【ネタバレ注意】ガラスの仮面第15巻その⑤【わたしは田沼沙都子・・・】

      2018/05/12

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「まだ北島マヤを陥れることはできないのか?
 早く引きずり下ろすんだ!あの子がスターの頂点に上り詰めないうちに!」

「私は今チャンスを狙っているんです。あの子が何か大きなスキを見せる時を。
 その時こそ二度と立ち直れないほどの失敗をさせてやる!
 テレビ界からもありとあらゆるマスコミからも追放されるような・・・
 その代わりもし、それが成功したら・・・」

「わかっているとも。君こそ次のスターとして売り出してやる。
 大都芸能が向かわせているあの子のスターの座を、それがそっくり君のものになるんだ。
 それまでは本当の正体がばれないように注意しろ。」

何者か、マヤを陥れようとする者たちの会話である。
会話の内容から察するに、一人は大都芸能と対抗する芸能関係者。
もう一人は女優。本当の正体を隠した状態でマヤに近づいている。
そしてこののち、マヤが二度と立ち直れないような失敗を起こすフラグまで立てている。

そして一方ではマヤと里美茂の熱愛宣言。
巷やマスコミを騒がせ、双方のファンを失望させたのだった。

「よくも私たちを舐めた真似してくれたわねあの子!!
 覚えてらっしゃい!タダじゃすまないわよ!」

中でも怒り心頭なのは、里美茂親衛隊のリーダー。
一字一句に至るまで、昭和満載の恐ろしいセリフを吐いたのだった。

そうした暗躍があるとも知らず、マヤは里美茂と海岸でデート。
この描写は割愛。あまりにも里美茂がひたすら爽やかでかっこいい。

お互い売れっ子の二人、なかなかスケジュールも合わず休みも取れないが、
撮影の合間では熱愛ぶりを発揮するのだった。

「まずいことになったわ・・・!
 マヤは高校生だしPTAもうるさい。里美茂のファンもマヤに反感を持っている・・・
 このまま里美茂との交際を続けていればマイナスになる・・・!
 この二人、何としても引き裂かねば・・・!」

現状を冷静に判断し、鬼の決意をしたのは敏腕マネージャーの水城冴子さん。
「マヤをスターダムに!」という目的から逆算した冷徹だが正確な判断。

これほど頭がキレて、冷静で、行動力も、忠誠心もある水城さんなのに、
速水真澄相手だとアホみたいに取り乱して食ってかかったり、
あるいはネチネチと締め上げるような嫌味を言うのは何故なのか。
水城冴子は心の底にもう二人ぐらいいそうである。

そしてマヤの次回出演が決定!
「大都劇場9月公演・シャングリラ
 不老不死の少女・巫女リーラ役!」

大都芸能主催のようであるが、テレビや映画での人気を追い風に舞台にも登場。
並行して大河ドラマ「天の輝き」も絶好調。
さらに「白いジャングル」も公開に先立ち、
遊園地でセットを公開するタイアップ企画。
大都芸能お得意の、クロスメディア戦略を次々と展開。

テレビに、舞台稽古に、イベントに大忙しのマヤ。
そしてマヤには影のように付き添い、自ら付き人を買って出た乙部のりえ。

「なんですって?熊本の天才少女!?」

その頃大都芸能では、その乙部のりえについて衝撃の事実が告げられていた。

  • 乙部のりえ 本名 田代鈴子
  • 全日本高校演劇大会で個人大賞を取っている
  • 県大会では演技の天才少女と折り紙をつけられたそうだ
  • 東京の大手の劇団や芸能プロからも誘いがなんどもあったそうだ
  • 大都芸能のリストにも載っている
  • 成績優秀、品行方正の良家の子女だ
  • 三ヶ月前に地元の高校に休学届けを出しており、以来休学中

速水真澄の手元には詳細に渡る報告書が届いていた。

「信じられない・・・あのイモ少女が・・・」

地味に毒舌な水城さん

「そう!それだ!彼女はなぜあんなフリをしているのか?
 子供の頃からモデルに何度もスカウトされたぐらい、
 素顔は大した美少女だそうだ」

「美少女・・・信じられない・・・」

水城さんは乙部のりえの経歴や素性ではなく、
あくまでもそのビジュアルについて気になるらしい。

「天の輝き・・・田沼沙都子・・・」

その頃、マヤの楽屋では乙部のりえが正体を現していた。
里美茂が来ていた、片付けはやっておくといってマヤを楽屋から出し、
ダサい服から沙都子の衣装に着替える。

「勇気があって快活で、一風変わったものの考え・・・
 誰でも恐れず立ち向かい、正義を通す・・・」

顔面をぬぐいとり、イケてない三つ編みをほどくと
そこにはイモではなく、姫川亜弓を極度に邪悪にしたような美少女が立っていた。

「そう・・・わたしは田沼沙都子・・・」

マヤを陥れようとしていた人物がついに正体を現した。
つまり、冒頭でどこかの芸能事務所と結託し、
マヤを窮地に追い込み、その座を奪おうとしているのは彼女である。
大都芸能は、乙部のりえの素性や正体については克明に調べ上げている。
しかし彼女の狙いや背後にいる芸能事務所の存在については把握していない。

素性や正体に関する情報を集めるのは、部下や探偵などの仕事であるが、
それらの情報を総合して判断するのは速水真澄の役割である。

これまでも散々、「マヤが何者かに狙われている」「ライバル社の差し金かも」と危惧していたにも関わらず、
乙部のりえの背後関係については把握しておらず、その変装の意図も見抜けていない。

もちろん乙部のりえの変装と芝居が凄まじかったということでもあるが、
速水真澄ともあろうものが、なかなか特大のエラーである。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第15巻・華やかな迷路(3)