【ネタバレ注意】ガラスの仮面第15巻その②【放っておかれたのは僕の方だ・・・】
2018/04/14

その頃劇団オンディーヌ。
稽古に励む桜小路優のもとに来客が。
なんと、里美茂親衛隊のメンバーである。
先日桜小路くんがMBAテレビ局にマヤに会いに行った時、
マヤの男友達ということで目をつけられていたのだ。
「あたしたち北島マヤちゃんのスケジュールを調べてきてあげたのよ。
これじゃ会える暇もないわね。でも5日後の土曜日の午後なら空いているわよ。
それからこれがあの子の住所と電話番号。
今日は夜8時からならマンションにいるはずよ。
じゃあねうまくやりなさい!」
一方的に用件を告げるとさっていく親衛隊一味。
脅迫・恐喝・暴行未遂のみならず、
主役級芸能人のスケジュールを綿密に調べ上げ、
挙げ句の果てには住所と電話番号、さらには帰宅時間までも把握。
もはやプロの手口である。意外と有能なのか?
それとも杜撰なセキュリティのMBAテレビ局のことである。
簡単に個人情報を流出させてしまたのであるか。
「なんだ今の連中?」
ただならぬ雰囲気に劇団の仲間が心配する。
「里美茂の親衛隊だよ。」
「なんだってそんなのがおまえに用なんだ?」
「僕の昔から付き合ってる少女が彼におネツだっていうんだ・・・」
「あの北島マヤって子か?
アカデミー助演女優賞とってMBAの大河ドラマに出ている・・・」
「もうずうっとあっていなかったんだ・・・」
「ばかだなあ。あんまり長いこと放っておくからだよ。」
「いや・・・放っておかれたのは僕の方だ・・・」
悲しそうな桜小路くんの顔には並々ならぬ決意が浮かんでいるようだ。
そして土曜日。
I公園に桜小路くんとマヤはいた。
親衛隊の調べ上げた電話番号にアポイントを取ったのだろうか?
「なあに桜小路くん、大事な話があるって?」
「はじめが劇団オンディーヌの庭で、次がこの公園で出会ったんだよね。
あの頃から僕はずうっと君が好きだったよ。
今日は君の気持ちがききたくてきたんだ・・・
はっきりきかせてほしい。僕のことを君はどう思っているの?」
「やさしくて親切でいい友達だってあたし・・・」
「友達か・・・いいBF・・・
いつまでたっても僕はそれ以上の存在にはなれないんだね・・・
誰か好きな人がいるの?」
図星を突かれ言葉に詰まるマヤ。聞くまでもなく周知の事実であるが。
「いるんだね・・・」
「こんな気持ちは初めてなの・・・」
「片思い?」
黙って頷くマヤ。
「残念だな・・・僕はついに君の心を掴みきれなかった・・・」
以下1ページ、今までの自身の気持ちとマヤへの思いを語る桜小路くん。
あまりにも長いため全ては書ききれないが要約すると、
「長いこと付き合っているが、君は芝居にばっかり夢中で、
いつかは向いてくれるかと待ってたら、僕じゃないんかい!」
という内容である。
「お別れだね。マヤちゃん。
今まで通り友達のように付き合うなんて僕にはもうできない。
僕も君に負けないよう一生懸命演劇やるよ!
次に会うときはいいライバルとして君の目の前に立ちたいと思う!」
手を差し出す桜小路くん。
戸惑いながらも手を伸ばしたマヤを瞬時に抱きしめると、
マヤに別れを告げ、去って行った。
「ごめんなさい・・・桜小路くん・・・
こんなに長い間思っていてくれたのに・・・」
マヤは涙ながらに桜小路くんに詫びるのだった。
場所は再び劇団オンディーヌ。
桜小路くんがマヤと別れたという噂はあっという間に広がっていた。
早速劇団の女子にデートに誘われるも即断る。
「今は演劇に打ち込みたいんだ。好きで始めた芝居だからね。あの子に負けないように一流の役者になるよ。」
てな訳で今回は桜小路スペシャルである。
決意のもとマヤに会いに行った彼。
しかしマヤの気持ちを確かめたというより、自らの恋にピリオドを打ちに行った節がある。
もっと上手くやれば・・・と思いながらも、
まっすぐに自らの気持ちを正直に伝え、舞台での再会を約束し、
潔く別れを告げ、しかも去り際に抱きしめるなんてつくづくかっこよすぎる。
自らの気持ちに気づいていながらも、
「愛しているだと!?・・・馬鹿な・・・この俺が11も年下(以下同文)」
とか行ってるどこかの社長の数百倍かっこいい。
そして桜小路くんの気持ちを知りながら、
里美茂が好きで桜小路くんには気持ちが向かないのに涙を流すマヤはずるい。
そして時代的なものなのだろうが、
作中に出てくる「付き合う」「別れる」の概念が、
現代のそれとは相当違うため、たまに話がわけわからんくなる。
つづく。