【ネタバレ注意】ガラスの仮面第18巻その⑦【他の劇がやれるんだ!】

      2019/01/26

Pocket

「女海賊ビアンカ」再演!
前回の評判を聞きつけてか劇場の体育倉庫は大盛況。
というか前回もそこそこ満席だったのに、
体育倉庫のキャパは侮れない。

「呼吸に気をつけること、
 それから無駄な動きを省くこと、
 間に気をつけること。
 月影先生に注意されたところは自分なりに直したつもりだけれど
 うまくいくかしら?」

月影先生のあれだけ長いダメ出しを3行にまとめてしまうあたり大物である。
そして再び体育倉庫に虹の世界が広がった。
再演の描写、約1ページ半。
またしても大成功。

  • おもしろかったわ!
  • 前よりテンポがよくなったんじゃない?
  • なんか前よりビアンカの気持ちがよく伝わったよ

感想を述べている生徒三人のうち二人がリピーター。
月影先生のダメ出しを受けたマヤの思惑通りのリアクション。
観客は自分の感動に正直である。

「学園祭の時よりずっとおもしろかったわ。
 評判になってるわよ!」

マヤの元にも直接観劇の感想を伝えに来る生徒も。

「よかった月影先生に言われたところ直したのが成功したんだわ!
 誰にも演技指導してもらわなかったけど成功したんだわ!」

月影先生のダメ出しは演技指導ではないのだろうか。

そしてマヤの一人芝居はまたしてもムーブメントを起こし、
投書箱にはさらなる反響が押し寄せていた。

再度職員室に呼ばれたマヤ。
先生の机の上には山盛りの投書が。
いずれもマヤに対する再演希望の手紙だ。

「どうだ北島?
 他の劇も見たいって投書がだいぶ来てるぞ。」

「他の劇・・・
 他の劇がやれるんだ!
 あたしまた別のお芝居がやれるんだ!」

北島マヤの一人芝居第二弾の噂は学校中を駆け巡り、
演劇部員たちを驚かせたのだった。

そして図書室にて次回作選定中のマヤと草木さん、吉沢くん。

「ねえこの劇どう?」
「だめだよテーマが古臭い!」
「じゃ、この小説は?」
「短すぎて脚本にできないよ!」
「もう吉沢君たら文句ばっかり!」
「何言ってるんですか君!僕はいい素材で選ぼうと!」

草木さんと吉沢君の会話もすでにいっぱしの
プロデューサーと脚本家のそれである。

二人の会話に圧倒されたマヤが手にしたのは、シナリオ「通り雨」。
なんの気なく手にしたそのシナリオをぶつぶつと読み続けるマヤ。

「通り雨?なんだこんなつまらないシナリオ夢中になって読んでたの?
 平凡も平凡!一人の女の子の朝から晩までの話だろ?これ」

「ええ」

「平凡な女子高生の主人公がふとしたことで
 自分の家庭の幸福に疑問を持つってそんな話だ。
 つまんないホームドラマだよ」

吉沢君の批評が実に上からで厳しい。
「女海賊ビアンカ」で自信をつけた彼は非常にめんどくさいやつなのかもしれない。

「うーん話は平凡なんだけどこの主人公の女の子・・・
 あたし演りたいわ!」

佐藤ひろみ、高校二年生
平凡なサラリーマンの父と料理の上手な母、兄、妹、
学校では手芸部員、
サッカー部のキャプテンに憧れていて
イニシャル入りのタオルをプレゼントしたいが
いつも渡し損ねてもう一週間もカバンに入れてもちあるいている。
そんな女の子の日常。

「平凡の極み・・・」

「その中であった通り雨のような事件・・・
 吉沢君これ一人芝居用の脚本に書き換えて!
 あたし今度はこれを演る!」

「でも大丈夫北島さん?
 こんな平凡な劇みんな退屈するんじゃなくて?」

「その時はきっとあたしの演技がまずいせいね。
 平凡な話だからこそ演技力が試される・・・
 平凡な女の子だからこそ一歩間違えば役作りに失敗する・・・
 平凡な日常生活が舞台だからこそ演技にごまかしはきかない・・・!
 あたしいい芝居を選んだと思っているわ・・・」

マヤの口ぶりはもうすでに決定事項。
さすが主演女優様、スタッフの意見を全く聞かず、
鶴の一声で次回作を決定し、脚本家に命令を下したのであった。

そのころアクターズ・スタジオ。
月影先生の元にはある人物から電話がかかってた。

「それはおめでとう。
 素晴らしい挑戦だわ亜弓さん。
 ええ、初日にはぜひ観せていただきますよ。
 成功すればあなたは大きく伸びられるでしょう。」

アクターズ・スタジオにアポなしで乱入したマヤとは違い、
電話で報告をした姫川亜弓。
二人の社会常識および月影先生との距離が見て取れる。
なんでも新しい劇の出演が決まったのでその報告と招待だそうな。
題材は「ロミオとジュリエット」

「そのジュリエットだけの芝居!
 『ジュリエット』一人芝居・・・」

「一人芝居!ロミオとジュリエットのジュリエットだけ!?
 一体どう演るのかしら・・・?
 すごい演技力を試される・・・」

話を聞いた関係者が口々に驚く。

「試してるんですよ。自分の力を!
 そしてさらに力をつけるために!」

しかし時を同じくしてマヤも亜弓も一人芝居。
芸能界を追われ演劇部にも相手にされなかったマヤはわかるが、
姫川亜弓は、明らかにマヤを意識しとるやろ。

「おやりなさい亜弓さん、そしてマヤも!
 私は見ていますよ!あなた方二人を・・・!」

ひっそり始まったマヤの一人芝居とは異なり、
姫川亜弓の一人芝居は記者会見を行っていた。

「わたしは『ロミオとジュリエット』に挑戦するのではありません。
 『ジュリエット』に挑戦するのです。」

意味不明。

「ジュリエットの心を演じたいと思います
 成功するかどうかはわたしの努力にかかっているでしょう。」

今回に限ったことではない当たり前のことを言ったあと、
豪華なスタッフ陣が発表される。
脚本構成にベテラン劇作家の成木先生、
演出は、毎度おなじみ小野寺一先生、
そしてフランスのパントマイムの名手、マルセル・モーリアさんも!

ひとり芝居だから重要になるパントマイム。
姫川亜弓の挑戦に色めき立つマスコミ。
しかしそんなマスコミをよそに亜弓の心の声。

「いいえ・・・
 『ジュリエット』これは私への挑戦・・・
 自分の才能と実力への挑戦・・・
 きっと勝ってみせる・・・!」

まあ意味もわからず、大したことも言っていないが
謎の闘志を燃やす姫川亜弓。
ライバル北島マヤが一人芝居をやっとるそうやから、
自分もやってみようくらいに見て取れる。
結局マヤへの闘志であろう。

と言うわけで今回。
よくスタッフに嫌われたら役者は終わりだといわれるが、
「ガラスの仮面」に出てくる役者はどいつもこいつもワガママである。

マヤは威張ったりするわけではないが、
浮世離れした言動とマイペースっぷりで周囲を混乱させる。
姫川亜弓も、両親の七光りがなかったらとっくに干されているくらいお高くとまっている。
マヤにとってかわった乙部のりえに至っては、最悪の人間性でスタッフにも当たり散らし、
月影先生も直接の描写はないが、あんな大女優ワガママでないわけがない。

それが芸能界ならまだ良くある話なのだが、
マヤの場合は学校の一人芝居にまでそれを持ち込んでいるのがひどい。
まあ、マヤの芝居があって初めて草木さんも吉沢君も日の目を見たのであるが。
しかしそんなマヤについてく二人も偉い。

偉いといえば毎度おなじみ小野寺一先生。
演出をしない演出家として有名。
ベテラン劇作家と、謎のフランス人という大物スタッフに混じって
演出を任されるこの人、やはり只者ではない。
今回もライバルたちを闇の策謀によって蹴落とし、
大都芸能や姫川親子に媚びて演出家の地位を獲得したのであろうか。
政治力だけで大物演出家になった小野寺先生、とてもすごい人である。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第18巻・100万の虹(1)