【ネタバレ注意】ガラスの仮面第17巻その⑤【仕事で繋がった親子・・・】

      2018/11/03

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翌朝。
速水真澄に唇を奪われたとも知らず目覚めたマヤ。

「お目覚めですか?
 ゆうべ真澄さまが連れて帰られた時は真っ青でそりゃあ心配しましたよ。」

速水家の女中さんの声で我に帰る。

「真澄さま・・・?
 連れて帰られた・・・?」

「あらいけませんよまだ起きちゃ。」

「ど、どこなんですか?」

「真澄さまの家ですよ」

「よりによってあの冷血漢の家に・・・」

慌てて立ち上がり帰るするもめまいがして倒れる。

「ずいぶん顔色がよくなられましたのね。
 ゆうべお薬をみんな飲まれたせいですわね。」

「変だな、薬なんて飲んだ覚えなんか・・・」

速水真澄、完全犯罪成立。
女中さんが「みんな飲まれた」というからには
そこそこの分量があったのだろうか?
余罪が疑われる。

そしてマヤは速水真澄の男物のパジャマを着ていることに気づき
死んだ方がましだと騒ぐのだった。
昨晩の出来事を知ったらさぞかし死にたくなることだろう。

しかしそんなマヤの動転を気にせずしゃべりまくる女中さん

「真澄さまがよくおやりになるので
 旦那さまも一安心なことでしょうね。
 苦労してたった一人で大都芸能を築き上げられて
 それを真澄さまが血の繋がっていない親子とはいえ
 仕事は立派に旦那さまの後を受け継いで・・・」

喋りすぎて慌てて口をつぐむ女中さん。

  • 私が言ったなんて内証ですよ
  • 真澄さまとお父様の速水社長は本当の親子じゃない
  • 真澄さまのお母様はもともと速水家のお手伝いさんをしていらした
  • ご主人をうんと早くに亡くされた
  • お手伝いさんだったその方を奥様にされた
  • ずいぶん周りの反対があったが耳も貸さなかった
  • 速水社長はどういうわけだか長いこと独身でかなり遅い結婚だった
  • 子供がいなかったので事業の後継として子供の頃から真澄さまを徹底教育した
  • お母様は真澄さまが中学生の時亡くなられた
  • あの二人は地ではなく仕事でつながった親子なんですよ

「仕事で繋がった親子・・・」

なんの脈絡もなく速水家の歴史を語り、
口止めしたにも関わらず聞いてもいないことをたくさん聞かせてくれる。
この女中さんも奥様の座を狙っていた一人なのだろうか。

そして夜。
仕事から帰ってきた速水真澄がマヤの部屋を訪れる。

「やあ気分はどうだい?」

お前こそどんな気分やねん。

「いろいろお世話かけてすみませんでした。
 明日になればここをでていきますから。」

しばし考えた速水真澄。

「ここを出てどこへ行く気だ?
 あのマンションに戻る気はもうないんだろう?
 君の荷物は明日この家へ運び込ませる。」

「ええそんな!」

「君にはしばらくこの家にいてもらうことにした。
 昨日のような無茶をしないためにもな。
 公園のブランコで寝泊まりするよりはマシだろう?」

しれっと同棲を企むあんたが無茶しないか心配だ。

「ここにいて・・・
 あたしは何をするんですか?」

「もう一度演技してもらう。」

「あたし劇団菜の花で演技できなかったんです。
 あたしを受け入れてくれるところなんてどこにもありません!」

「君にはオーディションを受けてもらう。
 舞台劇『三色すみれ』
 三人のそれぞれ性格違った姉妹の織りなす心理劇だ。
 一から出直しだ。受かってもう一度やり直すんだ。
 二ヶ月後にオーディションはある。」

台本を渡す。

「ああそれから
 そのパジャマ、そんなに似合うとは思わなかった。」

去って行く速水真澄。
からかっているのか、褒めているのか?
どちらにしても意味がわからない。
ただ一つ言えることは、変態である。

そして台本を手にするも。
舞台で浴びた罵声が忘れられず、
そして劇団菜の花で味わった屈辱が拭えず、
演技することへの恐怖に潰されそうになるのだった。

「いわなきゃ・・・
 大都芸能を出るって・・・
 あたしはただの女の子なんだって・・・」

そして翌日。
仕事から帰ってきた速水真澄に申し出た。

  • あたし演劇やめたいんです
  • オーディションは受けられません
  • あたしを自由にしてください・・・
  • 今はもうただの北島マヤに戻りたい
  • 大都芸能をやめさせてください
  • 契約違反はわかっています
  • 契約違反料は何年かかるかわからないけどきっとお返しします。
  • だからあたしをもう解放してください

昨今世間を賑わす奴隷契約。
しかも性犯罪に巻き込まれるリスク込み。
しかし速水真澄は認めない。

「俺は契約違反を認める気は無い。
 オーディションは受けてもらう。」

「失敗したら?」

「次の機会を待つ。君には演技を続けてもらう。」

「あたしを一生縛り付けておく気ですか?
 あなたのいうことなんかきかないわ!」

「俺もだ!お前の言うことなど認めん。
 オーディションにうかるまでこの家から出さないからそう思え!」

家から出ないと、オーディション受けられへんやん。

というツッコミも受け付けないまま、
マヤの手を取って部屋に連れて行くと、
外から施錠、女中さんにも厳重な監視を命じたのだった。

「出るんだあたしここを!母さん!」

夜更けに母親にそう誓うと、
かつて母親が療養所を脱走したのと同じように、
窓から壁を伝い、塀を乗り越えて速水家を脱走した。

「はやく!できるだけはやく!
 あいつに見つからないように遠くへ!」

そしてマヤの脱走を知った速水真澄。

「ばかな!
 ここをでて一体どうやって暮らすつもりだ?
 わずかな小遣いだけで
 寝る場所も住むところもないというのに・・・」

というわけで今回、
これまで語られることのなかった
速水真澄の家族関係が部分的に明らかにされた。

しかしながら今回も速水真澄の異常性が際立つ。
前回性犯罪に及んだと思えば、
今回は自身のパジャマを女子高生に着せて喜び、
契約違反をちらつかせ、自らの支配下に置き、
同棲を企みさらには監禁。

ちなみにマヤは未成年である。
両親も亡くしているが、
この場合は所属事務所の速水真澄が保護者として扱われているのだろうか?
しかしその保護者の彼自身がこのような非道を働いている。
警察も大都芸能相手では手が出せないであろう。
芸能界の闇はとてもとても深い。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第17巻・華やかな迷路(5)