【ネタバレ注意】ガラスの仮面第10巻その④【俺ともあろうものが・・・】

   

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翌日。
マヤは変わらず闇と沈黙の世界にいた。
階段から転がり落ち、床には食器の破片が。
よく生きているものである。

  • もうどれくらいこんなことをしているのかしら?
  • まだヘレンがつかめない・・・
  • ヘレンとして遊ぶなんてとてもできない・・・
  • わずらわしいこの包帯耳栓、もうとってしまいたい!
  • 音が聞きたい周りを見たい誰かと話したい!
  • 闇と沈黙の中で手探りだけの生活なんていや!
  • ヘレン役なんてもういや!

これまで月影先生に殴られ罵倒されても耐えてきたマヤだが、
闇と沈黙の孤独に投げ出しそうになっている。
そして階段から落ちた際に足を捻挫したようだ。

そのときドアを開いたのは速水真澄だった。
山下さん夫婦の報告を受け、
今なら自分の姿を見られることなくマヤを観察できると思ったのか変態。

速水真澄の登場に気づかずマヤは痛めた足で立ち上がろうとするも
バランスを崩し倒れそうになる。
ここぞとばかりにマヤを抱きとめる速水真澄。

「誰?この手は誰?
 山下のおじさんじゃない・・・」

手の感触で山下のおじさんを識別できるまでには成長したようである。
そして速水真澄の手を取り、指文字を書く。

「あ・な・た・は・だ・れ?」

答えずなぜか都合よく胸に刺してあったバラをマヤの手に渡す。
匂いとトゲで、その物体がバラであることを悟ったマヤ。

「あ・な・た・は・む・ら・さ・き・の・ば・ら・の・ひ・と?」

マヤのその問いに何も答えず、
マヤの腕を強く握り返す速水真澄。
いちいち気持ち悪い。

歓喜のマヤ、有無を言わせず速水真澄に抱きつく。

「会えた!この人だ!紫のバラのひと。
 初めて舞台に立った時から励ましてくれて
 いつも力になってくれた人・・・
 やっと会えた!」

マヤのこの抱擁にさすがの速水真澄も

「チビちゃ・・・」

と自分しか読んでいない恥ずかしいあだ名を口にしかけてしまうという失態。
危ない危ない。

紫のバラの人の胸の中で感激で嗚咽するマヤ。
そしてマヤを抱き寄せる速水真澄。
いちいち気持ち悪い。

そして歩けないマヤを抱き上げ、
ソファーへと連れて行った。

「待ってください!あなたは誰なんですか?
 教えてください名前だけでも。
 あたしいつも感謝しています。
 見ず知らずのあたしにいつもこんなに親切にしてくれて!
 あたしいつも励まされてきました。
 くじけそうになるたびにあなたのことを思い出しました!」

さっきくじけそうになったやん。
そして紫のバラのひとの登場に、沈黙を破ってしまっている。

もちろん速水真澄はそれに答えずマヤの手を取り、

「あなたのヘレンを楽しみにしています」

指文字返し。
そして危険を感じたのか、足早に別荘を出て行った。

そして急用を思い出したと部下に嘘をつき、
明後日までの予定だった長野滞在を切り上げ東京に戻るのだった。

「どうかしてるぞ速水真澄
 相手は10いくつも年下の少女だぞ
 俺ともあろうものが!
 俺ともあろうものが・・・」

確かにどうかしている。
正体を隠して10いくつも年下の少女(女子高生)を別荘に招き、
姿を見せないつもりが、ヘレン役の稽古で目と耳をふさいでいることを聞き及び、
こっそり見にいき、抱きしめるという
字面だけでみたら犯罪である。
いや、ただの犯罪である。

そして頭を抱え、「俺ともあろうものが・・・!」
やってしまった感を演出。
読者の中では俺ともあろうもの=ただの変態になっているのだが。
これ以上長野にいたらどうにかなってしまいそうだと思ったのか。
しかしこのタイミングで秘書の水城さんがいなかったのは
速水真澄にとっては幸運である。
きっとまた怒られからかわれていたことであろう。

一方のマヤは、紫の人と会えた喜びで気をとりなおした。

「やるわ!あたしくじけない!
 ここできっとヘレンをつかんで見せる・・・」

紫のバラのひとの目論見通り、
マヤはヘレン役を掴む決意を新たにし、
紫のバラのひとは、自らの破廉恥な行動を恥じ、後悔し、自己嫌悪に陥ったのであった。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第10巻・炎のエチュード(1)