【ネタバレ注意】ガラスの仮面第9巻その⑩【車の中に・・・!】

マヤが教室に戻ると、学校の事務のおっさんが。
「あんたが北島マヤさんかね?あんたに届け物が。」
持ってきてくれたのは紫のバラ。
受付にクラス名と名前を書いた紙と一緒に置いてあったとか。
完全にストーカーの贈り物である。
しかもそれを何の疑いもなく届ける一ツ星学園の管理体制。
多くの芸能人やタレントが通っているにもかかわらず杜撰である。
爆弾とか刃物とか入っていたらどうするのか。
しかし花束を受け取ったマヤは紫のバラの人に会いたさに校内を探し回る。
当然会うことはできない。
「いない・・・どうして姿を見せてくれないんだろう??」
変態だからである。
一方でロビーでは女子学生たちが盛り上がっていた。
何でも大都芸能の速水真澄が来ているとのこと。
大都芸能のタレントも多く通っているこの一ツ星学園に多く寄付をしているのだとか。
普通の女子高生でも芸能事務所の社長を知っているというのはなかなかである。
この世界においてはジャニー喜多川氏に匹敵するほどの知名度なのであろう。
ロビー前には立派な高級車。
シートには毛皮が施されている。
そして、毛皮シートの上には、一輪の紫のバラが。
「いったいどうしてこんなところに!?
大都芸能の車の中に、どうして紫のバラが・・・
紫のバラの人がこの車に乗っていたのかしら?」
正解であるが、マヤの思い描いている正解とは違う。
なんでも速水真澄氏は一人ではなく何人かの男性とともに校長を訪れたとのこと。
「もしかしたらその中に・・・」
一縷の望みを託し、受付の女性の制止を振り切り、校長室に乱入するマヤ。
一ツ星学園のセキュリティ管理は甘すぎる。
しかし校長室にいたのは、校長、速水真澄とその部下たちであった。
「これはチビちゃん」
「何の用だね今は来客中だ。何年何組の誰だね?用件を言いなさい。」
そして校長と速水真澄に用件を言うマヤ。
- 紫のバラを持って車に乗った人が校長室にいないかと思って。
- 陰でいつも見守ってくれているファンである。
- 舞台の後でいつも紫のバラを送ってくれる。
- どこの誰かは知らないが、月影先生の入院費用やマヤの学費を援助してくれている。
- 会って感謝の気持ちを伝えたいといつも思っているのだが全然姿を見せてくれない。
- 受付に紫のバラが届いていた。
- 大都芸能の車の中にバラが落ちていたので校長室に乱入した。
「車の中に・・・!」
最初は余裕で聞いていた速水真澄もまさかの失態に驚愕。
あれだけ匿名の紫のバラの人を装っているにもかかわらず、
一ツ星学園を訪れるという実にマヤに花束を贈り、
しかも車の中に痕跡を残すという詰めの甘さ。
この場に秘書の水城さんがいたら、その詰めの甘さを叱責されるとともに、
皆の前で恥をかかされていたことであろう。
しかし、今日は水城さんがいないので、速水真澄余裕の切り返し。
「はっはっは。
失敬。僕の車にはそんな人は乗ってはいなかったよ。
ここに来る前女優を一人乗せたのだが、彼女が花束を山ほど抱えていた。
めずらしい紫のバラも数本混じっていたからそれが車の中に落ちたんだろう。」
水城さんが聞いたら笑いながら突っ込まれそうな言い訳である。
しかし落胆するマヤ。
「その人が姿を現さないのはきっと事情があるんだろう。」
「いったいどんな事情が。わたしはどんな人でもかまわない。
こんなに親切にしてくれてる人にお礼を言いたいだけなのに。」
「その人もわかっているよ・・・きっと・・・」
お礼を言いたい少女と、訳あって正体を開かせない男性が、
実は顔を合わせて互いの本心を言い合っているという機微に満ちたシーンである。
しかし何ちゅうか、速水真澄の変態ぶりと詰めの甘さでなんか気持ち悪い。
そしてこの後は質問ラッシュ。
- 制服似合うじゃないか。
- 高校生活は楽しいか?
- どんな科目が好きだ?
- 友達はもうできたか?
己の趣味を交えつつ、変態的な質問。
マヤはからかわれていると思い、速水真澄に悪態をついて退室する。
マヤの失礼な態度に怒りながらも、
初めて見る速水真澄の楽しそうな笑顔に驚く大都芸能関係者。
「紫のバラの人
どうして姿を見せてくれないのですかどうして?
一言ありがとうをいいたいのに・・・」
姿も見せてるし、話もしている。
マヤの紫のバラの人への気持ち、
速水真澄のマヤへの気持ちが、
交差することなく何ともこの一方通行な感じが、ドラマを掻き立てるのだが、
ちょっと気持ち悪い。
そして速水真澄は詰めが甘く、結構わかりやすい人である。
大都芸能の仕事の鬼、
仕事においても詰めが甘く、わかりやすく、やらかしているのだろうか。
つづく。