【ネタバレ注意】ガラスの仮面第8巻その③【紅天女候補がもう一人・・・】

   

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ところかわって「嵐が丘」の楽屋。
初日を終えて軽めの打ち上げのようなものが行われていた。
関係者に好演を讃えられるマヤ。

「洗練された夏江梨子の演技より
 ぎこちない荒削りなあの子の演技の方が強い印象を受けた」

数々の関係者が絶賛。
それを険しい表情で見つめる夏江梨子。
まぶたの上には縦線が。
それはメイクなのか、青筋なのか。

しかし当のマヤは、変態速水真澄に
「大事なおもちゃを取り上げられた子供」
と演技の本質を見抜かれたことに呆然とし、

そんなマヤを見つめるヒースクリフ役の真島良も呆然とし、
恋人絵川由紀は真島良とマヤの好演を褒めるとともに、
舞台上での二人のやりとりに危うい物を感じ涙ぐむ始末。
真島良は由紀に連れ出されながらも、

「キャシー・・・」

とまだマヤを役名で呼ぶ。
マヤの登場により、出演者の大半がその運命が変わってしまいそうな舞台である。

マヤが家に帰ると大家さんなのか、住人なのかよくわからんおばはんが

「ああ、マヤちゃん大変だよ。すぐ病院へお行き!
 今病院から連絡があってね、あんたのところの先生の容態が急に悪くなったんだって!」

またしても絶妙のタイミングで生死の境をさまよう月影先生。

「いやだいやだ!先生死なないで!
 紅天女もまだなのに・・・!」

このマヤの発言、どうもおかしい。
前半の「いやだいやだ先生死なないで」はよいして、
後半の「紅天女もまだなのに」とはどういう意味であろうか。
この時点でマヤは紅天女の存在を知り、
その素質を認められ紅天女候補と目されつつあるが、
正式にその後継者として認められたわけでもなく、
何かを譲られた形跡もない。

「遺産の相続が決着してないのに死ぬな」
という意味だろうか。

しかし月影先生は簡単には死なない。
病院では緊急手術が行われていた。
マヤが到着すると既に麗、さやか、美奈、泰子と源造さん。
久々の劇団つきかげコアメンバー全員集合である。

「あの方のお身体では無理だったんです。
 寿命を縮めるようなこんな生活・・・
 それでなくとも心臓が・・・」

あれ、月影先生先生前回ぶっ倒れて以来、
紫の人の援助を得てずっと入院してませんでしたっけ?

それ以前のアパート暮らしは確かに堪えたであろうが、
入院生活が寿命を縮めるような生活だったということか?
それとも医師や看護師のいうことも聞かず無鉄砲な入院生活をしていたのだろうか。
おそらく後者であろうと考えられる。

どうやら月影先生、これまでもたびたび胸の痛みで死にかけ、
今回も心臓が悪いことが源造さんの証言によって明かされた。
しかし、入院療養中に急に手術を要するような容態の急変などあるのだろうか。
かつての大女優、よほど病院で暴れまわっていたか、
それとも医療ミスの可能性すら感じてしまう。

無事手術は終わり、あとは本人の生命力だけとのこと。
以後四日間昏睡状態が続いた。
マヤも連日、嵐が丘終演後メイクも落とさず病院に駆けつける生活。

「みなさん今夜いっぱいこのまま意識が戻らなかったら覚悟してください」

ついに医師から最終宣告が下された。

「いやあ、そんなのいやあ!
 先生死んだりなんかしたらいやあ!
 あたしに演技教えてくれるって言ったのに!
 教えて!紅天女をあたしに教えて!」

先生への思慕の情と見せかけてその発言内容は全て自己の都合と利益である。
すると

「くれない・・・天女・・・
 死ねない・・・あれをこの世に残すまでは・・・」

往年の大女優とその一番弟子の執念は、
大病院医師の最終宣告すらただの前フリに変えてしまった。

「そうですよ先生。
 そのために今まで努力してこられたんじゃありませんか。
 死んじゃいけません。」

すかさず源造さん。
今まで一番努力してこられたはこの方である。
付き人として、執事として、運転手として、雑用係として、小娘の世話係として、
そして没落すると生活費を捻出する担当に。
大女優のわがままにその人生を捧げてきた源造さんだけに
このセリフは非常に重みがある。
しかしこの源造さんのセリフもスルーされる。

「演劇界の幻の名作、紅天女
 これを受け継ぐものは・・・・」

マヤの手を取る月影先生。

「ドジで劣等生で何もできないあたしが紅天女を?
 多くの大女優たちが演じたがっているという紅天女をこのあたしが?」

さっきまで紅天女がまだなのにと言ってたくせにしらこい。
月影先生はマヤの手を取りながらニッコリと微笑む。
そしてもう片方の手を伸ばしながら

「そして・・・もう一人・・・」

「紅天女候補がもう一人・・・」

驚くマヤ。

「それは一体誰?誰ですか先生!?」

一気にまくし立てるその他一同。
自分たちも紅天女の後継者になれるという一縷の望みであろうか。
遺産のおこぼれにあずかろうとする親戚のようである。

「フフフ。その人物は今にわかるわ・・・今にね。」

と、マヤ以外のつきかげメンバーの可能性を消し去る。

「戦いなさい・・・
 この人物と紅天女への道を目指して戦いなさい・・・
 もし途中で挫折したらこの人物が紅天女を勝ち取るでしょう。
 いいわね。マヤ。」

こうして今回も月影先生は死なず、
紅天女候補を二人明言するだけのために蘇った。

これほど先生の命を心配したにもかかわらず、
紅天女への道はマヤともう一人の誰かに決定、
つきかげメンバーの心中たるやいかなるものであったであろうか。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第8巻・舞台あらし(2)