【ネタバレ注意】ガラスの仮面第14巻その③【あなたはスターになるのよ!】
2018/02/17

「今後1年間のあなたのスケジュール表です。」
マヤにスケジュールを手渡し説明する水城さん。
先日マヤの恋心を知り、正式にマヤのマネージャーとなることを自ら申し出た。
職務にも忠実。会社にも忠実。
たまに暴言とも取れる嫌味な発言や行動がある以外は
極めて有能な水城さんである。
上半期だけで、大河ドラマ、夏休み娯楽映画の主演、
インタビュー、ピンナップ、ポスターの撮影、雑誌の特集記事、
まさにアイドル並みの殺人的なスケジュールである。
「覚悟なさい。学校へも滅多に行けなくなる。
でもこの一年が過ぎた時、あなたは確実にスターになっているはずよ。
私のいうことを守りさえすればね。
自分の行動に気をつけなさいマヤ。
里美茂の親衛隊に付け狙われてるでしょう?」
今後の布石と忠告、そして将来の展望と警告から、核心に迫る水城さん。
見事な切り口である。
「あなたほど演技の上手い少女が自分の本心だけはまるで隠せないのね。
恋していないふりはできないの?」
相変わらず棘のある一言も健在。
- あなたはこれからが大事。スキャンダルはご法度。
- 里美茂は青春スター、周りがうるさい。
- この世界は鬼千匹。周囲は全部的と考えたほうがいい。
- 恋はご法度。大河ドラマが始まるとあなたは普通の人ではなくなる。
- あなたはスターになるのよ!
芸能界の真実をマヤに突きつける水城さん。
そしてこれはマヤがこの先、恋で自分を見失い、
周囲の敵に足を引っ張られ、スキャンダルでやらかしてしまうという、
見事なまでの華麗なる前フリになっているのが皮肉である。
マヤのスター街道。
大河ドラマのスポンサーでもある日向電機のポスター撮影。
沙都子に扮するマヤをキャラクターに起用することで、
日向電機のバックアップを受けて、マヤの出番を増やすことにも成功。
ポスター撮影の後は制服に着替え、化粧を落として学校で雑誌のインタビュー。
「あなたは高校生女優として売り出すのだから
できる限り普通の女子高生というイメージを印象付けたいのよ。
あなたは特に美少女というわけでもないし、
演劇以外は取り立てて目立ったものもないでしょう。」
水城さんの毒舌も絶好調だ。
「けれど変身の面白さを持っている。
大都芸能はそれを売り出すことにしたの。
だからあなたは何一つ変わったことをしなくてよいのよ。
平凡そのもの地でやればいいのよよかったわね。」
間違ったことは何一つ言っていないのだが、
なぜ真実を語る水城さんはこうも辛口かつ毒舌になるのだろうか。
雑誌記者たちに囲まれなんとか取材をやり過ごしたマヤ。
インタビュー終わりに水城さんが切り出した。
「実は週刊誌を通じてこの子の行方不明の母親を探していただきたいのです!」
どよめく記者たち。
一年以上前に結核を患って療養所を抜け出したまま行方不明。
唯一の肉親である母親を探している北島マヤ。
その悲劇性も相まって見事なまでに速水真澄の策略に乗る報道陣。
雑誌では特集が組まれ、
高校生女優の薄幸の生い立ちがクローズアップ。
街にはマヤ扮する沙都子の日向電機ポスターが飾られ、
大都芸能の作戦通り、マヤの露出は急増、知名度も大幅向上。
放映開始前にも関わらずマヤはスターへの光の階段を登り始めたのだった。
そして光のあるところ、影があることも知るのであった。
つづく。