【ネタバレ注意】ガラスの仮面第11巻その①【信じられない・・・バカな・・・】

   

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三次審査は舞台上でヘレンの扮装をしての芝居。
いよいよマヤの出番。

「紫のバラの人・・・そうよあの人のためにも一生懸命やらなきゃ!」

マヤのヘレン役を楽しみにしている紫のバラのひとへの感謝を胸に本番に臨む。

舞台上手のテーブルで話をしている父親と兄。
マヤ演じるヘレンは彼らの匂いを嗅ぐと、母親でないことに気づく。

「なんですかありゃ・・・
 匂いなんか嗅いで動物的な探し方ですこと。」

お上品な審査員には受け付けない。

舞台上で母親を探すヘレン役のマヤ。

「かあさん・・・」

お手伝いさん役の女優に抱きつくも、
母親でないことに気づき暴れ出す。
そしてヘレンの母親への思いと、
マヤの行方不明の母親への思いがシンクロし、
大粒の涙が。

思わず引き込まれる速水真澄と姫川亜弓。
泣き崩れたマヤは壁をバンバンと叩き続けるのだった。

演技審査終了。

  • 取り立てて素晴らしい演技とは思えない
  • 匂いを嗅ぎまわったくらいまでは変わっていたが
  • 野生的動物的すぎてヘレンのイメージからは遠い。
  • もっともさっきのあの表情にはどきっとした
  • なんだかやけに印象に残る・・・

口々に評する無能審査員ども。

三次の審査の段階では、候補は二人に絞られていた。
ダイナミックな演技で観客をひきつける金谷英美と、
天才肌の演技をして場内を唸らせる姫川亜弓。
他の3人も奮戦はしたものの、評価はイマイチである。
そしていよいよ最終審査が始まる。

五人の候補者が集められたのは、何もない殺風景な部屋に椅子があるのみ。

「審査員の先生方はあとでいらっしゃいます。
 それまでヘレンとしてここでおまちください。
 最終審査です。」

念を押すように言うと去っていったサングラス司会者。

一方で審査員室。

「果たしてこの審査に合格できるものがいるでしょうか?
 もしいるとすればその者こそまさにヘレン。
 合格者が誰一人いない場合は、
 先ほどの二人に絞って票決ということにしましょう。
 金谷英美か、姫川亜弓か!」

最終審査会場ではうろたえる候補者たち。

「何をやらされるのかしらこんなところで・・・」

相変わらず演技に対して受け身の白鳥令奈。

「なんだかこわいわ」

自分の気持ちに正直すぎる早川あきこ。

そんな中マヤは腹を括っていた。

「ヘレンとしての最終審査。
 このヘレン役に合格しなければ月影先生のもとを破門される。
 ヘレンで居られるのはこれが最後かもしれない。
 あたしはヘレン・・・・」

決意を固めたマヤ。
うろたえる早川と白鳥、
無表情の姫川亜弓。
そして金谷英美。

五人は椅子に座り時が過ぎるのを待った。

すると突如なり出す非常ベル。

「なんだ火事か!?非常口はどこだ!」

驚くスタッフや関係者。

「いったいどうしたのよ!何が起こったの!?」

そして思わず席を立つ、早川、白鳥、そして金谷。

そしてその様子を審査員室で見ていた小野寺先生。

「こんな・・・こんなことが・・・
 信じられない・・・バカな・・・」

非常ベルが鳴り響いているにもかかわらず、
姫川亜弓、そして北島マヤの二人は席に座ったままだった。

非常ベルの音が鳴り止む。

「やんだわ。なんだったのかしら?」

安心する白鳥と早川。
驚いて振り返る金谷、その先には椅子に座ったままの亜弓とマヤ。

「しまった!!」

さすが金谷英美、このタイミングで審査の意図と自らの失策を悟ったのだった。

そして入ってくる審査員の先生方。

「最終審査終了。」

「終了?どういうことですか?」

「今のベルがそうだったのですよ。
 はじめに言ったはずです。ヘレンとして待てと。」

ようやく自分たちの失敗に気づく二人。

審査員が説明を続ける。

  • そうは言っても生身の人間。反射的に体が動くもの。
  • 動かずに居られるのは本物のヘレン
  • もしくは本物のヘレンを演じられるものだけだ。
  • 昔アメリカでヘレン役のテストの時、大きな音を立てて振り向かなかった少女がいた。
  • のちに大絶賛され、アカデミー賞に輝いたパティ・デュークだ。
  • そのパティがここに二人もいようとは正直想像もしなかった

「そうだったのあれが審査だったの・・・・
 あたしヘレンで居られるのはこれが最後かもしれないと思って座ってたの。
 そうしたら不思議に気持ちが落ち着いて自分が北島マヤだってこと忘れて
 音が鳴っていたことはわかっていたけれど何も感じなかったの。
 ふりかえりたいとも思わなかった・・・」

久々に出ました。マヤの自分の演技と心の振り返り。
これは誰に向けて発信しているのかは謎である。
しかし思うがままに、自分の心と手の内をペラペラとしゃべることで、
思わぬ敵を作ることがある。

「この子・・・!」

もちろんこの時は姫川亜弓が、自身の演技アプローチとは異なるマヤの心境に驚いていたのだった。

「姫川くんはどうしてだね?」
「役になりきったまでですわ。ヘレンとして待てとおっしゃったのから」
「ほう、ではあの非常ベルが本物だったとしても動かずにいたかね?」
「演技をやめろと言われない限りは。」

姫川亜弓の優等生的な発言にどよめく関係者。
しかし当の亜弓の表情は浮かない。

そしてその光景を見ていた金谷英美。
悔しさをかみしめるも、気持ちを切り替えて去っていった。

「負けたわ。私は負けた。
 ヘレンに関するすべてのデータ、緻密な演技計算!
 すべてに狂いはなかった!
 狂いがあったとすればヘレンの心。
 ヘレンの気持ちだけが計算外だった。
 自分を捨て切れなかった。ヘレンの仮面をかぶれなかった。
 姫川亜弓、北島マヤ、二人のライバル、
 いつかきっとしのいで見せる・・・・」

自らの敗因とアプローチの失敗を悟りながら去っていく。
そしてこの金谷英美が再び、マヤと亜弓の前に立ちはだかる日は
ない。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第11巻・炎のエチュード(2)