【ネタバレ注意】ガラスの仮面第10巻その⑦【からいと思わなかったものですから】

   

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一次審査を終え、二次審査の待ち時間。

「やっと一次審査が終わってけれど次は何を一体やらされるのかしら?」

青くやつれた表情の白鳥令奈。
演技をするのではなく「やらされ」ているらしい。

「もうお昼よお腹すいたわ!」

マネージャーに噛み付く早川あきこ。
こんなやつは売れたらめんどくさい。

すると例のサングラス司会者が現れる。

「おまたせいたしましたみなさん。
 もうお昼ではありますしお腹がお空きになったでしょう。
 こちらの食事の用意がしてございます。」

ぞろぞろと連れられる候補者一同。
会場の扉が開くと、大きなテーブルの上には和洋中様々な食事。
そしてテーブルを囲むように見ている審査員一同。

「これからみなさんにヘレンとして食事をしていただきます。」

愕然とするメンバー。

「目も見えず耳も聞こえないヘレン・・・
 お腹が減った・・・・」

早速マヤは状況を把握しヘレンの気持ちに切り替えた。
長野の別荘での特訓が役立ったのだろう。
とっさにマヤの嗅覚が働く。
そして同時に姫川亜弓の鼻も作動していた。

「何を選んで食べればいいのかしら?
 舞台の上で様になるもの・・・」

芝居の本質をわきまえず、見栄えにこだわる早川あきこ。

「こんなことさせられるなんて思いもよらなかったわ!
 演技しやすい食べ物はどれかしら?
 ヘレンはナイフもフォークも使わないし、
 食べ方がみっともなくなるのは嫌だわ。」

相変わらず演技をやらされているスタンスの白鳥。
彼女は親にでも無理やり芝居をやらされているのだろうか?

そしてかませ犬二人がビビっている間に、
マヤは鼻をテーブルに近づけていた。

しかし沈黙を破ったのは実力派の金谷。
皿の上にあった食物を撒き散らしながら掴み取ると、
豪快に口へ放り込む。
そして丼の存在に気付き、その温度を指で計ると、
丼に手のひらをぶちこみ、ラーメンを掴み食い。
さらにはおにぎりを握りつぶし、肉をちぎり、
次々と平らげていく。

「いやしかし、この芝居っ気たっぷりな演技、
 まさに舞台で絵になる・・・」

この豪快な演技には審査員も満足。
そして前述のかませ犬二人は、とりあえずの演技で乱れることなく食事を続ける。

「それに引き換え、白鳥令奈と早川あきこは
 ヘレンとしてそつはないが
 いやおとなしい感じがしますなあ。」

落選確定。
そして審査員の注目はマヤに。

テーブルの上を嗅ぎ回っていたマヤ。
スープの皿に顔面を突っ込みすする。

「な、なんですかあれは・・・ヘレンというより犬みたい・・・
 匂いを嗅いで好みの食べ物を選んだまではいいがあの食べ方・・・
 ヘレンの演技としてはあまりに野生的すぎますわ・・・」

お上品なマダム審査員には不評である。
しかしそれを遮ったのは大女優・姫川歌子。

「しかしアニーサリバンと出会う前のヘレンは
 人間という名の動物でしたわ。
 そうではありません?」

的確な解説に審査員も納得。

そしてお次は姫川亜弓だ。
カレーライスの匂いに誘われ皿に近づき、
指を突っ込むとその熱さに驚き、カレーを審査員の顔面に飛ばす。
さらに匂いを嗅いでカレーを舐めると
吐き出したのだった。
これには姫川歌子さん、小野寺先生もびっくり。

カレーから離れ、手当たり次第食べていると、食べ物を落としてします。
床に落ちた食べ物を探し当てるとそれを口にする。
審査員一同脱帽。

豪快に食いちぎる金谷。
あたりさわりなく食べるかませ犬二人。
皿に顔面をつっこむマヤ。
床の上の食べ物を拾って口に入れる姫川亜弓。
なかなかの絵面である。

そして第二次審査終了。
候補者が部屋を出ようとすると審査員が姫川亜弓を引き止める。

「まず一番はじめにカレーを選んだが、あれはなぜかね?」

「理由はありませんわ。
 ただ一番匂いが強烈だったから引き寄せられたまでです。」

しっかり理由のある回答。
すかさず姫川歌子さんが質問。

「カレーをちょっと舐めてそれから吐き出しましたね。
 あれはなぜですか?」

「からいと思わなかったものですから」

「!!!」

去っていく姫川亜弓。

「からいと思わなかった・・・からいと・・・」

呪文のように繰り返す小野寺先生。
そして解説が始まる。

  • わかりませんか?この一言はまさにヘレンでないと出てこないセリフ。
  • 身も心もヘレンになっていないと出てこないセリフ。
  • 皆には目の見えないふり、耳の聞こえないふりをしてもらっている。
  • それはふりであって、実際にはどんな食べ物かは見えている。
  • カレーがからいのは当たり前。
  • ふりだけの演技なら吐き出しはしないでしょう。

続けて姫川歌子さんの解説。

  • でもヘレンにはわからなかった。
  • 手を触れただけではそれがなんなのか・・・
  • 辛いと思わなかった。だから吐き出したんですよ!

歌子さんの解説に驚愕する審査員一同。
説明されないとわからない無能審査員どもめ。
そして小野寺先生の謎解きの一番おいしいところを、姫川歌子さんがかっさらっていったことは秘密である。

しかし、見せ場をさらわれたにも関わらず小野寺先生。

「姫川亜弓・・・やはり恐ろしい少女だ・・・」

あんたいつも一緒に芝居しているんちゃうの?
ここにきてやはり、「小野寺先生、演出していない演出家疑惑」が濃厚になる。

審査の方向性は混沌としてきた。

「難しくなってきましたね。
 ダイナミックな演技の金谷英美と
 完璧なまでの姫川亜弓・・・」

「白鳥令奈や早川あきこもそつはないが、
 この二人に比べると平凡に見えてしまう・・・」

二人の落選は確定的なようである。

「あと一人・・・北島マヤ・・・
 動物的な匂いを感じさせるあの少女・・・
 なんとなく引っかかる子ですなあ・・・」

マヤの動物的な芝居を見て、
「動物的な匂いを感じさせる」とか
当たり前のことしか言えない審査員。

今回の審査員は姫川歌子さん以外はポンコツだ。

オーディションはまだまだ続く。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第10巻・炎のエチュード(1)