【ネタバレ注意】ガラスの仮面第10巻その①【あなたにはまだ目がある!耳がある!】
2017/05/13

月影先生の手から落とされ、粉砕された花瓶。
その物音に振り返るマヤ。
「なぜ振り向いたんですマヤ?
花瓶の割れる音になぜビクッとしたんです?
耳は聞こえないはずだったでしょう?」
不意打ちされ、うろたえるマヤ。
入院中とはいえ月影道場切れ味健在である。
「先生、お体の方は?」
心配する麗を完全に無視し、人形を手に取る月影先生。
「さあヘレン!
あなたの大事なお人形はここよ!
探し当てなさい。」
ヘレンは耳は聞こえないんじゃ・・・・
というツッコミはなしに、床に這いつくばりヘレンの芝居で人形を探すマヤ。
手探りで床を棚を探し回る。
月影先生は人形を再度手に取ると、教会の床の板が剥がれ、釘が露出している場所に気づく。
そして人形をその近くへ投げ捨てた。
もう嫌な予感しかない。
マヤは引き続き床を探りついに人形を探し当てた。
と思いきや月影先生が人形を奪う。
「マヤあなたは今すこし左へ回って人形をとりましたね。
なぜですか?
そこに釘が出ていたからでしょう。
無意識に危険を避けたんです。
目が見えているから。
マヤ、あなたにはまだ目がある!耳がある!」
月影先生キレッキレである。
引き続き特訓開始。
今度はヘレンの食事だ。
マヤは息が切れへたばり、
そして月影先生も息を切らして立っているのがやっと。
やはり体調はよろしくないようである。
「さあもう一度、今度はヘレンとして一人で遊んでごらんなさい!」
麗の制止にもかかわらず特訓に付き合う月影先生。
ほんまこの人、芝居にリアルに命を賭けている。
「マヤそれができないと本当のヘレンの生活はわからなくてよ・・・
本当のヘレンはつかめなくてよ・・・」
意外と口調は丁寧。
従前のような鉄拳制裁もなく、どうやら体調は悪いようだ。
たまらず麗が申し出る。
「先生、もうやめてください。私が代わります。」
「そうですよ。もういいかげんにしたらどうですか?」
教会の入り口に立っていたのは速水真澄。
「見舞いに行くたびに病院を抜け出してあなたはここだ。
もうすぐ退院だと伺っていたのに
この調子ではまた長引きそうですな。」
紅天女の上演権を気にしてか、それとも以外と長引く入院の費用が気になるのか。
そして屋外では騒音とともに複数の工事車両が押し寄せていた。
何でも教会が古いため、新しい神父さんに代替わりし、近代的な教会に建て替えるのだそうだ。
「あなたがたのことは聞いています。
しかしこの神聖な教会を、演劇の稽古などにお貸しすることはできません。」
新しい神父さんの痛烈な一言で、月影先生の心臓が悲鳴をあげる。
再入院。
いや、入院中のところを抜け出していたのだから、帰院といったほうが正しいか。
新しい神父さんも、自分の神聖な一言に殺傷能力があるなど思いもしなかっただろう。
「だから言わないことじゃない。
また入院が延びたじゃないですか。」
「私が死ななくて残念だったわね。真澄さん。」
やはり死にかけたようである。
一命を取り留めた月影先生。
そしてマヤと麗の心配事は稽古場の確保だ。
教会は取り壊され、地下劇場は劇団のメンバーが使用している。
その会話の様子を密かに聞いている速水真澄・・・・
そしてあくる日、あたかも知っていたかのように紫のバラが届く。
しかし普通に考えて、ファンが女優の住所を知っているって危険ないし不審に思わないものだろうか。
そんな心配などすることもなく、手紙を読むマヤ。
- 東京は暑いでしょう?長野県の別荘に遊びに来ませんか?
- 私はご一緒できませんが好きに使ってください。
- 別荘番もいるし不自由なく暮らせると思います。
手紙には列車の切符まで。
即答で別荘に行き、ヘレンケラーの稽古をやるというマヤ。
初めてのファンで、ずっと応援してくれ、
先生の入院費用や、マヤの学費を援助してくれてるとはいえ、
知らん人の別荘に呼ばれるという不審。
昨今では考えられない話ではある。
上野駅で列車に乗り込み、麗の見送りの元、長野に向かうマヤ。
別荘のイメージは白樺の湖畔、そして上野駅発であることから
信越線軽井沢方面であろうか。
「ありがとう紫のバラの人。
いつもあたしの困っているところを助けてくれる。
あたしの神様みたい・・・
他のヘレン役候補の人たちどうしているかしら?
亜弓さんや金谷さんは・・・
みんなどんな稽古をしているんだろう・・・」
ところ変わって神奈川県。
希望の家という目や耳の不自由な生徒がいる養護施設。
そこではボランティア活動の学生に混じって姫川亜弓と思しき人物が掃除をしていた。
劇団「風」では演技指導の野口先生が、ヘレン候補の白鳥さんにつきっきりで一週間の猛稽古。
劇団「天馬」でも早川さんが猛稽古の毎日。
この二人の稽古描写は大したことない。
よって早々に脱落確定か。
そして一ツ星学園演劇部のスター、鬼婆女優の金谷さん。
毎日図書館でヘレン関連の書籍を漁っていた。
「ヘレンの育ってきた環境、家族構成、奇跡後のヘレンの行動、業績、
その役になるには知識が必要よ・・・特に実在の人物の場合には。
そういった中からヘレンの性格が浮かび上がる・・・」
数多くの資料の中から人物像を作り上げ、演じるというスタイルらしい。
先日の鬼婆もこのように図書館で書籍を漁ったのだろうか。
つづく。