【ネタバレ注意】ガラスの仮面第10巻その⑤【言葉を忘れてしまったのか?】

   

Pocket

紫のバラの人の登場に、ヘレンを掴む決意を新たにしたマヤ。
しかしやることはあまり変わらない。
手当たり次第食料を貪り、
食器を落とし、家具にぶつかり破壊しまくる。
そしてすっ転がった石膏像につまづきぶっ倒れる。

闇と沈黙の中で、時間の経過を感じることもなく、
その中でマヤの感覚は研ぎ澄まされていく。

「虫がいる、変だなどうしてそんな気がするんだろう?
 見えるわけでも羽音が聞こえるわけでもないのに・・」

事実マヤのそばには蜂が飛んでいた。
そら窓も壊れ、そこらじゅうに食料撒き散らしたら寄ってくるだろう。
しかも描写からするにスズメバチである。
気配を感じ、そして蜂がマヤに触れた。

「マヤは本能で虫を避けた
 あの虫に触れたときの嫌な感触と
 刺すかもしれないという恐怖が
 見えないだけに大きかった。」

そらスズメバチやし見えても怖いわ。
そして近くに落ちていたカーテンかシーツのような布を振り回し、
なんとスズメバチを窓の外に追いやったのであった。

スズメバチに攻撃するという一番やってはいけない行為である。

「今のマヤにとって虫一匹のことでもそれは事件であった。
 そしてこの頃からマヤの思考はだんだん麻痺して
 感情だけで動くようになっていったのである。」

いやいやもともと感情だけで動く生き物ですが。

一方で東京。
一ツ星学園では金谷英美が部室で映像を繰り返し見ていた。
実在の三重苦の少女、エイミーの実録フィルム。
階段を降りてくる映像、
食事をする映像、
首を振る癖、
やっと覚えた人を呼ぶ合図、
12回見たにもかかわらず、まだ参考になるという。

そして数日前に金谷が演じた映像と比較する。
階段を降りてくる芝居、首を振る芝居、
そして人形を取り上げられヒステリーを起こす芝居。
しかし金谷は不満そう。

「なんて表情をしているのかしらあたしったら。
 まるでヘレンらしくない、あたりまえの子供のヒステリーだわ。」

そして顧問の先生に再度撮影を依頼する。

「映画研究部、8ミリの用意はいいか!?スタート!」

スマホの動画でもない、ビデオカメラでもない、
8ミリフィルムを使用して、他の部活を動員してまでの撮影体勢。
例の鬼婆のときもこれほど入れ込んだのであろうか。

そして神奈川県の希望の家。
こちらの盲聾唖施設では姫川亜弓が静かに暮らしていた。
爪を弾く遊びをマスターし、三重苦の境地をつかんでいた。

ライバルたちがそれぞれのアプローチでヘレン役を掴みかけている中、
マヤは変わらず目隠し耳栓の日々。
カーテンはボロボロ。家具は散乱。
山下さん夫婦も諦めたというか達観した様子である。

そして偶然にも転がっていた毛糸の玉を見つけ、
糸を引いて解いては手繰り寄せる遊びをマスター。
雨が窓から吹き込んでくると飛沫が顔にかかるのを感じ、
本能的に窓に向かう。
窓を閉めようとするとかなり大きめ重めの窓がマヤの手を挟む。
引っ張っても抜けない。
窓を持ち上げようとしても持ち上げられない。
マヤはただ叫び、暴れるだけであった。

「2回のマヤちゃんの部屋だよ!
 またなんかやらかしたのか!?」

異変を感じた山下さん夫婦が駆けつけると、窓ガラスは大破。
壁やガラスを殴った右手、窓に挟まれたままの左手は血まみれ。

「言葉を忘れてしまったのか?
 助けを呼ぼうと思えば呼べるのに・・・なんて子だ・・・」

こうしてヘレン役に向けた候補者の特訓は終わった。

マヤは傷だらけ、服はボロボロ。
そして食器多数破壊。
食材は床に散乱し、
その他家具調度品などを徹底的に破壊。
カーテン・シーツなどの布類は引き裂かれ、
窓ガラスは大破。雨水浸水。
被害総額数十万円といったところか。

これらを修繕、掃除する山下さん夫婦が今回の特訓のMVPであるといえよう。
そしてオーディションの日を迎えようとしていた。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第10巻・炎のエチュード(1)