【ネタバレ注意】ガラスの仮面第19巻その①【紅天女の舞台はその果てに・・・】

      2019/02/23

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パントマイムの稽古に打ち込むマヤ。
舞台「通り雨」の一人芝居で「佐藤ひろみ」の日常をリアルに表現するため
日常生活のパントマイムを徹底的に練習する。
しかし手応えがつかめない。

「これでいいのかしらあたしの演技・・・
 観る人にわかってもらえるかどうか自信がないわ・・!
 誰か指導してくれる人がほしい・・・
 長所や欠点を指導してくれる人が・・・
 月影先生・・・!」

しかし真っ先に頭に浮かぶ恩師には
「私を頼ってはいけない」と突き放されたばかりである。

自宅でもパントマイムのことで頭がいっぱいだ。
そんなおり流れたテレビの芸能ニュース。
ちゅうかこのアパートにテレビあったんか。

かつてマヤが大河ドラマデビューした時は
マヤの活躍を見るべくラーメン屋にみんなで通っていたはずだが、
マヤが稼いだ大都芸能マネーで購入したのか、
それとも麗が細々と喫茶店のアイドルとして稼いだ小金で購入したのだろうか。

「シェイクスピアに挑戦か!
 一人芝居ジュリエットに取り組んでいる
 姫川亜弓さんの記者会見と近況です。」

このニュースを聞いて皿を割るほど驚いたマヤ。

「亜弓さん・・
 一人芝居ジュリエット・・・・
 亜弓さんも一人芝居を・・・!」

テレビに食いつくマヤ。

「一人芝居「ジュリエット」のために
 フランスからパントマイムの名手、マルセル・モーリアさんが来日、
 モダン・バレエの倉橋千恵さん、
 名演出家・小野寺一氏と共に指導に当たる予定です。
 一流の指導人に囲まれて特訓中の姫川亜弓さん、
 果たしてどんなジュリエットが生まれるか
 舞台の初日が待たれます。」

「名演出家」のくだりが気になる。
演出家と言う名の政治家・小野寺先生は、
世間的には名演出家の名をほしいままにしているようである。
これも政治力のなせる技か。

「一人芝居、パントマイム、一流の指導陣・・・
 同じ一人芝居をやるというのになんて大きな差なんだろ・・・
 勝てるんだろうか亜弓さんに・・・
 亜弓さんに勝って紅天女を演れるようになるんだろうか?あたし・・・」

かたや学校の体育倉庫、
かたや大劇場の一流指導陣、
その歴然とした差に打ちのめされるマヤ。

そして翌週の水曜日。
地下劇場での稽古指導を終えた月影先生が外に出ると
路面にマヤが正座して待っていた。
麗に月影先生の予定を聞いていたのだ。

「マヤ・・・」

「月影先生・・・
 みんなの稽古が終わるまであたし待っていました。
 お願いです。ちょっとでいいです。
 あたしの稽古を見てください・・・!」

前半の健気アピールはいらない。

「こんどは日常生活が舞台なんです。
 だから前みたいに体育道具を大道具がわりに使うこともできないし、
 小道具だってほとんどありません。もちろん相手役もいないし・・・
 演技でやるしかないんです・・・!
 パントマイムで観客にわかってもらうしかないんです・・・!」

「日常のマイムだからごまかしはきかないってわけね。」

「あたし自信ないんです。
 どうすれば観客にわかってもらえるかって・・・
 あたし・・・お芝居がうまうなりたい・・・!」

「観客のことを考えるようになったのねマヤ。」

正確には観客のこと「も」である。

「さ!立って!」

稽古場よろしく路上で手を叩く月影先生。
相変わらずスイッチが入ると早い。

「バスに乗ってごらんなさいマヤ!」

「はい?」

正座からのいきなりのお題に疑問形になるマヤ。
しかしさすが天才、月影先生の意図をくみとると、
バスに乗っているパントマイムを演じる。

「バスの振動だ・・・
 体のわずかな動きがバスの振動をあらわしているんだ・・・」

セリフのない動きをいちいち解説してくれるのはもちろん青木麗。
彼女のおかげで読者の理解が深まる。

「次!電車に乗り換えて!」

月影先生の矢継ぎ早のお題にも対応。
その揺れる演技に息を飲む麗たち。

「はい結構!
 バスと電車の差、揺れ方が違うでしょう?」

「ほんとだ、やってみるまでは気づかなかったわ。」

「意識しなくてもあなたの体が記憶しているのですよ。
 そしてパントマイムで大事なことは
 観る側も自分たちの記憶によって観ているのだということ!」

たった二つのパントマイムを観てマヤの現状を把握し、
最適なアドバイスを与える。やはり月影先生の指導力はハンパない。

「心の演技を大事になさいマヤ。
 今あなたに教えられることはこれだけです。
 あとは自分で考えなさい。」

十分すぎるヒントを与えて去っていく月影先生。
しかし突如心臓が痛み、崩れ落ちる。
久々の発作だ。この方は演技よりも心臓を大事になさいと言いたい。

「月影先生!大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。なんでもありません・・・
 ちょっとめまいがしただけ。車をよんでちょうだい。」

なんとやってきた車は救急車ではなくタクシーかよ。
マヤが呼んだのだとしたらナメてるとしか言いようがない。

「先生あたしついていきます!病院に行った方が・・・」

だったら救急車やろ。
しかし車に乗り込もうとするマヤを突き飛ばす月影先生。
腕力は健在のようだ。

「あなたには稽古があるでしょ!お演りなさい!
 いいですかマヤ!
 一つの芝居の成功はまた次の舞台の幕を開ける。
 今度の芝居に成功すればあなたはまた次の芝居ができるわ・・・!
 その芝居が人々の感動を呼べばまた次の芝居が・・・
 紅天女の舞台はその果てに・・・」

タクシーで去って行った。

「月影先生真っ青だったわ・・・」

この人ごとな感じは沢渡美奈。

「あんなに苦しげでまさかまた心臓が・・・」

まさにその心臓であることに気づいていないのは水無月さやか。

「どうしよう・・・先生の病気が再発したら・・・
 アクターズ・スタジオで誰か先生のことを頼める人がいれば・・・」

ひたすら心配するマヤ。
紅天女候補とそれ以下では、
月影先生への心配度がこうも異なるものだろうか。
人って薄情だ。

 

そのころ大都芸能。
ド派手な社長室に電話の取り次ぎが。

「何度もお断りしたのですが
 とりついでくれなければ直接押しかけるとか言われて・・・」

「誰だ?」

「北島マヤさまです」

相変わらずセキュリティゆるゆるの大都芸能。
小娘の脅迫ごときで社長に直接電話を許してしまう。

月影先生を心配したマヤは速水真澄に電話したのだった。

「相変わらず元気はよさそうだなチビちゃん。
 君のことだ。よほどのことがなければ俺に電話してきたりはしないだろう?
 用件はなんだ?」

嫌われている自覚はあるようだ。

「月影先生が・・・!?」

「お願いです速水さん先生を・・・お願いします・・・」

「わかったすぐに医者を手配しよう。
 先生の今後の行動についても周りのものにもっと注意させよう。
 何かあればすぐに連絡する。」

「あ!ありがとうございます。」

「君から礼を言われるのは二度目だな。
 なぜ俺に電話をかけてきた?」

だんだん気分が高まってきた速水真澄。

「俺は冷血漢だぞ。
 君の頼みなど耳も貸さないかもしれん。
 そうは思わなかったか?」

「それは・・・
 あなたはアクターズ・スタジオの偉い人だしそれに・・・
 先生のことを頼める人が速水さん以外他にだれも・・・」

「思い出してくれてありがとう」

マヤの口からある意味唯一の存在であることを聞くと、
満面の笑みで電話を切り、悦に入るのだった。

「どうして速水真澄なんかに電話したんだろ?
 大事な先生のことをあの冷血漢に頼むなんて・・・
 でも他に誰も思いつかなかった・・・
 あの速水真澄に・・・どうして・・・」

 

というわけで今回
何か色々ずれていた。

まず、姫川亜弓が一人芝居をやると聞いたマヤ。
「同じ一人芝居」ではあるが全く別物であることは明白である。
しかし「同じ一人芝居」を強調し、
「同じ紅天女候補」であることを意識する。

しかし姫川亜弓の恵まれた才能や血縁、環境については
自分とは全く別物であると認識している。
(才能という面ではマヤの方が恵まれている部分があるにも関わらず)

逆を言えば、マヤは自身と姫川亜弓の差を
才能や血縁、環境など、努力では埋めがたいものだけであると
思っているフシがあるとも言えるのではなかろうか。

そして目の前で月影先生がぶっ倒れたにも関わらずタクシーを呼ぶセンス。
月影先生が「救急車は要らない」といった可能性もあるが、ずれてる。

マヤと、他のつきかげメンバーの温度差も気になる。
そして死にかけにも関わらず、タクシーで帰って行った月影先生もおかしい。

そして今回も速水真澄は月影先生の医療費を負担することとなったのである。
おそらく前回の大学病院の入院費用を合わせると数百万はくだらないであろう。
前回は「紫のバラのひと」としての負担だったが、
今回は「大都芸能・速水真澄」としての負担。
月影先生は医療費は返却したのだろうか?
あるいはアクターズ・スタジオの講師料から引かれているのか。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第19巻・100万の虹(2)