【ネタバレ注意】ガラスの仮面第20巻その①【またひとつ道が拓けた!】

      2019/05/11

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不穏な空気で始まった冬の文化部研究発表会
一ツ星学園演劇部「わが作品No707 愛しのオランピア」

演劇部員等の軽妙な演技で観客の笑いをゲットしていく。
かつては鬼婆女優・金谷英実さんを輩出した
一ツ星学園演劇部はプロ顔負けの設備と実力を誇る。

そんなプロ顔負けの集団の部長が恐れをなしたマヤの出番が近づいていた。
マヤ見たさに集まった観客もマヤの登場を今か今かと待ち望んでいる。

「出ておいでルル!」

吉本新喜劇のように舞台から呼ばれたマヤ。

「出番・・・
 一つの成功はまた次の舞台の幕を開く」

例によって「カキーン!」という謎の効果音とともにロボットの仮面を被ったマヤ。
今舞台はまだ成功していないにも関わらず
次の舞台の幕開きを想像する変態だ。

扉が開き登場したマヤ扮するロボット・ルル。
会場のマヤファンからは、盛大な拍手と歓声で迎えられる。
商業演劇さながらの大人気だ。
しかしそんなマヤの脳裏には観客の声援は届かない。

「役者は石垣の石の一つ・・・
 自分一人で芝居してはなりません
 まわりの呼吸をよくみなさい・・・」

マヤの脳裏に響くのは、歓声でもロボットの心でもなく、
鬼師匠・紅天女の教えであった。

「客演・・・わたしは演劇部の舞台に客演してるんだ・・・
 演劇部のこの劇のために・・・」

なぞのよそ者意識を発揮すると
次から次へと大胆かつコミカルな動き、
無駄のない絶妙な間合いと台詞回しで
次から次へと大爆笑をゲットしていく。

「すごいわ・・・あの子すごい子だわ・・・」

舞台袖にてスタンバイ中の演劇部部長も
もはや解説どころかただの感想を述べてしまうほどだ。

「観客の呼吸をよく知っている・・・
 みごとなタイミングだわ・・・
 なんて大胆な演技なの・・・」

マヤ扮するルルが動き喋るたびに劇場は爆笑に次ぐ爆笑。
主演のオランピアを演じる演劇部員も、
マヤの各違いの演技力に自信を喪失してしまう。
客演に徹した結果、主演女優の鼻をへし折るという暴挙。

「舞台の上では仮面をかぶっているみたい・・・
 やっぱりプロだわあの子・・・
 こんなに客席が沸くなんて・・・
 こんなこと演劇部始まって以来よ・・・
 大成功よこの劇・・・」

あたかも演劇部の歴史全てを知っているかのような
演劇部部長の最大級の賛辞とともに終演を迎えたのだった。

客席も大盛況、学校演劇とは思えないほどの盛り上がりを見せ
演劇部員等も楽屋でその快感に酔いしれていた。

「北島さん・・・今日の殊勲者はあなたよ」

当たり前の感想とともにマヤに話しかける部長

「今日の舞台はあなたにとっても意義があったようね。」

そういいながら外を見ると
マヤを讃える観客等の余韻が。
かつて芸能界をスキャンダルで追われたことなど気にせず、
今日のマヤの演技を見て絶賛している。

「昔は昔・・・人は今しか見ないものね。
 今が素晴らしければ人々は昔のことなんか忘れ去ろうとしてくれるわ
 おめでとう北島さん。無事名誉挽回ね。」

部長、めっちゃええやつやん。
意外な部長の言葉を心に刻むマヤ。

「あなたはやっぱり私たちとは違うわ
 さすがアカデミー芸術祭助演女優賞だけのことはある。
 あなたの演技、私にもいい勉強になったわ。
 今まであなたのことやっかんでたの。ごめんなさいね。
 とにかくありがとう。」

部長の顔はこれまでにない優しい笑顔がこぼれていた。
そしてマヤを拍手で讃える演劇部員等。

これまでは敵愾心を燃やしていた演劇部員たちが
素直にマヤの芝居に感動し感謝し拍手を送ってくれることに驚くマヤ。

「あたしやっぱり演劇が好き!
 あたしが生きていけるのは舞台の上だけ!
 またひとつ道が拓けた!」

結局自分自身とその未来にしか興味のないマヤであった。

そんなマヤのもとにビッグニュースが。
なんと楽屋に紫のバラの花束が届いたのだった。

「きてくれたんだ・・・紫のバラのひと・・・
 はじめて舞台に立った時から〜中略〜
 高校にまで行かせてくれて〜以下略」

長いこと待ちわびていた紫のバラのひとへの感謝テンプレート文を述べるマヤ。
そして部員たちの証言をもとに、紫のバラの人を探すのだった。
どうやら部員の一人が紫のバラを持った長身のハンサムな男性を見たらしい。
駐車場の方へ向かったらしく、後を追うマヤ。

その先にはコートを着た男性の後ろ姿が。

「待ってください!紫のバラのひと・・・!」

マヤの呼び止める声に反応する背中。

「やっと会えた・・・
 紫のバラのひと・・・
 やっとあなたに・・・」

 

というわけで今回。
相変わらず芝居では容赦なく好評をかっさらうマヤと、
もはや小学生の感想にも似た解説を連発する演劇部部長。

しかしこの演劇部部長、不思議な人である。
マヤに敵愾心を燃やしつつもその実力は認め、
マヤの芝居へのアプローチを評価しながらも時にはマヤを侮り、
一人芝居でマヤの人気と実力を見せつけられて客演を依頼し、
案の定満席の観客に驚く。
そして今回もマヤの演技力に脱帽し、
自らのやっかみを反省謝罪し、最後は笑顔で感謝。

自分でそうなるように仕向けているのに、自分で驚くという、
自ら仕掛けた罠に陥る癖があるらしい。
結論まあ、芝居を見る目があるめちゃめちゃいい人だった、ということだろうか。

しかしながら、部長をはじめとした演劇部員たちがマヤに感謝し、
観客たちもマヤの演技を絶賛しているにも関わらず、
自分の演劇に対する気持ちの再確認と、
拓けた道に対する希望しか抱かない北島マヤ。
まさに人でなし。嫌われるはずである。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第20巻・100万の虹(3)