【ネタバレ注意】ガラスの仮面第13巻その⑥【あの子を愛していらっしゃるのね。】

   

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大河ドラマ「天の輝き」の立ち稽古が始まった。
実際の撮影前にも入念に稽古を行う。
稽古場では、前回の共演ですっかりマヤの応援者となった姫川歌子さんが声をかけてくれる。

「どう?テレビのお芝居は。舞台とだいぶ違うでしょう?」

さすが舞台も映像も知り尽くした大女優。
テレビが不慣れなマヤにテレビの撮影手法を一から教えてくれる。

シーンがストーリーを無視して前後し、入れ替わり、
そしてカットで気持ちが途切れる芝居に戸惑うマヤ。
分刻み、秒単位で気持ちを芝居を入れ替え、
沙都子にならなければならないのだから。

大都芸能に戻ったマヤ。

「まだ契約書にサインをしていないそうだが・・・
 素敵な万年筆でもプレゼントしようか?」

前回念願叶ってマヤを大都芸能に譲り受けた速水真澄。
いちいち饒舌だ。

「月影先生に会わせてくれるまでサインなんかしません!
 会って先生の口から大都芸能に入れたことを聞くまでは。」

「もっともだ。君の納得の行く様にしよう。」

完全に勝利を確信している速水真澄。
マヤを連れて来たのは「アクターズスタジオ」
プロの俳優がさらに芸を磨くための演劇研究所で、
大都芸能ではなく速水真澄の父が個人で出資しているのだそうな。
日本の演劇界の発展を願って設立されたのもで、
事務所やプロダクションに限らず才能のあるものは入所できる。
その講師に月影先生は迎えられたのだった。
かつて劇団つきかげで行われた様な
暴力暴言の指導が行われていないことを願うのみである。

「先生・・・」

マヤと目があった月影先生。

「真澄さんこの子をよろしくね。
 今はとにかく私の手を離れましたから。」

「月影先生!
 どうしてどうしてあたしを大都芸能なんかにいれたんですか?
 あたし先生やみんなと暮らしていたかったのに!
 先生に演技のこと教えてもらいたかったのに!」

「甘ったれないで!
 人間はいつだって一人よ!
 もう一人の紅天女候補は今どうしていると思っているの!」

「亜弓さんが・・・」

「今のテレビの仕事が終わるまでここへきてはなりません!二度と!」

手酷く突き放され号泣のマヤ。
速水真澄はレストランにマヤを連れ出す。
この間隙を縫って、契約を迫る腹だ。

意のままに契約書にマヤはサインをしてしまうのだった。

「麗やつきかげのみんなに挨拶していきたいんだけどいいですか?
 みんなには何も言わずにでてきちゃったから。」

「いいとも。みんなにはこの水城くんと月影先生が
 説明してくれたはずだからわかってくれるだろう。
 だが付き合いはそれっきりにするんだな。」

「なっ・・・!!」

「昔の仲間は慰めにはなるかも知れんが
 これからの君にとってはプラスにならない。
 非常に聞こえるかもしれんがこれは本当だ。
 つきあうのならプラスになる人間を選べ。
 君はスターになるんだ!」

「スター・・・あたしが・・・?」

速水真澄の意外な言葉に戸惑うマヤ。

「売出方法はすでに考えてある。
 全て大都に任せればいい。」

するとお店の方がマヤの席にやってきた。

「お客様、北島マヤ様でございますか?
 たった今お帰りになられたお客様から
 これをお渡しする様にとのおことづけでございます。」

「紫のバラ!」

驚くマヤ。

「なん・・・!」

驚く速水真澄。
そして微笑を浮かべる秘書の水城さん。

「その人ね。初めて舞台に出た時から紫のバラを贈り続けて
 あなたを励ましてくれるていうのは?
 あなたがスターになれば、
 その人が一番喜んでくれるんじゃないかしら?」

紫のバラの人からの予期せぬプレゼントと、
水城さんの言った「その人が喜んでくれる」という言葉に、
月影先生の絶縁宣言も忘れ決意を新たにするマヤ。
そして憮然とする速水真澄。

水城さんの援護射撃により、
善は急げとばかりにマヤは麗をはじめとした月影のメンバーや
劇団一角獣のメンバーに別れを告げたのだった。

大都芸能に戻った速水真澄は御機嫌斜めだ。

「なんの真似だ?」

「何がでございます?」

「紫のバラだ、君が送ったんだろう?」

「それがおわかりになるのは、紫のバラの人本人しかいませんわね。
 ついに語るに落ちるというわけですか。」

名探偵水城の罠により、
自らが紫のバラの人であることをカミングアウトしてしまった速水真澄。
名探偵水城の目的は不明である。
そして一気に追求を続ける。

「おかしなこと。
 大都芸能の若社長。
 仕事の鬼。
 誰にも心を許さぬ冷血漢。
 恋などしたこともない・・・

 あの子を愛していらっしゃるのね。

名探偵の豪速球の追求にタジタジの速水真澄。

もはや志村けんの「アイーン」のポーズにならざるを得ない。

「何をば・・・」

「馬鹿なことをおっしゃるというの?
 馬鹿なのはあなたの方ですわ。
 ただのファンだなどとはおっしゃいますな。
 いつもあなたがあの子を気にかけて来たのはわかっています。
 あなたはあの子に恋しているんですわ!」

ちょいちょい口調が時代劇っぽくなる水城さん。

「11も年下の少女だぞ!それもあんな小さな・・・」

「だからなんだというのです?
 今までそう思って自分の気持ちをごまかしてこられたのでしょう?
 あなたはあの少女を愛していらっしゃるのよ!」

水城冴子、今作一番の見せ場である。多分。
社長に向かってズバズバと心の壁を切り裂き、
デリカシーなくその本心を言い当て、
しかもなぜか怒っているという謎のパターンである。

「よさないか!」

「このことをあの子が知ったらどうなると思います?
 大都芸能の多くの社員やタレントは・・・?」

個人的な嗜好が会社の経営にまで支障をきたすことを追及されたことで逆上。
なんと水城さんの顔面に平手打ちを食らわす速水真澄。
もうめちゃくちゃやん。

「すまない・・・」

「いいえ。
 あの子もすぐ大人になりますわ。
 恋をするにふさわしい年に・・・」

部屋を出て行く名探偵。

「愛しているだと・・・?(以下同文)」

今回はカットで切られるテレビの芝居に悪戦苦闘するマヤ。
そして月影先生からの大都芸能への譲渡宣言。
そして名探偵水城さん、紫のバラの人の正体を知る。でした。

しかし水城さんほんま何がしたいのかわからん。
これまでにも上司の本心をズバズバと言い当てたり、
あるいはネチネチといじめてみたり。
今回は速水真澄の前であえて紫のバラをマヤに贈り、
その反応を伺い、速水真澄を罠にかけ、

「語るに落ちるというわけですか。」

と速水真澄が紫のバラの人の正体であることを自白させるのだ。

水城さんがこうも必死になる理由を考えてみたが
以下の三つが考えられる。

1.嫉妬説
水城さんが速水真澄に好意を抱いているため、
嫉妬し、真澄の本心を暴露し、困らせることに執念を燃やしているとするもの。
水城さんの必死の口調や態度はそれを裏付けるには十分であるが、
速水真澄が自覚すらしていない本心を、ズバズバと言い当てることで、
速水真澄の恋心を助長させ、成就することを望んでいる節もあり、
水城さん自身の恋心とは考えにくいかも知れない。

2.仕事説
大都芸能社長秘書として、社長が間違った方向に進まない様に諫言している説。
大都芸能の今後やタレントの将来を熟慮した上で、
そのためには耳の痛いことを直接いうこともある。
今回も「大都芸能の社員やタレントが・・・」と
社内に及ぼす影響を鑑みての発言であることがうかがえる。
しかし、単純に仕事とは割り切れないほど、
本心をズバズバと言い当てており、
速水真澄に嫌われ遠ざけられる可能性も否めない。

3.趣味説
やっぱりこれであろう。
ガンガン速水真澄の困ることを言い、
追い詰められる様をみて楽しんでいる説。
たまに逆上した速水真澄に怒られることもあるがそれすらも逆手に取る。
今回は社長が女性秘書を平手打ちするという、
昨今なら刑事訴訟になりかねないパワハラモラハラ大事件を起こしているものの、
水城さんはあっさりスルー。
ひょっとしたらこれまでにもこの手の事件はあったのかも知れない。
そしてそれをネタに、陰に陽に、速水真澄を追い詰めているのかも知れない。

以上、秘書の水城さんの本心に迫る会でした。

つづ

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第13巻・華やかな迷路(1)