【ネタバレ注意】ガラスの仮面第13巻その③【死ぬものですか!どんなことがあっても・・・】

      2017/12/09

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「奇跡の人」を終え、続いてマヤが芸能界に羽ばたく前夜。
今回はいろんな人がいろんなところで伏線を張っている。

地下劇場では劇団つきかげと劇団一角獣のメンバーが
ささやかな祝賀会を催していた。

ロングの描写なのでよくわからないがメンバーは
マヤ、青木麗、水無月さやか、堀田団長、二の宮恵子、田部はじめ、そして月影先生。

沢渡美奈や、春日泰子はおらんのかい。
一角獣のメンバーよりも露出頻度が減っていく。

「助演女優賞おめでとう。
 ついでにMBA大河ドラマ出演決定おめでとう!」

ついで扱いされる大河ドラマ。

「それから月影先生の退院を祝して、乾杯!」

やはりまだ万全ではなかったようである。
にも関わらず連日劇場に通い、
数時間立ったまま観劇。
よくなるはずがないにも関わらず退院。
日々の不穏患者ぶりに追い出されてしまったのだろうか。

「実際不思議な子だよな。あの子。誰も妬んでない。」

冷静に分析する堀田団長。

  • 自分たちの中からスターが一人でも生まれると普通は妬むもんだ。
  • 役者なんて大体は自己顕示欲の強い連中。
  • 憎まないまでも不愉快な気分ではいるはずだ。
  • ところがここの連中は心から喜んでいる。
  • それどころかあの子が失敗しやしないかとみんな本気で心配している。
  • 見た所取り立ててどうって子じゃないのに、いったいどんな魅力があるんだ??

冷静な分析ではあるが、
全日本演劇コンクールにて出会い、
「ジーナと5つの青い壺」ではとてつもない一人芝居を見せられ、
しかも舞台裏では裏方を担当。
その後には地下劇場で合流、共演し、
「石の微笑」ではセリフがないにも関わらず
人形役で圧倒的な存在感を見せつけられたにも関わらず、
堀田団長の目は節穴である。

所変わって公衆電話から桜小路邸に電話するマヤ。
桜小路君の母や妹には居留守を使われたり陰口を叩かれたり、
嫌われていたマヤは恐る恐る電話をかける。
電話口に出たのは妹の玉美。

「まーっ!北島のおねえさま!」

かつて「連れてくるなら姫川亜弓さんがいい」とか陰口言うてたくせに、
助演女優賞を取り、大河ドラマの出演が決まると手のひらクルーである。
あたかも身内のように、友人にまで自慢しているようである。

ハイテンションの妹とは打って変わって、
電話口に出た桜小路君は浮かない感じ。

「どうしたの?元気ないみたいだけど・・・」

「そうかい?元気だよ。
 これからますます忙しくなるね。
 今までだってそうだったけど。
 もう滅多に会えなくなるね・・・」

不穏な空気を残しつつ電話を母親に替わる。

「お忙しいでしょうけれどまた遊びに来てくださいね。」

母子家庭であることを理由に居留守まで使ったくせに、
手のひらクルーである。

母親と妹の変わりようにとまどいつつも、
桜小路君の微妙な感じに不安になるマヤであった。

舞台は変わって長野県。
山間の高原の「福井病院」
入院しているのはマヤの母親、北島春だ。

「おはよう春さん。もうあまり咳き込まなくなったようだね。」

「先生には本当にお世話になっております。身寄りもなくお金もないのにずっと面倒を見ていただいて。」

「いえいえ国の福祉ですからな
 しかしあんたが行き倒れになってここに運ばれて来た時はまあ驚きましたがな。
 あれから一年あまり、ずいぶんよくなったものだ。
 ただその時の栄養失調がもとで見えなくなった目だけがまだよくならんかのう・・・」

北島春、一年ぶりの出演にも関わらず相変わらず壮絶な人生である。
一人娘は家出し、結核を患う。
ブラック中華料理店「万福軒」を体良く追い払われ、
退職金がわりに送られた山梨の結核療養所から行方不明になり、
東京をうろうろし、地下劇場まわりを徘徊していたらそのまま行き倒れ、
長野の高原の病院に送還され、結核は快方に向かうものの失明寸前。

行き倒れになった時の栄養失調というが、
栄養失調の原因すらも万福軒にあるのではないかと疑ってしまう。
「ガラスの仮面の登場人物で一番可哀想な人は誰?」ときかれたら
いの一番に「北島春!」と言ってしまうわ。

そんな不幸にも関わらず、母は生き別れた娘を思い、
お守りに入れた雑誌の切り抜きを目が見えなくなるまで毎日見ていたのだという。
ちなみに雑誌の切り抜きは、山梨の結核療養所に向かう途中、
となりのおっさんの週刊誌から切り取ってもらったもの。
紙が劣化し、誰の写真かわからないほどボロボロになるまで、
大事に持っているのだった。

一方月影先生は浮かない顔をしている。
あからさまに浮かない顔をしている。
明らかに「どうしたんですか?」待ちみたいな顔をしている。

「どうなさったんです月影先生?浮かない顔をして?」

さすが劇団つきかげの大黒柱・青木麗は、
月影先生のそんな小さなサインも見落とさない。
待ってましたとばかりに浮かない顔の原因を語る月影先生。

  • 私は本当はマヤのテレビ出演はやめさせたかった
  • あの子の演技がテレビで通用するか?テレビ界でどう生きていけるか?
  • あの子はスターになるかもしれない。でも大失敗するかもしれない・・・
  • そのどちらもあの子に悪影響を与えるでしょう。
  • もしかしたら女優としてダメになるかもしれない。
  • でも私はあえて止めなかった。

「でも先生そうなった場合、マヤはどうなるんですか?」

「女優としてだめになるか、それを乗り越えて大きく飛躍するか、
 二つに一つでしょうね。私は賭けてみたんです。」

逆にその二つ以外に何があるというのか。
そして愛弟子の未来をあっさり賭けてしまう。

「姫川亜弓に北島マヤ・・・
 二人の紅天女候補・・・
 死ぬものですか!どんなことがあっても・・・
 紅天女を生み出すまでは・・・!」

マヤの心配をしていたのかと思ったら最後は自身の紅天女への執念。
そら、愛弟子の未来すらあっさり賭けてしまいますわ。

「わかりました。その番組お引き受けいたします。」

姫川亜弓は帝都テレビの出演を承諾した。
なんでも長らくテレビ出演は断っていたらしい。

「それで役柄について少し注文したいことがあるんですけどよろしいかしら?」

テレビに出演する代わりに役柄に注文を出す。
もはや大女優のやり口である。
紅天女候補に内定したことで自身の今後を見据えての発言か。

一方のマヤもMBAテレビに来ていた。
大河ドラマの役柄の発表と記者会見のためだ。
初めて見るテレビのスタジオ、セット。
前回共演した姫川歌子さんと一緒ではあるが不安は拭えない。

関係者以外はシャットアウトされ、警備員に促されスタジオに入っていくマヤであった。

さて、今回の伏線。
まず、劇団一角獣の堀田団長の発言。
これは劇団つきかげの不協和音を見事なまでに前フリしている。

そして手のひら返しで接してくる桜小路母妹とは裏腹に、
元気がない桜小路君。

マヤと同時期にテレビ出演を快諾した姫川亜弓。

愛弟子の未来をあっさりと賭け、
その没落までを見事に予言する月影先生。

この先読まなくてもだいたいどうなるかわかってしまう、前フリのような見事な伏線である。

そしてマヤの母、春さん。
山梨の療養所を脱走して東京に出て来たのに行き倒れ、
山梨よりもさらに山奥の長野の病院に送還。

マヤの無鉄砲は母親に似たのだろうか。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第13巻・華やかな迷路(1)