【ネタバレ注意】ガラスの仮面第18巻その②【何もかも一人で・・・】

      2018/12/26

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というわけで一人芝居の上演を決意したマヤ。
一旦決意すると無鉄砲ともいうべき謎の行動力を発揮する。

学園祭執行部に乱入し、一人芝居を上演するため
講堂の舞台を借りようと交渉するも
すでに申し込み殺到な上、個人参加は認めてないということで却下される。

たらい回しにされた野外ステージの申し込みでは
個人参加で一時間という上演時間がネックに。
野外ステージはできるだけ多くの人に参加してもらうという趣旨らしく、
演目もフォークや落語、のど自慢に奇術、
高校生とは思えない渋い演目ばかりで
上演時間も2・3分から長くても15分とのこと。

一人芝居をしようにも演じる場所で早速つまづいたマヤ。
しかし謎の行動力は尽きることなく、
劇場探しはさておき、次は脚本家探し。

「誰か脚本かける人はいないかですって!?」

驚いたのは前回初登場の図書委員・草木広子さん。

「女海賊ビアンカを一人芝居でやりたいですって?
どーやる気?登場人物だけでも30人はいるわよ!」

前回初めて出会って仲良くなって
次に会って本を貸して
その次に会ったら、その本で一人芝居。
話が飛躍しすぎである。

「ビアンカの告白だもの。あたし一人ですむわ。」

脚本をかける人を探している割には安易なマヤ。
いつでもどこでも、こういう安易な気まぐれな提案に
才能を持つ人物はこき使われる。

しかし謎の人脈を持つ草木さん

「文芸部の吉沢君はどうかしら?
雑誌に応募小説が載ったこともあるし、
文芸部の同人誌に戯曲をよく発表しているわ。」

というわけで引き合わされた吉沢君はいかにも文科系のメガネ少年。

「これを脚本に?一人芝居だって?
自信ないよ。長編だしどうやって一人芝居の脚本にすればいいか・・・」

「ビアンカの告白ということにして
物語を全部語り言葉にすればできると思うの。」

「な・・・る・・・でも・・・」

「やりづらいことはあたしもお手伝いするわ。だからお願い!」

尻込みする吉沢君を一喝したのはなんと図書委員。
その権力を持って一度に3冊の貸し出しを許可し、
誤って本を破いたことや、高価な本を紛失した際にも先生をごまかしたらしい。
図書委員と文芸部の癒着をネタに吉沢君を脅迫する。
これは草木さんにとってもバレたらまずい案件やろ。

強引に脚本担当を押し付けられた吉沢君。
しかしなんと翌日にはノリノリである。

  • 昨日一晩徹夜して読んだ!
  • 僕が思うにこことここが見せ場になる。
  • 見せ場をどうするかノートに書き込んできたんです。
  • できますよこれ一人芝居用の脚本に!
  • 僕にこんな才能があったなんて!
  • なんて素晴らしいんだ!こんな長編を脚本にできるなんて!

その才能は早速マヤにこき使われることとなり、
放課後もマヤの意見という名のわがままを聞かされることに。

「この見せ場は海賊仲間のことを入れた方が面白くなると思うの。」
「弟ジュリオとの出会いは言葉だけじゃなくて演技でやりたいわ。」

ひたすらノートに書き留める吉沢君。
文句の一つも言わずひたすらマヤのわがままを聞き入れるあたり文芸野郎だ。

そしてなぜか草木さんと吉沢君は体育倉庫へ連れていかれる。

「この中のものをつかって?」

「いろいろなものに見立てれば芝居の大道具として使えるわ。」

脚本かける人を探しているということで紹介した人とされた人。
なぜか大道具のプランニングまで聞かされる。

「むしろはっきりしたセットを作らない方がいいと思うの。
それにビアンカの告白の物語だから
場面によってもイメージを変化させても不自然じゃないと思うの。」

頭をかかえる吉沢君。
そして思いついてしまった草木さん。

「いっそここでお芝居できればいいんじゃない?
広さもいいし中のものを運び出す手間も省けるし」

「そうね!ここいいかもしれない!
そうだ!なぜ気づかなかったんだろ・・・!」

草木さん、マヤに物語を紹介し、脚本家を探し、芝居小屋の提案までもする。
地味にプロデューサーか。

脚本と舞台の目処が立ったマヤ。
体育主任の丹羽先生に熱い芝居への情熱を訴える。
体育教師だけあって情熱に感化されたかあっさり許可。
そして学園祭執行部へプログラム入りの申請。
草木さんと吉沢君に体育倉庫の掃除まで手伝わせるという大女優ぶり。

「できるんだ・・・
これでお芝居できるんだ・・・
これからここで・・・」

さっそく青木麗の働く喫茶店にて報告。
相変わらず麗はイケメン店員。

「へーえ一人芝居。
でもこりゃ大変だよマヤ。
何もかも一人でやらなきゃならないんだろ?
舞台美術から演出まで。」

「演出・・・!
そうだ演出やらなきゃいけないんだ・・・
どうしよう稽古の指導してくれる人もいないんだわ・・・
何もかも一人でやらなきゃいけないんだわ・・・
女海賊ビアンカ・・・一人芝居・・・」

もうすでに二人を巻き込んでいることは忘れているようである。

そしてようやく仕上がった吉沢君の脚本。

「今までの中で最高の出来だ!傑作だ!」

怒涛の勢いで脚本を書き上げ、感きわまる吉沢君。

「あのこれ・・・少し直してもいいかしら?」

さっそく脚本にケチをつける大女優。

「なんですか君は!
 僕の脚本にケチつける気ですか?」

そんな吉沢君も立派に大作家の発言。

「そうじゃないの。紙に書かれたセリフと実際に喋るセリフとは少し違うわ。
 芝居をやりやすくするためにセリフの感じを変えたいだけなのよ。
 少し言葉を増やしたり言葉尻を変えたり、喋りやすくしたいだけなのよ。」

遠回しに否定される吉沢君。
セリフの感じを変えるだけではなく、セリフを変えたり増やしたりする宣言。

「いよいよこれから稽古ね。
 でもこの脚本ノート5冊分よ。
 セリフ覚えるだけでも大変じゃない?
 学園祭までに覚えられる?」

いじける吉沢君を尻目にプロデューサー草木さんは早速スケジューリング。
名プロデューサーであり、このマヤ一人芝居シリーズの進行役でもある。

「そうね・・・いつもより時間かかるだろうな
 どう考えたって・・・今夜一晩はかかるわ。
 少なくとも二度は読まなきゃいけないし・・・」

驚異の記憶力に驚く二人を置いて
脚本を受け取るとさっさと下校するマヤ。大女優か。

そしてマヤは帰宅すると例のごとく、
寝食も忘れてブツブツと台本を読み続けるのであった。

 

というわけで今回。
前回初登場した図書委員の草木広子さんが準レギュラーに。
そして図書委員に脅迫された文芸部の吉沢君も。

マヤの一人芝居編では、実にこの草木さんがキーパーソンである。
一人芝居を志すきっかけとなった「女海賊ビアンカ」をマヤにもたらしただけでなく、
脚本担当の吉沢君の才能を発掘し、思いつきで体育倉庫の芝居小屋を提案。
マヤも吉沢君も「われがわれが」のタイプだけに、
こう言ったストーリーの進行役は極めて重要である。

今回に限らず、ガラスの仮面全般、自分語りな人が多い。
マヤはもちろんのこと、姫川亜弓、月影千草、速水真澄、
みんな「われがわれが」と言わんばかりに
自分の気持ちを語りぶつけ、行動する。
そんな強烈な登場人物ばかりだから、ストーリーが進まないし伝わらない。
だからストーリーを進め、現在位置を解説するための登場人物が必須なのである。

その役目が、劇団つきかげにおいては
青木麗がマヤの現在地や月影先生の本心、
あるいは劇団つきかげの危機を解説し、

大都芸能編においては敏腕秘書の水城冴子さんが、
大都芸能の現状やマヤを取り巻く環境、
そして若社長の本心をズバズバと言い当てて読者を楽しませてくれる。

劇団つきかげを離れ、大都芸能を辞めたマヤ。
青木麗も、水城さんも入れない一ツ星学園にあっては
その役目を草木広子さんが担っていると言っても過言ではない。
それゆえの準レギュラー抜擢であろう。

しかし草木さんと吉沢君の協力を得てもなお

「一人芝居・・・女海賊ビアンカ・・・
 何もかも一人で・・・」

まだ一人を強調するマヤ。
そういうところが嫌われる理由でもある。
しかし吉沢君のように才能ある人や、
草木さんのような調整力を持っている人は、
それ以上の強烈な才能の肥やしにされる。
劇団つきかげのほかメンバーがそうであったように。
まあ社会の縮図でもあり、ちょっと悲しい。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第18巻・100万の虹(1)