【ネタバレ注意】ガラスの仮面第14巻その⑦【外は嵐・・・!】

   

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これまでマヤがやられた嫌がらせ(犯人もしくは容疑者)

  1. 刃物を持ってうろつく(里美茂の親衛隊)
  2. 車を大破され抗議文(巴万里のファンか?)
  3. 撮影で使うパイにガラス片
  4. 撮影衣装の襟に、カミソリを仕込まれる。
  5. マヤのポスターがズタズタに引き裂かれ、トイレに晒される。
  6. 撮影セットの船のマストのボルトが抜かれ、宙づりに。

傷害未遂、器物損壊、傷害、傷害、器物損壊、器物損壊と殺人未遂。
こうしてみるとなかなかである。

そして今日も魔の手がマヤを襲おうとしていた。
多くの報道陣や雑誌記者が現場にいる中、マヤを陥れる策謀が練られていた。

「今日は記者も集まっているし、あの子を陥れるにはいいチャンスだわ。
 出る杭は打たれる。あの子が出て来たおかげでひどい目にあっている人間はいっぱいいるのよ。
 私がやらなくても他の誰かがやるわ。」

「シーンNo.19、徹底的にあの子の演技を邪魔するよう細工しておきました。」

「結構。大勢の人の見守る中で赤恥かいて失敗すればいい。マヤ!」

人物の正体は明かされていない。しかし犯人は一人ではなく組織的な犯行のようである。

シーンNo.19では、沙都子は嵐の中人力車で駆けつけ、
身だしなみを整え、英国大使に田沼伯爵の手紙を渡すというシーンだ。

カメラや照明の段取りが組まれる中、スタジオの片隅には端役の吉川さん。
マヤの起用により出番が減らされた悲しみの女優。
今日も邪悪な笑いを浮かべ、出番でもないのにスタジオにいる。

そしてもう一人は歌手の巴万里のファンクラブの会長のおばさん。
夏の映画の主演をマヤに取られたことを恨みに思い、
巴万里はスタジオにいないにも関わらず、スタジオ入り。
どう考えても部外者。

そしてカメリハスタート。
マヤ演じる沙都子が人力車を降りようとすると、
踏み台が外れ、マヤは転倒。スタジオ大爆笑。

「変だわ、力なんて入れてないのに、立った途端踏み台が抜けて・・・・」

さらに見出しを整えようと小道具の櫛で髪を解くと、
櫛にはべったりと接着剤が。スタジオ大爆笑。

大使館の門衛から体を吹くものを受け取ると。
タオルにはたっぷりの胡椒が仕込まれていた。
マヤくしゃみ連発。スタジオ大爆笑。

そしてなぜか演出家はマヤにご立腹。

「カメリハがめちゃくちゃじゃないか!真剣にやりたまえ!」

常識的に考えてこの場合、小道具スタッフは切腹ものである。
とてもやないけど、大爆笑になる理由がわからん。

そして極め付け。
マヤが扉の前に立つ。
そしてマヤを狙いムービング照明が動くと、
なぜかドリフばりにバケツの水が仕込まれ、
マヤは水浸しに。スタジオ大爆笑。
吉川さんも、巴万里ファンクラブ会長も大爆笑。
そしてその騒ぎを聞きつけて大女優の山崎竜子も登場。

ドリフやあるまいし、笑う前に驚くと思うのだが。
そしてこの場合本来怒られるのは照明スタッフだ。
しかし演出家はマヤに対して怒り心頭。

「この場面の撮影は取りやめだ!
 身なりを整えたはずの少女大使がびしょ濡れではカメラは回せん!」

「まって!待ってください。
 あたし演ります。演らせてください。この格好のままで・・・
 大丈夫台本のイメージを変えたりしません。」

「台本のイメージを変えない?」

まさかの発言に驚くディレクター。

「おもしろいじゃありませんか。そのままやらせてやりましょうよディレクター。」

なぜかディレクターに指示を出す山崎竜子。
この番組の出演者でもないくせに現場を仕切り始める大女優。

「この思い誰にも邪魔させない!
 負けるもんですか。あたしは沙都子を演ってみせる!」

完全に腹を括ったマヤ。ここからが強い。

まさかの展開そしてマヤの意気込みにざわつくスタジオ。

「オーホホホ!そのびしょ濡れの格好でどんな少女大使を演るというの?
 できるものならやってごらんなさい!
 どんな演技になるか見たいものだわ!」

完全に仕切り始めた大女優。

「君、本当に台本のイメージを変えずにできるんだろうね?」

ディレクターも流石にマヤが心配になって来たようだ。

「シーンNo.17カメリハ用意!」

まだカメリハやってるんかい。
カメリハやったらやり直したらええのに。

「気位の高い沙都子・・・貴族の娘。
 目的は一つ、大使に手紙を届けること!外は嵐・・・!」

最小限の現在位置を再確認し、カメリハに臨むマヤ。

「田沼沙都子様とおっしゃる方がお見えです。」

開いた扉。そしてカメラがマヤに向いた。
マヤはずぶ濡れで息を切らし、まるで今駆け込んで来たかのような演技。
驚く一同。
ずぶ濡れであっても全く違和感なく、むしろ臨場感を際立たせ、
そしてカメラの中の沙都子はひときわ輝き、
主役並みの光り方をしているのだった。

「はいOK!カーット!」

「君いいじゃないか!本番もこの調子でやってくれたまえ!」

演技が認められ大喜びのマヤ。

「なんて子なの、あたしがあんな目にあったらとっくに演技を中断していたわ!」

驚く端役の吉川さん。あんな目に合う間も無く出番は減らされている。

「噂にはきいちょったが、すごか人ね・・・
 なんせ全日本演劇大会で登場人物全員欠場の中、
 1時間45分一人舞台務めて一般投票一位になったんじゃけん・・・」

北島マヤ伝説を回顧する乙部のりえ。

「どうやらあの子を甘く見ていたようね・・・」

すっかり大人しくなった大女優。
ファンクラブ会長は言葉すら発しない。

「あたしお芝居が好き・・・あたしには演劇しかない・・・」

とまあいつもと大体同じく、
演劇への情熱と、自らの演劇以外の取り柄のなさを心の中で叫んで、
この回は終わる。

今回の謎は何と言っても、「カメリハ」での出来事であったという点に尽きる。
いやいや、カメリハやん。やり直したらええやん。
なぜか、ディレクターはマヤに立腹し、
スタッフは責められることなく、
マヤの機転のきいた演技でカメリハのプランが変わり、
本番は描写されていない。

ちなみに2005年版のTVアニメでは、このシーンは本番の描写であり、
時間がない中ぶっつけ本番でマヤが上述のアドリブで切り抜け評価されるという話になっている。

人力車がぶっ壊れる、小道具に接着剤、バケツの水、
このセキュリティの甘さ、マヤが責められる理由はなく、
何者かの策謀であるとはいえ、現場のスタッフの責任であると言わざるを得ない。

そして何より、台本のイメージが大幅に変わってしまったことについては、
誰も触れていないのが不思議である。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第14巻・華やかな迷路(2)