスの仮面第6巻その②【田淵エミじゃない、あの子をアップにしろ!】

      2016/07/31

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いよいよ撮影当日。
マヤが出演する病院のシーンは本物の病院を借りて撮影が行われる。

「白い青春譜」ガラスの仮面・劇中作品データ

そして本番。
足を引きずるマヤの演技に誰もが注目。
この病院の入院患者と間違われるほどの演技力だ。
ズルズルと効果音付きで引きずられる足には
スタッフも主役も撮影を忘れ目を引かれる。

「おい、あの子の稽古はこのためだったんだ・・・
 左足を忘れる為だったんだ・・・・」

気づくの遅すぎ。

その時ロケ現場に来客が。

「これは・・・演出家の田辺先生」
「やあこの病院でロケをしてるときいてね。あの子は?」

映画人と舞台人の交流。
そしてマヤがオーディションでは落ちてこの患者役にキャスティングされたことを説明。

「君たちの目は節穴かね?」
「え?」
「あの少女はかつて全日本演劇コンクール東京地区予選で
 姫川亜弓とその演技で互角に戦い、
 しかも一般投票一位という経歴の持ち主だ。
 私はその時の審査員の一人だ。」

そらお芝居一本まるまる見た人と、
ただだか数分のオーディションの台詞を見ただけでは、
節穴とか言われても。
しかも一位とか互角とか結果だし。
そして全国大会の一人芝居については語られておらず、
この田辺先生も節穴と言わざるを得ない。

そんなマヤの演技に主演の田淵エミちゃんは硬直。

「アップだ!アップにしろ!
 田淵エミじゃない、あの子をアップにしろ!」

本番中に絶叫しながら指示を出す監督。
録音部さん後で大変やろな。

そしてカメラが向けられたことにも気づかないマヤ。

「そうよやるわ・・・
 私はやる・・・!
 たとえどんな小さな役だって
 それは明日への第一歩。
 明日へのレッスン!明日への!」

演技中に演技以外のことを考え、
しかも「小さな役」「レッスン」と割り切る大物っぷり。
それなのに度肝を抜かれる関係者全員情けなすぎ。

撮影終了。マヤの演技は監督スタッフ絶賛。

「じゃ君会計事務所でギャラもらって帰りなさい。」

即日即金払いというキャッシュフローの早さ。
そんなマヤを見つめる田淵エミ。

「こうも違うものかしら
 真剣に演劇を学んでいるあの子に比べて
 私の演技はまるで芝居ごっこ・・・・
 演技をするってこんなもんじゃない・・・
 もっと真剣でもっと厳しいものなんだわ・・・
 甘かった・・・・
 恥ずかしい・・・恥ずかしいわ・・・」

こうしてマヤの演技とそのひたむきな姿勢は、
アイドル田淵エミに至極当たり前のことを気づかせ、
そしてその存在意義すらも疑わせるのだった。

自宅に戻ったマヤは初の出演料でつきかげのメンバーにケーキをごちそうする。
ここのキャッシュフローも至って早い。
自身の演技がお金になったこと、
そして何より教科書代が払えることを喜ぶのだった。

一方姫川邸。
イギリスロケの父親に帯同を懇願する亜弓。

「イギリスに行って有名な劇団、演劇アカデミーを見てみたいの。
 国際的な演技感覚を身につけたいの」

ちょっと見に行っただけで
国際的な演技感覚を身につける予定の姫川亜弓。
大女優の母・姫川歌子はもはやライバルだ。

「じゃあママ、いつか私が紅天女をやってもいい?」

「ほほ・・・それだけの女優になれればね。
 今のあなたにはとても無理よ。」

そういう歌子さんも紅天女にはなれなかったという辛い過去があるのか。
表情とは裏腹にその言葉は厳しい。

・紅天女は人間の心を忘れなければ演じられない難しい役。
・亜弓の才能はママも買っている。
・しかし才能だけではどうにもならないものがある。それは経験。
・経験の積み重ねが新しい役を生み出す。
・多くの演劇経験が才能を磨いて行く。紅天女はそれからのこと。

と表現は違うが、マヤが本番中に言っていたこととおおむね同じことを言っている。
マヤの演技ステップアップ論は大女優・姫川歌子にも匹敵してるのだ。

どんな役でもこなせるようにならなければ・・・どんな役でも・・・」

そして何か母の言葉のうちの偏ったキーワードだけを意識してしまった亜弓さん。
「演技経験」=「どんな役でも」という形ですり替えてしまった模様。
亜弓さんはどうも物事を曲解して、間違った方向に突き進む癖がある。

マヤは出演した映画をつきかげのメンバーと一緒に見に来ていた。
田淵エミの大根っぷりに呆れるメンバー、
そしてマヤの登場に気づくメンバー。
マヤがスクリーンいっぱいに映し出され驚くメンバー。

ドアップで映し出され照れるマヤ。
もてはやす美奈子と泰子。
その様子を冷ややかに見つめる麗。

「わずか数秒とはいえ、マヤの出ている間
 主役の田淵エミをまるで写さなかった・・・
 主役の田淵エミを・・・・」

麗は年上のリーダー格でもあり、
他のメンバーとは一線を画した立ち位置から、
こういった冷静な物の見方や意見を言うのが魅力ではあるが、
ちょいちょい伏線のように言っても伏線でもなんでもないことが多い。

そしてその主役はマスコミに今後の映画出演を聞かれ

「わかりません・・・
 でも次に出ることがあれば
 本格的に演劇の勉強をしてみたいと思っています。」

背中に影を落としながら去って行った。
「演技の勉強をする」ではなく「してみたいと思っています」なので
おそらく彼女は演技の勉強をこの後もしなかったのだろう。

こうしてマヤの演技への情熱は
一人のアイドルの女優生命を絶ったのであった。

続く

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第6巻・あした草(2)