【ネタバレ注意】ガラスの仮面第19巻その⑥【あの速水真澄が!】

      2019/03/30

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「ほんとうですか?
 ほんとうにあたしが・・・!?」

マヤの背後から拍手をしながら現れたのは
常に白目でおなじみの演劇部部長。
「通り雨」では見事な解説を演じ、すっかりマヤの実力を思い知ったよう。

「そうよ気に入らない?
 いらっしゃい。演劇部の中を案内してあげるわ」

部員たちがいぶかしむ中、部室へとマヤを案内する部長。
部室は数々の賞状やトロフィーでいっぱいだ。

  • 一ツ星学園の演劇部には伝統がある
  • 全国高校演劇大会には何度も優勝している
  • 稽古も本格的でそこいらの劇団にひけはとらない
  • だから高校の演劇部だからといってあなどらないでちょうだい
  • 月に一度はメーキャップの講師が来て舞台化粧などを指導
  • 月に一度他校演劇部と合同ではあるが、プロの俳優や演出家に講演にきてもらう
  • 脚本も国内外合わせ3500冊
  • 演劇論や研究所を合わせると5000冊を超える
  • 舞台衣装やかつら、大道具や小道具は本職に頼んだり、商業演劇のものを借りて来たりする
  • 照明だってかなりの数が揃っている。
  • 春の創立祭、他校との交流公演、夏の全国高校演劇大会、秋の学園祭、PTA役員や父兄を招いての文化部研究発表会などを実施

もはやプロといってもいい伝統と実績、
設備や環境が整えられている。
そういえばマヤと「奇跡の人」でヘレン役を競った
鬼婆芸人の金谷英実さんもこの演劇部出身だ。
彼女はもう卒業しているのだろうか?
そして上述の公演のいずれかで鬼婆を演じたのであろうか?

「どう?私たちの芝居に出てみない?」

ためらうマヤ。

「そりゃああなたは一度はプロとして活躍していたものね。
 演劇部員にはなれないわ。
 でも客演という形なら校則違反にはならないはずよ。」

「はい!」

アホみたいな返事で出演を快諾したマヤ。
喜び勇んで部長の手を握ると部室を出ていった。

「部長!なぜあんな子を引き入れたんです?
 それに今度の文化部発表会の芝居は配役もすでに決定しているというのに!」

「今にわかるわ・・・今にね・・・
 あの子は演劇部の役に立つわ・・・
 たいした実力よあの子・・・」

相変わらず白目の部長。
過去のしがらみを捨て、校則の盲点をつき、
演劇部のためにマヤを利用しようとするあたりなかなかの策士である。

そんなことも知らずマヤ。

「相手ができるんだわ芝居の相手が・・・!
 ひとりでやらなくたっていいんだ!今度は!」

久々の共演者の存在にテンション上がったマヤが向かったのは地下劇場。
早速仲間たちに近況を報告だ。
そこに現れたのは劇団一角獣。
地方公演を終え帰って来たのだった。
というかこの人たちは北海道を出て東京を拠点にしたのだろうか?
それとも東京も経路の一つに過ぎない、
相変わらずダーツの旅のような根無し草なのであろうか。

  • 山口から岡山、兵庫、大阪、名古屋と公演を行って来た
  • 大阪では大阪弁の「ロミオとジュリエット」がバカうけ。
  • 名古屋では地方ニュースに取り上げられTVにも出た

久々のつきかげぷらす一角獣勢揃いで盛り上がる。

「ねえ!また合同公演やりましょうよ」

この提案は水無月さやか。
もちろん皆は二つ返事で快諾。もう完全に合併したらええねん

「ちょうどいい!
 面白い台本があるんだよ!これこれ!」

青木麗が取り出したのは「フランケンシュタインの初恋」
ちょっぴりほろ苦いコメディだそうな。
そして満場一致でフランケンシュタイン役は堀田団長に決定。

「誰かフランケンシュタインの恋人役をやりたい人!」

「やっぱりねえ」
「うんああいう顔で迫られたらこわいもんね」
「やーね、今だって十分怖いのに」

指名されてもないのに嫌がるさやかと春日泰子。
「あの人にもし告られたらどうする?」とか影で言うてる中学生レベルである。

「わたくし・・・やってもいいわ」

この状況の中まさかの立候補は沢渡美奈。

「フランケンシュタインの恋人ってめったにやれる役じゃないし、
 それに堀田さんの演技の実力ってとても素晴らしいと思っているの。
 コンビを組めればいいお勉強になるわ。」

完全に赤面し、硬直する堀田団長。
そしてまさかの展開を見守る一同。

「いいなあ、はやくあたしもみんなと一緒にお芝居やりたいな・・・
 いったいいつ月影先生のお許しが出るんだろう?」

そう。マヤは「石の微笑」で人形役ながら母親を思い涙を流し
月影先生に破門&謹慎を言い渡されたのだった。
そして「奇跡の人」ヘレン役を勝ち取ったことで破門は解除されたものの、
大都芸能を勝手にやめたこともあり、つきかげでの活動は基礎訓練のみ、
公演への参加は禁止され、だから学園祭での一人芝居の道を選んだのである。

そして地下劇場へマヤを訪れた人物があった。

「水城さん!?」
「ごきげんよう。お久しぶりね。」

相変わらずエレガントに現れた水城さんだがもはや悪意の塊にしか見えない。

「元気そうね。よかったわ。
 今日は真澄さまの使いできたのよ」

「速水さんの?」

「そうよ月影先生の容態を知らせようと思って。
 真澄さまがあなたに約束されたはずだけれど」

「あっ!」

そんな約束などすっかり忘れていたマヤ。
そして速水真澄は「約束した」とわざわざ水城さんに言い訳したのだろうか。

  • 月影先生はアクターズ・スタジオの一室でずっと養生してらっしゃるわ
  • 真澄さまのお呼びになったお医者さまのおかげでだいぶ良くなられた
  • まだ講師として働くことはできないけでどお元気になられた
  • 週に一度は健康診断
  • 月影先生に関しては万全の配慮をするからもう心配しなくていい

そして診断書も持参。
快方に向かっているらしい。

「速水さん・・・守ってくれたんですね私との約束・・・
 あたしの頼んだことも・・・」

「もちろんよ。
 あの方は約束されたことは守るわ。
 月影先生の容態をあなたに知らせるっておっしゃったのでしょう?
 だから私をよこされたのよ。」

去っていく水城さん。
仕事とは直接関係のない
全くもって私的な約束の履行に付き合わされる秘書も楽ではない。
こんなにこき使われていたら、そらネチネチと仕返しもしたくなるであろう。

「あたしとの約束を守ってくれた・・・
 あの速水真澄が!」

マヤはもちろん、つきかげや一角獣のメンバーも
冷酷で多忙な噂とは異なる速水真澄の素顔に驚くのだった。

 

と言うわけで今回わかったこと。

月影先生は在宅医療継続中である。
前回、速水真澄に悪態をついたときは病院だったのかもしれないが、
アクターズ・スタジオの一室にて療養中。
一般のサラリーマンなら、会社の一室に入院するようなものである。
しかも講師の仕事にはまだ復帰していないとのこと。
仕事していないのに、職場に起居し、療養し、
しかも医師看護師をあてがわれ、定期的に健康診断。
もはや、病弱な居候である。
状況から察するに、住む場所と医療費は速水真澄の負担。
にも関わらず悪態をつかれる速水真澄・・・
紅天女上演の野望のためとはいえ、
かなりいい人である。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第19巻・100万の虹(1)