【ネタバレ注意】ガラスの仮面第15巻その⑥【我ながら一世一代の名演技だわ。】

      2018/05/19

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ついに正体を現した、乙部のりえこと田代鈴子。
これまでのマヤに対する嫌がらせや妨害のうちのいくつかは
彼女の手によるものだったのだろうか。

しかしどのような手を使ってもへこたれず
逆に逆境を生かして演技力をアピールするマヤ。
そんなマヤに対し田代鈴子は従順でダサい付き人を装いながらマヤに近づき、
隙をみて取って代わろうとしているのだった。

テレビ局にも堂々と出入りし、スタッフや共演者へもその存在をアピール、
嬉々として甲斐甲斐しく働くのだった。
そんな彼女の姿を影から見ていたのは敏腕マネージャーの水城さん。

「どうもご苦労様、田代鈴子さん」

「(ばれた・・・)」

「乙部のりえ、本名田代鈴子。
成績優秀、両家の令嬢、
高校演劇大会で個人賞を取り大変な才能の持ち主だそうね。
答えてちょうだい!なぜ素性を隠しているの?
なぜマヤに近づいたの?何を企んでいるの!?」

調べ上げた履歴を突きつけ、一気に締め上げるやり口なかなかである。
剣幕にびっくりして楽屋に入ってきたマヤ。
しかし田代鈴子はさらに一枚上手であった。
涙ながらに語る。

  • ごめんなさい、騙すつもりで近づいたわけではない
  • 女優になりたくて家出したきた
  • 県では旧家の名門で、皆に大反対され家を飛び出した。
  • 家族にバレないように、乙部のりえという芸名
  • 見た目もバレないように、髪型や服装まで変えた
  • マヤが家出した話を知り、親しみを感じていた。
  • 才能あるマヤを尊敬し、仲良くなりたくて近づいた
  • 気に入らないのなら、もうつきまとうのはやめる
  • でも家出してきたことは誰にも言わないでほしい。
  • 連れ戻されたくない、演劇をやめたくない!

涙を流し、床に突っ伏し、まさに舞台映えする名演技。

「いいのよ今まで通りあたしのそばにいて。
いいでしょ水城さん?」

人のいいマヤは、すっかり騙されている。
水城さんもその下心を疑ってはいたものの、
これといって証拠もなく、嘘をついているようでもなく、
肩透かしを食わされてしまった。

マヤと水城は衣装合わせのため、楽屋を出ていった。

「我ながら一世一代の名演技だわ。
あぶない・・・私のこと調べていたのねあの女。
さすがは大都芸能・速水真澄の元秘書だわ。
でも私とある芸能プロのつながりまでは気づいていないようね。
私が北島マヤに取って代わるまで
この演技、やり通してみせる!」

誰もいない楽屋で饒舌な田代鈴子。
水城さんへの警戒心を抱きながらも、自らの野心を燃やすのだった。

映画「白いジャングル」日本全国一斉公開!
大ヒット!連日超満員!

映画館は外まで人が溢れ、ごった返している。
その様子を車から眺めるマヤと水城さん。

「ごらんなさいマヤ、あれがあなたよ。
あれだけ多くの人があなたの映画を見にきている・・・
あなたはスターなのよ。」

「スター・・・なんだか違うような気がする・・・
あたしが求めているものと・・・
あたし演劇が好き・・・ただ好きなだけ・・・紅天女!
いつかきっと演技が上手くなって
演劇界幻の名作「紅天女」を演りたい・・・月影先生・・・・」

自らの現状とビジョンを省みながら、
自分探しの迷路にはまった挙句最後には鬼の月影先生。
よくわからん。

しかし意図せずして開かれたスターへの階段、
マヤにとっては新しく眩しい世界であったが、
本心から望むものではなかったというわけか。

マヤは純粋に演技が好きで、
演技をすることこそが人生の目標。
スターならではの大きな舞台や豪華なセットは魅力ではあるが、
あくまでもマヤにとって「スターの座」は目標ではなく、期せずついてきた結果であると言える。
(もちろん速水真澄率いる大都芸能があってこそではあるが)

対して田代鈴子は類い稀なる演技の才能を持っているが、
あくまでも彼女にとって演技は「手段」であり「目的」ではない。
彼女の「目的」は「スターの座」であり、
そのためにマヤに近づき、その座を取って代わるべく虎視眈々と機会を伺っているのだ。

人生の設計や戦略、行動理念などといった観点からは、
田代鈴子のような生き方が正しいのであろう。

しかし人生は往々にして、ひたすら追い求め、手を尽くし、考えつくしたものは報われず
マヤのように純粋に目標を追いかけたら、期せずして結果がついてきた、みたいな話も少なくない。

田代鈴子を見ていると、その方向性や善悪は異なるものの、
姫川亜弓を見ているような気がしてならないのだ。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第15巻・華やかな迷路(3)