【ネタバレ注意】ガラスの仮面第9巻その⑧【こう言えばお気に召したか?】

      2017/03/11

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夢幻桜無事終演。
本日のMVPともいうべき姫川亜弓は関係者に囲まれている。

演出の大田先生を筆頭に、舞台を無事つないだ亜弓の演技を褒め称え、
中には花束を渡したり、サインをねだるというわけわからん奴もいる。

その様子を遠巻きに見るマヤ。
もう一人のMVPともいうべきマヤの近くにいるのは大都芸能の速水真澄だけだ。

「ともあれ舞台は無事に終わった。途中のハプニングをよく乗り切ってくれたよ。」

自分が一番ハプニングに取り乱し、
秘書の水城さんにひどい言われようをされたことは既に忘れ、
優雅にタバコを吸っている。

「相手が亜弓さんだったから
 4場の筋たても台詞も知らないあたしの口から
 もうこんな家出てってやると叫ばせることができたんだわ。
 亜弓さんのペースに乗せられて千絵としての感情が燃え上がり、
 本当に千絵として怒ることができた。
 亜弓さん・・・本当に天才なんだ・・あの人にはかなわない・・・」

楽屋には亜弓の母、姫川歌子と父、姫川貢が登場。
それがさらにマヤの劣等感を掻き立てる。
涙を流すマヤ。

  • 神様って不公平だと思って・・・
  • どうしてあんな人がいるんだろう・・・
  • お父さんが映画監督
  • お母さんが大女優
  • 輝くばかりにきれいで演技の天才
  • 生まれながらの主役
  • あの人に比べると自分なんてつまらない
  • なんだか自分がどうでもいいようなちっぽけな存在に思える。

次々と自分と亜弓を比較し、落ち込み悲しむマヤ。
しかしこれまでは亜弓はマヤにとってははるかに格上、別世界の人間であり、
漠然と憧れや羨ましさを感じることはあった。
偶然にも初めて同じ舞台で共演したことにより、
明確な比較の対象となったのだ。
その点においてはマヤのステージが亜弓に近づいたと言える。

悲しみのあまり帰ろうとするマヤ。

「待ちなさい。もう夜も遅い。車でおくらせよう。」
「いいえ結構です。」
「外は土砂降りだぞ」
「大都芸能に送ってもらうくらいなら濡れて行った方がマシだわ。」
「えらくまた嫌われたものだな」
「ええ、大っ嫌い!」

しかしここは大都プラザ劇場。
大都芸能の看板役者が集う舞台の終演後。
いわば速水真澄のホームグランドである。
若社長に対する無礼な態度を出演者や関係者が咎める。
しかしそんな周囲を全く気にせず一気に畳み掛けるマヤ。

  • あなたが親切そうな顔して何言ってもだまされない
  • 劇団つきかげを潰すために劇の悪評やありもしないスキャンダルを週刊誌に載せた
  • 全日本演劇大会では大道具を壊したり、共演者を出演できないように仕向けた
  • 卑劣な手を使って望み通りになった
  • 劇団つきかげは潰れて月影先生先生入院
  • あとは紅天女の上演権を奪うばかりでしょ!

次々と速水真澄の悪行三昧と野望を暴露する。
これには周囲もドン引きだ。

しかしさすが大都芸能の仕事の鬼。

「そうだ・・・その通りだ。
 君たちなどどうなっても構わん。
 どんな手を使っても俺は自分の欲しいものを手に入れるだけだ!

 どうだ。こう言えばお気に召したか?

走って劇場を後にし、豪雨の中を帰るマヤ。

そして速水真澄。
一人バーのカウンターで飲んでいる。

「何を考えてらっしゃるの?真澄さま。」

そこに現れたのは秘書の水城さんだ。

「今日のあなたはちょっと変ですわよ。
 そう・・・あの夢宴桜の4場のハプニングの時から・・・
 あなたらしくもない。人前で取り乱したりして。
 そうあの北島マヤとかいう小さな少女をかばって・・」

相変わらずキレッキレの水城さん。
人前で取り乱して水城さんに怒られたという数時間前の恥ずかしい過去を蒸し返し、
心の奥底にある小さな少女への興味をズバリと言い当てる。
この人かなりのドSである。

「馬鹿な!君の勘違いだ!
 台本をすり替えられて舞台の筋立ても知らないあの子を出して
 舞台が壊れることを心配したんだ!」

「ホホホホホ。
 まあよろしいわそういうことにしておきましょう。」

一世一代の言い訳も母親のように笑って流され、
速水真澄、本日二度目の辱めを受ける。

「それにしてもあの子、舞台を降りても度胸のいいこと。
 この大都芸能の鬼に食ってかかるなんて。
 大変怖いもの知らずだこと。無茶な子だわ。」

若社長の本心をズバズバと言い当て、辱める秘書も大概やぞ。

「ああ、無茶な子だ。
 無茶でなきゃ筋立ても知らないで舞台に出たりしない。
 今まであんな少女に出会ったことがない・・・」

何ちょっとええ話風になってんねん。

後日、マヤが自宅にて行方不明の母親の身を案じていると
階下から青木麗が読んでいる。
玄関には大量の荷物が。花束と少なくとも大小6個の箱入りプレゼント。
一ツ星学園の制服、教科書、靴、万年筆、そして紫のバラの花束と手紙。

夢宴桜を観ていたこと。
千絵役でマヤが出てきたので驚いたこと。
マヤの千絵役がよかったこと。
制服が似合うと良いですね。
次のあなたの出番を待っています。

冷静に読むとストーカーの手紙である。
しかしマヤは感動。
そして配達員の方に注文した人物のことを尋ねる。
しかし名前は不明。
電話で注文を受けただけ、代金も銀行振込。
穏やかで涼しげなハリのある声の男性とのこと。

「おだやかですずしげな
 はりのある男の人の声
 紫のバラのひと
 あたしのはじめてのファンで
 ずっと変わらずに励ましてくれて
 高校にまでやってくれて・・・
 神様みたい・・・」

紫のバラの人への感謝を噛み締めるマヤ。
実はその神様のような人物が
人前で取り乱し、秘書にたしなめられ、
しかもその事実を数時間後に蒸し返され、
慌てて言い訳するも、笑って流されているということは
もちろん知る由もない。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第9巻・舞台あらし(3)