【ネタバレ注意】ガラスの仮面第8巻その④【今も優しい・・・】

      2016/11/05

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マヤの日常は変わらずである。
授業は上の空。
数学のテストは30点。
夕方から舞台に出演するため、掃除当番をソッコーで終わらすものの、
ぞうきんボトボト。
机はビショビショ。
ゴミは廊下に掃き出され、ガラスまで割る始末。
芝居以外まるで取り柄がない。
劇場に入る際も一目散で走りこみ、
関係者にぶつかる始末。

「キャシー・・・」

と完全に逝っちゃってる真島良にも気づかず

「どうも調子狂うなあの子・・・」

と呆れさせるマイペースぶり。

しかし衣装をきて楽屋にスタンバイすると別人に変身し、
毎日顔を合わせている共演者や関係者をも振り返らせる存在感と変貌を見せるのだ。

舞台上では情熱的で荒削りなキャサリンを演じ、観客を熱狂させる。
そしてついに5日目、第3部少年時代の終わりにて観客から拍手喝さいが起きたのだった。

そして日をおうごとに、少年時代から大人時代へ変わった際の違和感、
特にマヤと夏江梨子の雰囲気の違いを共演者やスタッフは感じ始め、
観客は熱狂しながらも戸惑い、そして大人時代の演者への物足りなさを感じてしまうのだった。

ちゅうか途中で気づいているなら、修正すべきであるが演出家の無能である。

舞台上で情熱的な恋人同士を演じるマヤと真島良。
真島良の恋人・絵川由紀は、真島良の気持ちが演技なのか、恋なのか、
不安のあまり連日劇場を訪れていた。

そしてもう一人、先日途中退場した桜小路優。
千秋楽再度劇場を訪れ、芝居を見ながら自身の気持ちを再確認するというスーパードM行為を行っていた。
以下抜粋。

  • マヤちゃんにとって芝居が大事なことはわかっている。
  • 演劇に熱中すると僕のことなど忘れてしまうのがじれったい。
  • 心配してるのに反応してくれないのがやるせなく悲しい。
  • 僕よりも演劇の方が大事だということは思い知らされた。
  • それなのに気になって劇場に足を運んでしまう。
  • 真島良は完全に君のことが好きであり、その彼を芝居で愛するのを見るのが苦痛。
  • それを考えてくれなかったのがとても悲しい。

完全にマヤに手玉に取られている男の悲しみである。
無意識ながらも恐るべしマヤの魔性っぷりといったところか。

無事千秋楽を終え、ロビー?では観客に主役の夏江梨子が囲まれていた。
しかしマヤと真島良は大人時代の二人を上回る大人気。
最後の最後まで、夏江梨子さんはマヤを複雑な表情で見つめるしかなかった。

そして定番の紫のバラ。
マヤの好演をたたえるとともに、
「月影先生のご容態はどうですか?」
と白々しい手紙。
純粋無垢なマヤは、ロリコン変態若社長の小細工にすら気づかないのだった。

楽屋口には桜小路優が。
マヤとの面会を望むものの断られてしまうという間の悪さ。
あのロビーでマヤたちを囲んでいた連中はなんやってん。
外は雪が降り始めていた。
桜小路はマヤに傘を渡すよう頼むと劇場を去って行ったのだった。

「凍えてしまいそうなほどなんだか悲しい・・・
 妙に心が寒い・・・
 どうしたんだろうこの寂しさは・・・
 いっそ他の少女を好きになれればどんなにいいだろう・・・!
 どんなにか気が楽だろう!ああ・・・どんなに・・・!」

マヤへの想いを封印しつつある桜小路優。
この辺速水真澄とは違い、スマートでかつ潔い。さすがイケメンである。

そして傘を渡されたマヤが遅れて桜小路くんを追うも当然追いつけず。

「あんなにやさしかったのに・・・今も優しい・・・」

降りしきる雪の中、変わらない優しさに涙するのだった。

観客のいなくなった客席では東洋劇場の会長がため息をついていた。
栄進座でマヤの芝居を見て興味を持ち、
オーディションにおいて演出家やスタッフの意見を聞かずにマヤを起用した和服のおっさんである。

「会長、こんなところにおいででしたか。舞台の成功おめでとうございます。」

「成功?いやこの舞台は失敗だ・・・
 今すぐこの舞台の関係者を集めてくれたまえ!
 これから会議を開く!」

今回の見どころ、というかツッコミどころは東洋劇場の運営体制である。
現場の演出家やスタッフが無能、あるいは発言権が一切ない。
会長の意向が大きく反映され、現場の声がない、あるいは聞き入れられないという傾向が見られる。

その証拠に、キャサリン役では絵川由紀をスタッフが推していながら、
会長の鶴の一声でマヤの起用が決定。
そして本番中は少年時代と大人時代のギャップに気づきながらも
演技の方向性を変えることすらできず、
挙げ句の果てに失敗だ!会議だ!と朝令暮改である。

東洋劇場は新鋭の劇場なのか、古豪の劇場なのか、その詳細はわからないが、
演劇界において実力を知られる夏江梨子を起用するあたり、
その知名度と名声はなかなかのものであると思われる。

しかしながらこの東洋劇場、この後にも先にも作中には登場しない。
速水真澄率いる大都芸能および大都劇場との差は、
この運営体制のおぼつかなさにあるのではなかろうか。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第8巻・舞台あらし(2)