【ネタバレ注意】ガラスの仮面第7巻その①【ほんに子守もらくじゃねえ。】

      2016/07/31

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「王子とこじき」ガラスの仮面・劇中作品データ

姫川亜弓のイメージに苦しんだ姫川亜弓。
しかしプライドをかなぐり捨て、舞台を降り客席に移動。
観客の子供達をいじりはじめ、劇場の空気を一変。
完全に姫川亜弓のワールドに変えてしまった。

そこからは独壇場。
こじき少年から王子へ、
王子からこじき少年へと早変えを繰り返し、
客席の子供達を驚かせる。

王子の仮面とこじきの仮面を使い分け、
その演技のスイッチも見事。
完全に客席を魅了し、子供達は姫川亜弓ではなく、
完全に芝居に没頭して行ったのだった。

一方栄進座。
子守のたず役の二度目の登場が近づいていた。
しかし小道具の子供の人形が見当たらないというトラブル。
なんとか人形は楽屋で見つかった様子。
慌てて人形を背負い、舞台に出るマヤ。

先ほど爆笑をかっさらったマヤの再登場にざわつく場内。
しかしマヤが振り返った瞬間トラブル発生。
背負った赤子人形の首が取れ、舞台上に落下したのだった。

凍りつくマヤ、原田先生、そして観客。
予期せぬトラブルにマヤは青ざめ、
そして観客すらどう対処するのかを心配してしまうのだった。

「フフ・・・舞台は真剣勝負。
 栄進座1800人の観客の、これは素晴らしい見世物になってよ北島マヤ・・・
 大恥かいて泣きべそかいて、
 二度と舞台に立てなくなるがいいわ!」

これはマヤに役を取って代わられた、
原田菊子の弟子、結城麻江の策略だった。
しかし突然のマヤの乱入とはいえ、
己の力量意識不足により交代されたにもかかわらず
逆恨みにも等しい行為である。
しかしそれほどマヤの演技力は恨みを買いやすいということか。

舞台上のマヤ。
しばらく凍りついた後、
笑顔を浮かべ、
人形の首を拾い、
ホコリを払い、
無造作に首をねじ込み、

「ほんに子守もらくじゃねえ。」

一瞬何が起こったのかわからない劇場から笑いが漏れ、
その機転のきいた見事な切り返しに観客は驚き、
そして大爆笑と拍手の渦。

ほんの幕間芝居にも関わらずスタンディングオベーションすらも受けながら
マヤは退場して行ったのである。

「そんな・・・そんな・・・」

自らの仕掛けた罠が、
却ってマヤの技量を引き立たせることとなってしまった麻江の感想。

「紅天女候補・・・やはり・・・並の子じゃないわ・・・」

舞台最大のピンチを切り抜けた原田菊子先生の感想。

当のマヤは舞台袖に引っ込むなりへたり込み震えだした。
舞台上での落ち着き、舞台度胸とは異なる姿に、
栄進座のメンバーたちはその実力と爆弾ぶりを見せつけられたのだった。

そして悔しがる麻江。

この子はこの後どうなってしまったのだろう。
大恥かいて泣きべそかいて、
二度と舞台に立てなくなったのだろうか。
というか、演劇界の大御所原田菊子大先生もこの後の登場は一回のみである。

そしてフジナガホールでは完全に姫川亜弓が真骨頂を発揮。
早替えに次ぐ早替えと、巧みな演技の切り替えで観客はおろか関係者をも魅了。

これまでお姫様役や令嬢役が多くイメージが強かった姫川亜弓が、
自ら望み、自ら新境地を開き、演技派の道を切り開いたのだった。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第7巻・舞台あらし(1)