【ネタバレ注意】ガラスの仮面第14巻その⑥【動機を持ったものが多すぎる・・・】

これまでマヤがやられた嫌がらせ(犯人もしくは容疑者)
- 刃物を持ってうろつく(里美茂の親衛隊)
- 車を大破され抗議文(巴万里のファンか?)
- 撮影で使うパイにガラス片
マヤに恨みを持っているもしくは持っていそうな人
- 里美茂の親衛隊(マヤが里美に恋したため)
- 端役の吉川さん(マヤのせいで出番削られた)
- 歌手の巴万里とそのファン(映画の主役を奪われた)
- 大女優の山崎竜子(日向電機のポスターCMを奪われた)
マヤへの嫌がらせはとどまることを知らない。
マヤがスタジオに向かうため衣装を着ると、
首筋に鋭い痛みが。
なんと衣装の襟元にカミソリが仕込まれており、
首を動かすと切れるようになっていたのだった。
そしてスタジオへ向かう道中、洗面所の前に人だかりが。
「しかしこりゃひでえな。」
「やはり北島マヤに恨みを持った人の・・・」
野次馬たちの口さがない噂をかき分けて洗面所に入ると。
「天の輝き」と日向電機のタイアップで使用されたマヤのポスターがズタズタに引き裂かれ、
洗面所にさらされていたのだった。
しかし前回のガラス片もそうだが、撮影に関連するものに嫌がらせをしても、
それはマヤを傷つけると同時に、スタッフの仕事の誇りをも傷つけることである。
立派な傷害事件であり、メインキャストクラスの女優に怪我をさせたとあっては、
小道具や衣装スタッフの立つ瀬はない。
プロデューサーはおろか役員クラスが謝罪する案件であろう。
ポスターの一件にしても、制作陣やテレビ局のセキュリティの甘さを露呈している。
にも関わらず、MBAテレビ局は役者もスタッフも噂話が好きだ。
「あの子を妬んでるやつは多いからな」
「あの子がそんな目にあっていい気味だと思っている人間はいっぱいいるんじゃないかしら?」
嫌でも聞こえてくる噂話にさすがのマヤも青ざめる。
しかしここでマヤの気持ちを切り替えたのは、敏腕マネージャーの水城冴子さんだ。
「しっかりしなさい沙都子!スタジオよ。」
「そうだここでは沙都子の世界が待ってるんだ・・・
見えない誰かに心臓をびくつかせ、青ざめているマヤじゃないんだ!
この扉から向こうは沙都子の世界!」
勢いよく扉を開けた沙都子。
「おはようございます!」
あれほどの嫌がらせにも関わらず元気なマヤにスタジオは飲まれるのだった。
今日の撮影は、船のマストに沙都子がよじ登るシーン。
海の彼方を眺め、見知らぬ国に思いを馳せる。
さっそくリハーサル。
マヤがマストをよじ登り、最上段に腰をかけた瞬間、
マストの横棒が斜めに傾いたのだった。
スタジオに響くマヤと関係者の悲鳴。
とっさのことでなんとか傾いたマストにぶら下がったマヤ。
スタッフがクレーンを寄せ、マヤを救出しようとするも、
スタジオの照明が落ち真っ暗に。
「誰だ!電源を切ったのは?」
「停電よ!停電だわ!」
マヤは暗闇の中、地上10m弱に宙づりになっていた。
その頃MBAテレビ受付に現れた男。
「お待ちしておりましたわ」
「水城くん」
ついさっきマヤを勢いよく送り出した水城さんはいつのまにか受付に。
そして彼女が出迎えたのは他ならぬ速水真澄だ。
前回は水城さんが電話で速水真澄に呼び出されたタイミングで、ガラス片事件が起こり、
そして今回は水城さんが速水真澄を迎えに出たタイミングで、暗闇宙づり事件。
やはりこの男、何か持っている。
「どうなりました?マヤを潰そうと企んでいる相手のことは?
調べがつきまして?」
「いや、まだ調査中だが、なかなか尻尾を出さん。
やはりどうやらどこかの芸能社らしいんだが、
誰を使ってどういう手でくるかまるっきりわからない。」
タイムリーな話題の最中にも、マヤは潰されかけているというのに。
やはりこの男タイミング悪すぎる。
そして同じタイミングで受付に現れたのは桜小路優。
彼はどうやらマヤに会うため、スタジオ見学に来たらしい。
「許可はもらってあります。フロントディレクターの河島さんに。」
スタジオに入るには許可がいるらしい。あたりまえやけど。
ということは里美茂の親衛隊や、巴万里の取り巻きも、毎回許可をもらっているのだろうか。
そして彼らがスタジオに着いた時には大騒ぎ。
「スタジオの中が停電、出演者の一人がマストで宙づりに、沙都子役をやっている子らしい!」
それに加え、中から施錠され外からスタジオには入れなくなっていた。
スタジオの中では業を煮やした里美茂。
「今俺が行くからな!待ってろ!」
暗闇の中マストをよじ登る。
「マヤちゃんどこだ?返事しろ!」
そしてマストに体重をかけ、傾いたマストを水平に戻した。
「マストの中心は俺が抑えている。こっちへ来られるか?」
暗闇の中必死で移動するマヤ。
「落ち着いてこい、こっちに来たら俺が捕まえてやる!」
ようやくスタジオに明かりがつき、扉の鍵が開いた
慌ててスタジオに入った速水真澄と桜小路くんが見たものは、
マストのてっぺんで里美茂に抱きかかえられるマヤの姿だった。
マストから降りる二人。
しかし降りた後も、里美はマヤの手を強く握って離さなかった。
男前で、明るくて、気さくで、優しくて、しかも命の恩人。
そんなん惚れてまうに決まっている。
そしてその圧倒的ビハインドの状態で、久々にマヤに会いに来た桜小路くん。
そのタイミングの悪さは速水真澄にも劣らないぜ。
- 今日は君を見たくて来た
- テレビで沙都子を見て懐かしくなって。
- 引越し先教えてくれなかったからどうしたら会えるかと考えて。
- マヤちゃん、今度ゆっくり会いたいんだ!
相変わらず直球勝負の桜小路くん。
字面だけ見たらストーカーと化した熱狂的なファンの狂気じみた行動である。
しかしそれを微塵も感じさせない男前だ。
「ごめんなさい、ここしばらくあたし忙しくて!
ごめんんさい!桜小路くん、あたし行かなきゃ!」
こんな熱烈な口説きも断ってしまうマヤ。罰が当たればいいのに。
一方スタジオでは、スタッフが速水真澄と水城さんに事情を説明していた。
- マストの支えのボルトが引き抜かれていた。
- 一時間前の点検時にはたしかにはまっていた
- 誰かが引き抜いたに違いない。
- 停電も誰かがこのスタジオの電源を切ったらしい
- 電源そのものに異常はなかった。
- この前のパイのガラスといい悪質すぎる
- 誰だか心当たりはありますか!?
「動機を持ったものが多すぎる・・・
心当たりが多すぎるんですわ・・・」
スタッフの質問に対し、何の答えにもなってないことを
あたかも重要なヒントのようにかっこよくいう水城さん。
敏腕秘書であり、敏腕マネージャーであり、名探偵でもある。
一方で乙部のりえから事件の一部始終を聞かされるマヤ。
「一体誰があたしを陥れようとしているの?
あたしには演劇しかないのよ!
あたしの演劇への思いをお願いだから邪魔しないで!」
悲痛な心の叫び。
しかしマヤには現時点では演劇だけではなく、恋の予感もある。
つづく。
マヤへの嫌がらせは止むことを知らない。