【ネタバレ注意】ガラスの仮面第20巻その②【あなたのことならなんでも知っていますよ】

      2019/05/18

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紫のバラをもった男性を見たという演劇部員とともに駐車場へ向かったマヤ。

「あなたですね・・・あなたなんですね
 今まであたしに紫のバラを贈り続けてきてくださったのは・・・!」

振り返った男は若く長身の美形男性。

「間違い無いわ。この人よ!
 紫のバラを持ってきたのは!」

目撃者の演劇部員の証言もあり感極まるマヤ。

「あたし・・・いつもあなたに感謝していました。
 あなたからの紫のバラを受け取るたびにどんなに励まされたことか・・・
 ずいぶんお若いんですね・・・
 別荘を貸してくださったり学校へ入れてくださったり
 もっとお年を取った方かと・・・」

「僕ではありませんよ。
 確かに紫のバラを持っては来ましたが
 送ったのは僕ではありません。別の方です。
 ただその方に頼まれてバラを届けに来ただけです・・・」

衝撃を受け泣き出すマヤ。

「やっと会えたと思ったのに・・・
 紫のバラの人にやっと・・・」

慰める演劇部員とその姿をじっと見つめる謎の男性。

「その方に頼まれてとおっしゃいましたよね?
 教えてください!いったいどんな方なんですか?
 どうしてこんなに親切にしてくださるんですか?」

「とても素晴らしい方ですよ。
 大変なあなたのファンでいらっしゃいます。」

素晴らしいかどうかはさておき、大変なファンであることは間違いない。

  • あの方が誰かのファンになるなどこれまでなかったこと
  • あの方の望みはあなたが一日でも早く女優として大成なさること
  • そのためならあの方はどのような支援も惜しまれないでしょう
  • あの方の名前も年も何をなさっているかもわけあってお教えできないのです

「これ以上はお教えできません。」

「ではあなたのお名前だけでも教えていただけませんか・・・?
 紫のバラのひととつながりのあるあなたのお名前だけでも知っておきたいんです!
 次に舞台に立つことがあれば真っ先のこの人に知らせたい
 いつか大劇場でお芝居できるようになれば真っ先にこの人を招待したい
 あたしの夢なんです。
 どうすればいいんですか?
 どうやってこの人にそれを知らせればいいんですか・・・?
 教えてください・・・」

必死で懇願するマヤ。
必死さは伝わるが100%自分の都合である。
そしてどうもしなくても紫のバラのひとは勝手に情報を仕入れる。

突然のカミングアウトにいたたまれなくなった目撃者の演劇部員、
ばつが悪そうにその場をさっていった。
そして彼女がさるのを確認したあと。

「あの方のことも僕のことも余計な詮索はしないと誓えますか・・・?」

「はい・・・」

「わかりました、何かあれば僕があの方に伝えるようにしましょう」

喜ぶマヤ。しかし謎の男は条件を提示する。

「ただし・・・
 他人に僕の存在を話さないこと!
 人混みで僕を見かけても声をかけないこと!
 人前では顔があっても知らないふりをすること!
 この3つ!約束できますか?」

謎の条件に戸惑いながらも返事するマヤ。

「僕の名前に電話番号です。
 誰にも教えないこと・・・いいですね
 何かあればここへ連絡ください。
 僕がいなくても助手が連絡をつけてくれます。
 じゃあこれで」

「あの・・・あたしの住所とアパートの電話番号を・・・」

連絡先を伝えようとするマヤを遮るように車に乗り込む。

「あなたのことならなんでも知っていますよ。」

前後の脈絡がなかったら恐ろしいセリフを残し車で去っていったのだった。

渡された名前と電話番号を見る。

「聖唐人・・・一体何者なのかしら・・・
 うん詮索するのはやめよう!聖さん
 あたしと紫のバラのひとをつなぐ謎の人!
 橋がかかった!
 渡ってはいけないけれどあの人があたしの思いを向こうへ届けてくれる・・・
 いつかいつかきっとあなたに会えますように・・・!」

紫のバラのひとの使いとはいえ、見ず知らずの男に電話番号を渡され、
ストーカー的なことを言われたにも関わらず希望に燃えるマヤであった。

そしてとあるホテル。

「お言いつけ通り、紫のバラを届けてまいりました。
 これが北島マヤの今度の舞台に関する報告書です。」

報告書を提出する聖唐人さん。
報告書のその先にいるのはもちろん速水真澄だ。

「北島マヤのルル役は大成功でした。
 教育委員会やPTAにも受け入れられ拍手喝采
 どうやら自信も出て来たようです。
 そろそろ劇場の舞台に立ってもいい頃と見えました。」

「自信も出て来たよう・・・か
 学校の演劇であの子が拍手喝采になるのは当然のことだろう。
 だが今の姫川亜弓を前にしては・・・その差はあまりに・・・」

思わずマヤよりの発言をしてしまいそうになり取り繕う。
しかしそんなことはどうでもいい聖さん

「北島マヤにわたしの名前を明かしました。」

相変わらず驚きを隠すのが下手な速水真澄

  • あなたのことは秘密にしてありますご心配なく
  • わたしにあなたとあの子を繋ぐパイプラインの役目をさせてください。ご迷惑はおかけしません
  • あの子はあなたとの接触を求めています
  • 下手な詮索をされないためにも私の役目は重要かと存じます。
  • あの子の夢は紫のバラの人をいつか大劇場へ招待することだと語っていました

「それは・・・光栄なことだな・・・」

クールに装いながらも喜びと感動を隠せない。
そんな速水真澄には目もくれない聖さん

「それからこれはQ物産の企業秘密に関する調査報告書です。
 もう一通はN芸能とA芸能の最近の動きを調べたのものです。
 すべて極秘情報です。」

企業スパイか。そして他社の極秘情報と同じくらいの重要度で
マヤに関する報告書を企業スパイに求める速水真澄もイカれている。

「ごくろうだった。これで先手が打てるというものだ。
 聖・・・君は大と芸能の影の部下として
 陽の当たらぬ場所での働きに甘んじてくれている・・・
 君の存在に気づくものは俺と父以外だれも知らない。
 同じ会社の重役たちでさえもだ。
 君と君の父上と二代に渡って大と芸能の影として生きて来てくれた・・・
 命をかけて・・・
 俺は滅多に本気で礼は言わない男だ・・・
 だが君には感謝している・・・」

「そのお言葉だけで十分です。
 亡くなった父も喜びましょう。
 20年前・・・破産に追い込まれ一家心中を図ろうとしていた父を
 速水親社長が助けてくださらなければ
 今頃僕もここにはこうしていられません。
 あの時母と妹を失い、父と僕は戸籍をなくしました。
 影として生きる以外何ができましょう。
 速水親社長は父と僕に活路を与えてくださったのです。
 父が病気で影としての働きができなくなってからも
 入院費をはじめ僕の学費や生活の面倒をみてきてくださいました。
 世間では非常で仕事の鬼と噂されていた速水親社長の
 本当の優しさに触れた思いでした・・・
 その大と芸能のために影としてお役に立てるならそれこそ本望です。
 一度は死にかけたこの身・・・
 真澄さまの影の部下としていつでも命を捨てる覚悟はできています」

影のわりには長々と自らの半生と速水家への忠誠を語る聖さんであった。

というわけで今回。企業スパイの登場。
一見速水親社長の優しさのようにも感じるがなかなか壮絶である。
戸籍を失ったのは破産したため死んだことにしたのだろうがを
生活費入院費学費の面倒をみるよりも多額の破産だったのだろうか。
だとすると、戸籍のない人間を作り出すために
死んだことにして影働きをさせたのではなかろうか。
さらには破産に追いこんだのは大都芸能ではなかろうかと思ってしまう。

しかし速水親子へ絶対の忠誠を尽くし、命を捨てる覚悟で企業スパイを務める聖さん。
だが彼の仕事は、若社長が個人的に気に入っている女子高生の近況を報告するという
なかなかな若社長の恥部ともいえる仕事も含まれているのだった。
しかも企業スパイよりも優先度が高そうである。

そして企業スパイで命を張っているにも関わらず、
あっさりとただの女子高生に見つかってしまい名前を名乗ってしまった。
若社長の恥部にも関わらず、あっけなく正体がバレてしまうスパイ。
ストーリー上の展開とはいえ、そのスパイとしての力量には疑問が残る聖さんである。

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第20巻・100万の虹(3)