【ネタバレ注意】ガラスの仮面第13巻その②【あの夏の時の・・・!】

   

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アカデミー賞授与式の後は華やかに受賞パーティーが開かれていた。

賞を受賞した役者やスタッフと業界人たちの交流。
主演女優賞を受賞した姫川亜弓さんはさすが大女優だけあって
こういった場にも慣れていらっしゃる。
ちなみに娘の姫川亜弓は帰ったらしい。
母親から女優としての才能や魂は受け継いだが、
協調性は遺伝しなかったようである。

一方のマヤは会場の隅で居場所がなさそうだ。

「こんな時こそ自分を売り込んで目立たなきゃ!」

付き添いの麗に促されるも

「みんな知らない人ばかり、こわい」

と消極的。舞台を降りたマヤはただの内気な女子高生である。

宴会場ではやはりこの人、速水真澄が中心に。
大都芸能は今回12部門を独占するほどの躍進ぶり。
若社長のその仕事っぷりと独身に話題がいく。
理想の女性像を聞かれるも

「まだ僕には理想なんてありはしませんよ。
 仕事の方がおもしろいですからね。
 愛だの恋だのヒマがなくちゃできやしませんよ。
 心にヒマがなくちゃね。」

読者が聞いたら、そして秘書の水城さんが聞いたら失笑してしまう台詞である。

速水真澄の前には某舞踏団の亜希美麗というダンサーとそのマネージャーが。
速水真澄に対して熱烈に売り込もうとするも、つれない態度。
その冷徹なやり手ぶりに関係者はどよめく。

「速水真澄・・・誰にも心を許さず
 大都芸能の発展にしか目がない仕事の鬼・冷血漢・・・
 彼の弱点はなんだ?いったい・・・」

読者からそして秘書の水城さんから見れば、
こんな弱点だらけの生き物はいない。

速水真澄が会場の端に目をやると、隅っこにじっとしているマヤ。
速水真澄はおもむろに近寄ると

「一曲踊っていただけますか?」

「あたし踊れません。」

「大丈夫恥をかかせるようなことはしないよ」

冷血漢が一人の少女を誘ったことに会場はどよめく。

「どうしてあたしなんかを誘ったんですか?」

「大都芸能の名を高めてくれた今日の殊勲者の一人だからさ。」

不安そうなマヤをリードしながら

  • 結構なことだいい宣伝になる
  • 君はこれからスターになるんだ
  • 引っ込み思案じゃスターになれない
  • 大勢の中ではどうすれば目立つかを考えろ
  • どうすれば自分を売り込めるか、すべてがそれにかかっているといっていい
  • この世界は才能だけでは生きていけない

おきまりの芸能界のしきたりを伝授すると見せかけて近づくパターンである。

速水真澄と踊るマヤに会場は注目。
早速話題になっていた。

しかしダンスに不慣れなマヤは周囲に足を引っ掛け、
速水真澄に抱きついてしまう。

「えっ・・・
 この感じ・・・
 確か前にどこかでそっくりな・・・
 似てる・・・あの夏の時の・・・!まさか・・・」

紫のバラのひとの別荘での出来事を思い出すマヤ。
ちなみに大都芸能の仕事の鬼・冷血漢も冷や汗をかいている。

「ラブシーンはまだ早いよチビちゃん。
 どうした?会場の熱気でのぼせたか?
 さあ行った!みんなに挨拶してくるんだな!」

取り繕うように冷たくなる冷血漢。

「まさか・・・あの冷血漢が・・・ただの偶然だわ・・・」

「気づかれた・・・?いやまさかそんなはずはない・・・」

うっすら気づかれているというのに仕事の鬼の読みは浅いと言わざるを得ない。
そしてこの様子を冷ややかな目で見つめるのは水城冴子。
この人にも気づかれていた。

「あの子の売り出しに一役お買いになりましたのね。
 ご覧なさいませ。あなたの狙いは成功したようですわよ。」

マヤの周りには関係者が群がる。
それを遠巻きに見ながら水城さん。

「でもお気をつけあそばせ。
 あなたの弱点を掴もうと鬼千匹がいつもあなたを見張っているのですから」

「どういう意味だ?」

「いえ・・・あなたの中で眠っていた優しさが目覚めつつあること・・・」

「優しさ?そんなことを言われたのは生まれて初めてだな。
 どうかしたんじゃないのか?水城くん。」

笑いながら去っていく速水真澄。

「まだあなたは気づいていらっしゃらないの?
 それとも隠しているだけ・・・?」

相変わらず読者の気持ちになって、
速水真澄に言いたいこと突っ込みたいことを言ってくれる水城さんである。

社長秘書という立場にありながら一体何がしたいのだろうか?
この人の洞察力はハンパないものであるからきっと仕事もできる人なのだろう。
しかし、若社長のプライベートや心の壁の向こう側に
ズカズカと入っていく(しかもパーティー会場で)という
異常なデリカシーのなさがあり、それがまた魅力でもある。

マヤへのねじ曲がった感情を抱きつつも、マヤをスターにしようという速水真澄と、
その一部始終に気づいていながらも、彼の本心を暴こうとする秘書。

これからマヤの大都芸能編は、水城さんの活躍から目が離せない。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第13巻・華やかな迷路(1)