【ネタバレ注意】ガラスの仮面第10巻その②【本能が危険を!】

   

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一方、紫のバラの人(速水真澄)の厚意(好意)により、
長野県の別荘へと招待されたマヤ。

駅を降りると別荘番の山下さん夫婦が迎えに来てくれていた。
別荘の近くに住んでおり、掃除や食事の手配をしてくれる。
車でたどり着いたのは、湖畔に面した別荘。
バルコニーからは湖の絶景を一望できる。
そしてテーブルには恒例の紫のバラの花束と置き手紙が。

「おつかれさま
 ここで演技の稽古をするなり遊ぶなり
 思い切り好きにしてください。
 ただ一つだけ条件があります。
 私のことは詮索しないでください。
 いいですね、それだけが条件です。」

後半はまるで家出人のような不気味な内容の手紙である。

「ありがとう。
 あたしここできっとヘレン役をつかんでみせます・・・!」

不気味な手紙のことは一切気にせず、
役作りへの決意を強めるマヤ。

翌朝、朝日に包まれて目を覚ましたマヤ。
東京を離れたことに改めて気付き、
次の瞬間にはヘレンの役作りを考えるあたりプロである。

「ヘレンとして一人で遊べるようにならなければ
 ヘレンはつかめませんよ!」

長野の別荘に来てまでも、月影先生の鬼指導が脳裏をよぎる。
恐るべし月影千草。

朝食を済ませると森へ。

「歩いてみようか。ヘレンのように。」

目を閉じ、手探りで森を歩くマヤ。
いきなりアウトドアとか無鉄砲極まりない。
石や根っこにつまづき、
木や枝にぶつかり、
転び傷つき汚れる。

「目が見えないって
 こんなに不自由なものだとは思わなかったわ。」

そして夜。
別荘で山下さん夫婦が待っていると、
帰ってきたのは傷だらけ、泥だらけ、
衣服は破れたボロボロになったマヤ。

知らん人が見たら、暴行されたと思うだろう。

「マヤちゃん・・・その格好・・・」

「ああ、お腹減っちゃった!
 森の中を散歩してきたの。」

「森の中を散歩しただけであんなになるものかしら?
 一体どんな歩き方したんだ?」

山下夫妻をドン引きさせるマヤ。
そして、朝食を食べ終えてから、夜になるまで歩いていたのだろうか。

そして夕食。
山下夫妻と食卓を共にしているにもかかわらず、
目を閉じ、素手でおかずを掴む。

山下夫妻二度目のドン引き。

「ねえあんた・・・思うんだけどさ・・・
 あの子、普通の子とちょっと違うとは思わない?」

マヤが去った後のこの山下夫人の感想はあながち間違っていない。

そして今度は、ヘレンのように目を開けながら、階段を降りる稽古。
だからなんでいきなり危ないところに行くのか?

手探りで階段を降りるマヤ。
しかし階段の途中にはなぜか開かれた本が落ちている。
目が見えない芝居をするマヤの目には当然本は見えている。
そして本を避けて階段を降りてしまうのだった。

「怖かったんだあたし・・・
 本を踏めば階段から落ちるとわかっていたから・・・
 だめだ、ヘレンになりきれない!
 本能が危険を避けたんだ!
 本能が危険を!」

大事なことなので二回言ったのだろうか。
人間としての本能で危険を察知し、避けるマヤ。

しかし役者の本能で、
朝から晩まで目を閉じて森林をさまよい、
初対面の人の前で恥じらうことなく素手で食事をし、
さらには階段を降りるという無鉄砲をブッ通す。

かわいそうなのは山下夫妻である。
別荘のオーナーの速水真澄の依頼とはいえ、
こんな不気味な少女の世話を任され、
別荘番も楽ではない。

一方神奈川県の「希望の家」。
姫川亜弓がこの盲聾唖施設において
演技のためにボランティアに参加していることを聞きつけたマスコミが殺到していた。

「いくら演劇のためとはいえこんなことが人道的に許されるんですかね?」

施設の方へ詰め寄る記者風の男
そして階段に現れたのは姫川亜弓。
手探りで階段を降りようとしている。

「三重苦のヘレンの真似か。
 どこまで研究の成果があったか見てやろうじゃないか。」

そしてなぜか手にしていたリンゴを階段に置いたのだった。

そして姫川亜弓はリンゴを踏んでしまい、
豪快に階段から転げ落ちたのだった。
こんなことが人道的に許されるんですかね?

姫川亜弓は三重苦のヘレンの苦しみを知るためにこの施設に来たのだった。
そのため、ボランティア活動をして盲聾唖者のお世話を十分にし、
真剣な姿に打たれたスタッフの厚意で、
他の盲聾唖者と同じように暮らしているのだった。
そしてその演技はもう、他の入居者と区別がつかないまでのものになっているとのこと。

やはり姫川亜弓は、北島マヤの先を行っていた。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第10巻・炎のエチュード(1)