【ネタバレ注意】ガラスの仮面第18巻その⑤【あの子が大人になるのを・・・】

      2019/01/12

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「女海賊ビアンカ」
マヤの挑戦する一人芝居。
体育倉庫とガラクタで作ったセット、
無粋な観客の乱入などのビハインドもありながら
マヤの芝居はヒートアップしていた。

テンポの良い芝居で体育倉庫は船の上、宮殿、運河と
観客を魅了するまでに姿を変え
体育道具のセットがその効果を発揮したのだった。

そしてマヤが繰り出したのは必殺のパントマイム。
河原で子供達を相手に稽古した奥義が炸裂し。
青木麗や水無月さやかの目にもそこにはいない相手役が映るのだった。

「見たかい?あのマヤの手。
 あの子差し伸べた手を動かさずに馬から降りた。
 片手をそのアルベルトに取られてるんだ。」

「あの子の表情でそれがアルベルトだとわかる・・・
 戸惑ったような緊張したような表情・・・」

マヤの一人芝居に二人掛かりで解説を入れる麗とさやか。
観客もマヤの芝居に完全に圧倒され、
もはや立ち上がったり失笑したりするものはいなかった。

「この子・・・天才だわ・・・」
「無限の広がりを感じる・・・体育倉庫の中に・・・」
「こんなお芝居はじめて・・・」

長めの独り言じみた感想は相変わらず飛び交っている。

 

時をおなじくして大都芸能。
泥まんじゅう事件以来、登場がなかった速水真澄。

「ビートルズの再来とも言われているこのグループ、
 日本にもきっと旋風を巻き起こすことでしょう。」

ヨーロッパロック界の新星、「ブラック・プリンセス」の
日本における公演やレコードの独占権を取得した模様である。
相変わらず、仕事ぶりは素晴らしい。仕事ぶりは。

「おめでとうございます。
 これでますますレコード部門は発展しますわね。」

この方もお久しぶり。
拍手をしながら登場した敏腕秘書・水城さん。
もはやその拍手さえも、若社長をいじり倒す前フリではないかと思ってしまう。

「水城くん・・・」

若社長、嫌な予感がしたのか、
水城さんは相手せずに業界人にあいさつまわり。

「君の父上も鼻が高いだろう。
 ここいらで速水大社長を安心させるためにも嫁でももらっては」

「ははは、結婚なんてまだとても・・・
 紅天女を上演するまでは・・・」

意味深な発言に敏感に反応する水城さん。
しかししばらく若社長を泳がせておく。

「演劇界の幻の名作を何としてもこの手で上演させたいと思っていますからね。
 他の誰にも取られたくない・・・
 紅天女も、紅天女の役者も・・・」

業界人相手に変態トークの速水真澄。
しかし水城さんほどになるとまだまだ泳がせておく。

「それでいつになるんだね?紅天女の上演は?」

「さあね候補の紅天女たちがまだ少女ですから。」

「それまでお待ちになるんですか?あの子を・・・」

「水城くん・・・」

「あの子が大人になるのを・・・」

とんでもないタイミングでえげつない話をブッこむ水城さん。
若社長と業界人が談笑しているところに、
若社長の恥部とも言える話題で乱入。
仕事としてはNGだがおもろいから許す。

しかし散々これまで水城さんにいじられ続けてきた若社長も負けてはいない。

「もしそうだとしたら・・・?」

「真澄さま・・・」

「はやく紅天女をやれるような大人になってもらいたいものだ。
 もっともあのチビちゃんが大人になった姿なんて想像もつかないが。」

若社長馬鹿笑い。そして姫川亜弓は名前すら出てこない。
もはや相手の業界人は姿さえも描かれていない。
商談中に乱入してきた謎の秘書に腹を立てたのだろうか。

「はぐらかされた・・・!冗談だったの今のは・・・?」

珍しくやり込められた水城さん。
はぐらかしてもないし100%本心なので安心してほしい。

「気に掛けてらっしゃるのね・・・
 心の奥底ではあの子のことを・・・
 不思議な糸が見える・・・
 紅天女で結びついている人たちの間の目に見えない糸が・・・
 往年の大女優・月影千草
 姫川亜弓に北島マヤ・・・
 そして真澄さまあなたも・・・
 あなたとあの子の糸も・・・!」

実際そんな大したことは言ってない。
心の奥底ではなく露骨に気に掛けているし、
人々の間の目に見えない糸も、
水城さんは一番早くから見抜いていたのだ。

 

そのころ体育倉庫。
女海賊ビアンカはフィナーレを迎えていた。
追手との対決、婚約者との再会、
そしてビアンカの波乱に満ちた告白が終わった。

終幕。体育倉庫からは割れるような拍手と歓声が。
舞台でマヤと観客が一体になり、
口々にマヤをたたえたのだった。
もはやマヤが芸能界失脚したことなど忘れ、
純粋にマヤの一人芝居に没頭し、感動し、そして賞賛したのだった。

「やれる・・・やっていける・・・
 お芝居をやっていける・・・!」

確信をつかんだマヤ。舞台裏へと消えていく。

「あれだけの動きとセリフ。
 体の中は汗びっしょりだったはずだわ。
 今頃はぶっ倒れているはずよ。」

お客のつもりで来た月影先生、
お客の立場では絶対に言えない、役者の状態を語る。
マヤの元にかけていく麗とさやか。

マヤが退場した後も、体育倉庫はマヤの芝居の評判で大盛り上がり。

「一ツ星学園・・・
 ここはあの子にとっていい修業場になりそうね・・・」

そして十日後、
北島マヤの一人芝居「女海賊ビアンカ」は
再演が決定したのだった。

 

というわけで今回。
「女海賊ビアンカ」大成功。
その裏で速水真澄変態発言。

あの芸能界をスキャンダルで追われた、
大河ドラマにも出演した北島マヤが、
演劇部にも相手にされず、たった一人で、
講堂も借りられず、体育倉庫で、
まともな舞台装置もなしに芝居をやる。

という完全ビハインドで野次馬根性をくすぐる背景だったにもか関わらず、
観客は圧倒され、魅了され、感動し、そして再演が決定。
マヤの類いまれなる演技力、吉沢君の脚本、草木さんのプロデュースがあり、
そして体育倉庫のガラクタセットも逆に斬新な演出として
観客を船へ、宮殿へ、ベネチアへいざなったのだった。

さすがにあの速水真澄ともあろうものが
一ツ星学園の体育倉庫にはこれなかったのだろう。
しかし心の奥底では、いや露骨なまでにマヤを気にかけ、
「あの子が大人になるのを待つ」的な発言。

社長いじりのスペシャリスト水城さんも
一本取られてしまった。
というか、速水真澄の発言にはもはや開き直りにも似た狂気を感じる。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第18巻・100万の虹(1)