【ネタバレ注意】ガラスの仮面第9巻その③【あなたは役者として失格です!】

   

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マヤと麗は劇場に向かって走っている。
渋滞でバスが遅れたとのことだ。
しかしマヤの頭の中は母親のことでいっぱいだ。
母親が行方不明になったこと、
結核にかかっていたこと、
長らく勤めた万福軒をやめていたこと。

劇場に着くと一角獣の堀田団長と田部はじめが迎える。

「遅いぞ!迎えに行こうと思ったんだ。」
「それより麗、大変なことが起こっているんだ!この千秋楽に。」

千秋楽本番前に何が起きたというのか?
しかしマヤにとっては別の大事件が起きている。
実の母親が病気にかかっており、仕事を辞め、療養先から行方不明になっているのだ。

そしてマヤが振り返るとゲホンゲホン咳をしながら母親が歩いているという偶然。
んなアホな。
行方不明になった母親が、本番直前劇場近くに現れるという奇跡。
この話ちょいちょい都合よく奇跡が起こる。

「母さん!」

母親の姿を認めると走り出すマヤ。
母親は横断歩道を渡っている。
マヤが交差点に辿り着く頃には信号は変わり、
行方を激しい交通量に阻まれ、
母親の姿は人と車の波に消えていた。
叫びながら母を呼ぶマヤ。
しかしマヤを麗が止める。

「開演15分前。早く行って支度しないと間に合わないよ。」

そして「石の微笑」千秋楽開演。
客席には、地下劇場に客を奪われた斜向かいの劇場オリオン5の役者が陣取っている。

「な!見ろよ。オリオン5の連中だぜ。
 こぞって俺たちを見に来たんだ。」

どうやら千秋楽に起こった大変なこととはこのことらしい。
堀田団長自らマヤと麗を探しに行くほど重大なこととは思えないが、
ライバルの観劇に気合が一層入るメンバーたち。

しかしマヤだけは違っていた。
幼少の頃からの母親との思い出を浮かべ涙を浮かべていた。

  • ラーメンの配達を手伝った思い出
  • 一緒に大好きなハンバーグを食べた思い出
  • 次の休みの予定を立てた思い出

第一巻を読む限り、常に怒られ罵られ、
こんな微笑ましい光景があったとも想像できないのだが、
そのあたりは楽しかったことしか思い出さないのが人間である。

そして本番中。舞台の上にいながらも、
マヤは母親を一人にしてしまったことを心の中で謝り続けていた。
舞台上の人形としてではなく、北島マヤとして舞台に立っていたのだ。
そしてその異変に気付いたのは観客。
徐々に客席がざわつきはじめ、
その異変を察知した共演者も振り返り、
客席にて看護師さんを従えた月影先生も気がついた。

人形のマヤが大粒の涙を流していた。

「仮面が外れた・・・・
 人形の仮面が・・・・マヤ・・・!」

危機を察した青木麗がさやかから水の入ったポットを奪い取りマヤに水を浴びせる。

「これは大変、大切なエリザベスが水びだしだ・・・お着替えを手伝っておくれ」

出演者のアドリブで人形のエリザベスは退場し、一旦は事なきを得る。

「もし人形が人間であるということを少しでも感じさせたらこの舞台の全てが壊れる」

と先日非常にわかりやすい前フリをした月影先生と、
見事に人間であることを「相当」感じさせるマヤ。
そしてそれをフォローする青木麗。
絶妙のトリオ芸である。
共演者のアドリブでその場を切り抜けたマヤには、
きついツッコミが待っていた。

なんと舞台袖で鉄拳制裁&罵倒の月影先生。

「役者が舞台の上で仮面を外して素顔を見せるなんて何事です!」

絶対客席に聞こえてるやろ。
人形の仮面が外れる以上に、舞台裏の暴行が筒抜けの方が客は冷めるわ。

しかしこの舞台袖のかわいがりは客には伝わらなかったようだ。
その後、舞台は舞台は幕を閉じた。

「あの人形途中で涙流してたけどどうしたんだろう?」
「まばたきできなくて目が疲れたんじゃない?」

さほど舞台の全ては壊れていないようであり、
次の公演が楽しみだ、麗様に会えなくて寂しい、などと劇場を後にしていった。

しかし終演後の地下劇場では、月影先生による締めのミーティング。

「マヤあなたは次の舞台には出なくてよろしい
 しばらく謹慎していなさい!」

演出、脚本、キャスティングのみならず、
劇団員への懲罰権限も持っている劇団の最高権力者である。

以下罪状

  1. 麗の機転でピンチは切り抜けた
  2. そうでなければあの舞台は失敗していた
  3. いかなることがあっても役者は舞台上で仮面を外してはならない
  4. 舞台は一人のものではない
  5. マヤが仮面を外したばかりに、千秋楽が崩れるところだった
  6. 役がある以上端役であっても、舞台という城を支える石垣の一つである
  7. 石が一つ欠けても城は崩れる

といつも以上に長い説明と駄目出しから

「今日の舞台
 あなたは役者として失格です!」

失格の烙印と謹慎命令を受けるマヤ。

以上のように劇団つきかげプラス一角獣の第一回公演は
千秋楽に波乱を迎えたものの大成功で終わった。

アクシデントはあったもののマヤに「自分を殺す演技」という課題を与え、
他のメンバーにもそれぞれの見せ場や持ち味を発揮させるキャスティング。
中でも男役というハマリキャラを得た青木麗にとっては役者人生の転機になったことであろう。

しかしマヤは最終日の失態により次回公演出演謹慎。
しかも実の母親が行方不明になっている事実を知り、
全てが八方ふさがりとなったのである。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第9巻・舞台あらし(3)