【ネタバレ注意】ガラスの仮面第6巻その⑩【客層・・・考えたこともなかったわ】

      2016/09/24

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奇しくも同じ日に初日を迎えた北島マヤと姫川亜弓。

亜弓主演のフジナガ製菓主催「王子とこじき」

「王子とこじき」ガラスの仮面・劇中作品データ

夏休みこどものための名作劇場と銘打っただけあって
観客の大半は親子連れや小学生の団体。
子供にも人気がある姫川亜弓恐るべし。

一方マヤ出演の栄進座「おんな河」
商業演劇だけあって、客層はシニア層が中心。

「試してごらんなさい
 あなたの演技がどこまで
 この栄進座の客層に受け入れられるか。」

原田菊子大先生の言葉に戸惑うマヤ。

「客層・・・考えたこともなかったわ・・・」

やはり天才である。

一方のフジナガホール。
こじきの衣装に身をやつし、やさぐれたセリフを連発する亜弓。
従来の亜弓のイメージからかけ離れた芝居に劇場はざわめく。
大人たちは違和感を感じ、
子供たちは失望し騒ぎ出す始末。

その空気を敏感に感じ取った亜弓。
なんと舞台を降り、客席で物乞いの芝居。
あっという間に子供たちの気持ちをつかみ、
劇場の空気を一変させた。
これまで客の機嫌をとることなどしなかった亜弓の成長である。

一方栄進座ではマヤの出番。
マヤの芝居に劇場は笑いが起こる。
この笑いは真の笑いなのか、失笑なのかそれはわからない。
ただわかるのはマヤが非常に目立つということだ。

「客があの子を見ている?
劇の中心はこっちにうつっているというのに・・・!」

百戦錬磨の原田先生も驚愕。
顔の半分が黒くなり、目は見開かれ呆然と口が開かれるちおう表情。
結局マヤはただ退場するだけで客の視線を集めたのだった。

ところ変わってフジナガホール。
客席の空気を味方につけた亜弓は、
いよいよ早替えで王子の役に変身。

「亜弓さんこれ王子の衣装・・・」
「かして!!」

乱暴に上から目線で衣装を奪い取る亜弓。
主役とはいえ中学生の小娘。
衣装さんは若手っぽいがはるかに亜弓より年上だ。
スタッフさんは大切にしたほうがいいぞ。

わずか12秒での早替えに成功。
そのスピードとギャップ、
そして亜弓の美貌と気高さでさらに劇場のボルテージは上がるのだった。

自らのこれまでの芸能キャリアに彩られたイメージによって
劇場の雰囲気はアウェイの亜弓。
プライドを捨て、客の機嫌をとってまで座を温め、
早替えによる二役で会場を熱狂させた。

一方マヤは端役ながら異常な注目を浴び、
わずかのセリフと退場だけで観客の視線を集め、爆笑(失笑)をゲット。

どちらがすごいのか。
役者としてのテクニック、観客の機微を掴む難しさでは圧倒的に亜弓が優れている。
アドリブでその場を乗り切り、観客の心を一つにしたその技量は半端ない。
早替えの段取りの良さも相当の稽古を費やしたであろうことが推測される。

一方客層などこれまで考えたこともなく、
考えたからといって自身の芝居を変えたわけでもなく、
普段そのままの演技で観客を注目させたマヤ。
会場に沸き起こった笑いは爆笑なのか失笑なのかそれは明かされていない。
しかしながら観客がマヤをずっと見ていたことは確かなのだ。

努力と稽古と技術で観客の心をつかんだ亜弓。
そのままの演技で観客の視線を集めたマヤ。
どちらも凄いことなのだが、
なんだかモヤモヤする気持ちは否めない。

7巻につづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第6巻・あした草(2)