【ネタバレ注意】ガラスの仮面第8巻その②【まだあの子は本当の恋など知らない。】

   

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「嵐が丘」初日無事修了。
劇場を後にする観客も絶賛だ。以下主な感想

  • 夏江梨子が綺麗だった。
  • しかし子供時代が印象的だった。
  • ヒースクリフはともかくキャサリンがよかった。
  • 大人になってからと印象が随分違う。
  • もちろん夏江梨子のほうが素敵で上手いが、少女時代の方が強烈

観客は素直にマヤの強烈な存在感と、その違和感を感じていた。

そして楽屋では主演の夏江梨子と加川英明が関係者に囲まれている。
夏さんは特大の花束を抱え、加川さんは劇作家の先生からも好評を博した模様。
そして加川さんに、少年時代のヒースクリフを演じた真島良も迎えられ好演を讃えられた。

しかし少年時代のキャサリンを演じたマヤはその華々しい大御所の楽屋に耐え切れず、
カーテンに隠れてもじもじしていた。
関係者は舞台の上とのギャップに改めて驚き、

「俺を突き飛ばしたのと同一人物とは思えない」

と本番中散々に暴行を加えられたヒンドリー役の彼の証言が生々しい。

マヤはそんな空気に耐え切れずロビーに向かう。
青木麗、水無月さやか、春日泰子、沢渡美奈のつきかげメンバーに会うためだ。
あれ、美奈さんおったんか。
開演直後には間に合わなかったのか、それとも描かれていなかったのかは謎である。

麗を筆頭にマヤの演技を讃えるつきかげのメンバー。
しかし彼女たちは同門、しかもメンバー中では最も芸歴の少ないマヤが
一人華々しい舞台で活躍していることをどう思っているのだろうか。
マヤの才能を最も知るものとして、その差はもはや埋めがたいものとあきらめているのだろうか。

そんな仲間の気持ちをよそに、桜小路くんが来ていたかを気にするマヤ。
途中で席を立ち、帰って行ったことを聞き、
仲間と別れ、出口を、客席を、桜小路優の姿を探す。

静まった客席、マヤが桜小路くんを見つけられずにいると拍手が。
客席で一人待ち受けていたのは大都芸能の速水真澄であった。
そのスケジュールは多忙に見えて相当フレキシブル。
悪く言えばヒマ。それともマヤを一人讃えるために、キャンセルされた予定があったのだろうか。

「ヒースクリフを捜しているのかい?キャシー?」

第一声からして変態である。

「しばらくだね。キャシー役、なかなか良かったよ。
わりに演技も上達したようだ。」

第二声ではマヤの演技を褒める。

「まるでたった一つしかない大事なおもちゃを
取り上げられそうになっている子供だ・・・」

そしてマヤの役作りのアプローチをこう評する。

「見抜いている・・・この人!!」

見抜いているのか、しかしこの人の行動を見ていると、
見抜いているのではなく、見張っているとも思える。

「チビちゃん今いくつだ?」
「15・・・」
「何年だ?」
「中学三年です・・・」
「そうか・・・まだまだだな。
はやく成長するんだな。」

変態である。
そしてこれほどマヤを気にかけているにも関わらず
脈絡もなく年齢と学年を聞くのは、知らなかったからとは言わせない。
あえてその年の差を再確認しているのだ。変態である。

そして劇場のスタッフに客席から早く出るよう促される速水真澄。
大都芸能の経営する劇場の最高責任者ともあろうものが、
よその劇場の運営の邪魔をするという始末である。

「じゃあな。チビちゃん」
「あたしの名前はチビちゃんじゃありませんたら!」
「わかってるよチビちゃん」

先ほどの年齢のくだりといい、
マヤが少女であることに熱烈な思い入れがあることをうかがわせる。
変態である。

速水真澄が劇場を出ると敏腕秘書の水城さん。

「ちょいとドライブとしゃれこんでおりました。
舞台の終わる時間に間に合えばいいと思いまして」

変態の欲望に振り回される仕事ながら、
的確な業務は敏腕秘書である。
しゃれこむあたり、時代を感じる。

「どうでした?あの少女は
ヒースクリフに恋する少女をうまく演じていました?」

社内でも早速若社長ご執心の「少女」の話題を切り出すあたり敏腕である。
それとも若社長のロリコン趣味を、陰で笑っているのではないだろうか。

「恋・・・か。
あの子のヒースクリフへの思いは
たった一つしかないおもちゃを愛する子供と同じものだ」

まだ言うか。

「まだあの子は本当の恋など知らない。」

変態である。
そして全く関係ないこの一言を引き出した敏腕秘書・水城冴子さん。
若社長が変態であることをどう思っているのか。
数々の常軌を逸した発言と行動を陰で笑い、
それを密かに導いている自身に満足しているようでもある。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第8巻・舞台あらし(2)