【ネタバレ注意】ガラスの仮面第13巻その④【マヤ、お演りなさい!】

   

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いよいよ劇団つきかげを離れ、
芸能界に、テレビの世界に飛び出したマヤ。
月影先生の独白からこの章は始まる。

「マヤ、お演りなさい!
 テレビの中であなたの演技がどこまで通用するか!
 舞台から離れたあなたがその世界でどう生き抜くか。
 女優としての試練をどう乗り越えるか。
 数々の曲がりくねった道を
 行きつ戻りつその果てを目指して
 そう!成功してスターになるか
 失敗して何の取り柄もない女の子に戻るか。
 進みなさいマヤ!
 今華やかな迷路への出発が始まったのです!」

お約束の黒い背景に、黒い髪、黒い服。
浮かんでいるのは月影先生の顔のみ。
「お演りなさい!」
「お殺りなさい!」に思えてくる。
そして愛弟子への熱烈なエールにも関わらず、
「何の取り柄もない女の子に戻る」
さらっとひどいことも言っているようである。

MBAテレビ局では大河ドラマの制作発表が行われていた。

タイトルは「天の輝き」

激動の明治の時代、文明開化の嵐の中で
天の輝きだけを仰ぎ見て生きる情熱的な一人の男を中心に、
明治という時代を生きる様々な群像を描こうというものである。

以下、配役発表!
主役 森平四郎:川村鉄
ヒロイン おりん、本名村松楓:姫川歌子
田沼虎二郎伯爵:前田洋一
その息子田沼満:川原悟郎
その妹田沼伯爵令嬢沙都子:北島マヤ
水品子爵令嬢彩子:斉藤陽子
陽明学者 小笠原東陽:中村草太
藤沢の豪農 三觜八郎右衛門:春川俊
洋医学者 増村多吉:戸塚守章

次々と配役が発表され、主要人物だけでも25名。
明治の東京を中心に横浜や北海道、
アメリカロシアイギリスと、世界を股にかける大作である。

記者たちの質問は主演の川村や姫川歌子さんに集中。
そんな中マヤはこれから自信が演じる沙都子への期待を膨らませるのだった。

勝気で気位の高い、それでいて進歩的なものの考え方をし、
文明開化を的確に捉えている少女。
とのことである。

記者会見の後はADの渡辺くんから台本をもらったり、
衣装部では採寸から時代考証、髪型も考えての衣装考案、
さらには演出陣との打ち合わせも。
何と初登場時は8歳。
しかし精神的にませており、
親切で屈託がないながらも気位は高く、
異人に恐れを抱くが仲良くなりたいという願望もあるという役柄だそうな。

そして次にマヤが呼ばれたのはプロデューサーの萌島さん。
そこには番組スポンサーの日向電気の宣伝部の星合さんも同席。
ここで厳しく前フリのような注意を受けるのだった。

  • テレビの世界はよく知らんだろうから話しておく。
  • 君は日向電気の番組に出る。世間の人に注目される。
  • 日常生活での言動にはくれぐれも注意してもらいたい。
  • 番組や日向電気のイメージを損なうようなことを言ったり、スキャンダルはご法度。
  • 使用している電気製品のメーカを聞かれたら日向電気と答えるくらいの機転を持ってもらいたい。
  • 番組のスポンサーは日向電気だということを忘れずに。
  • イメージを損なうような言動をしたら番組を降りてもらわなければならないかもしれない。

これまでは考えもしなかった「スポンサー」の存在に戸惑いながらも
新たに出会った沙都子という役に対して情熱を燃やすマヤであった。

「やるわ!田沼沙都子!伯爵令嬢になれるんだもの。
 もしお芝居をやっていなかったら、北島マヤでしかないのよ。
 平凡で何の取り柄もないつまらない女の子でしかないのよ。
 演劇をしている時だけは伯爵令嬢にだってなれる!
 何になってなれる!無限の可能性がある!」

後半は月影先生とほぼほぼ同じことを言っている。

しかしマヤという存在は一体何なのか。
勉強はできない、運動神経もよくない、
演技以外に特技らしい特技もなく、
一見平凡な地味な外見(やたらとモテているが)
性格も若干変わり者で、友人も多そうではなく、協調性もあるとは言い難い。

マヤ本人もそのことをよくわかっているが
その自己評価の低さは母親の影響が多大であろう。

母の北島春は、マヤを溺愛していながらも、
「何の取り柄もないつまらない子」と罵り、
「お前なんかにできるわけがない」とその可能性を塞いできた。
ここまで閉塞されれば、自己評価が低くなるのも無理はない。

しかしマヤ自身は自分のことをつまらない子と言いながらも、
卑屈かと言われるとそういうわけでもなく、
性格は極めて明るく前向きである。
これと決めたことには打ち込む根気強さも持ち合わせており、
突拍子もないその方向性と行動力で周囲を当惑させる。

以外と敵も多く、共演者には嫌われ、ライバルには恐れられるが、
仲間には守られ、男にはモテる。
そら姫川亜弓も心を病むわ。

そういえばかつて、家出をして劇団つきかげに入ったマヤを取り戻しにきた母に対し、
月影先生はこうおっしゃいました。

「この子を取り柄のない子にしてしまっているのはあなたです」
「なぜこのこの中に眠る可能性にかけてやろうとしないのですか」
「私ならただ一つの取り柄でも見出し育ててやることができるわ」

月影先生は確かにマヤの可能性に賭け、その才能を見出し育てたのは事実であるが、
結局「北島マヤ」−「演技」=「何の取り柄もない子」であるということが
冒頭の独白からうかがえる。

母親に平手を食らわし、やかんの熱湯を浴びてまで、
上記の熱いセリフを言ったにも関わらず、
結局月影先生からみても「何の取り柄もない子」というのが悲しい。

そんなに演技以外のマヤはつまらない子なのだろうか。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第13巻・華やかな迷路(1)