【ネタバレ注意】ガラスの仮面第20巻その③【現実に目を向けたまえ!】

      2019/06/01

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後日、地下劇場。
公演前、劇場入り口にポスターを貼っているメンバーたちの元にやって来たのは速水真澄だ。
先日スパイにマヤの様子を探らせ報告を受けると早速自ら登場。
このあたりのフットワークの軽さは素晴らしい。
それとも単なる先走る恋心か。

「大都芸能の!(冷血仕事虫・・・・)」

「大都芸能の・・・続きはなんだ?いってみたまえ。」

「あ・・・う・・・有能でえらい若社長・・・」

「ありがとう褒めてくれて。顔の表情の方もそう言ってもらいたいもんだ。」

マヤをからかう口調も堂に入っている。

「なんのご用ですか?
 わざわざこんな所まであたしをからかいにきたんですか?」

「君に傘を返しに来た。以前雪の日に君が僕に貸してくれたイチゴの傘だ。」

さすがにこればかりは聖さんには頼めない。
水城さんに頼んでもネチネチと追求されることであろう。
そしてマヤに会える絶好のチャンスを大都芸能の仕事の鬼は見逃すはずはない。
そんな様子を不審げに見つめるつきかげや一角獣のメンバーたち。

「そのお礼に君を舞台に招待したいと思ってね。『ジュリエット』の舞台だ。」

「ジュリエット!!」

「姫川亜弓の一人芝居『ジュリエット』君も評判くらいはきいているだろう。
 連日等満員ですでに切符は楽日まで売り切れ。
 100名まで立見を許しているが運がよければ補助席に座れる。
 たまには立見もいいだろう。開演は6時半だ。
 ここからなら車を飛ばせば10分で着く。」

「いやです!あたし劇場へなんかいきません!
 行ってください一人で!あたしには構わないで!」

「俺と一緒に行くのがいやだというなら
 俺は君を劇場まで送り届けるだけにしよう」

「いいえ・・・あたし亜弓さんの舞台を観になんか・・・」

「亜弓君がこわいのか?
 現実に目を向けたまえ!
 紅天女を競おうとしている少女が今どんな演技をしているか
 その目でしっかり見届けようとは思わないのか!」

まさに正論である。
しかし、今お前が口説こうとしている少女との年の差を考えたまえ。
現実に目を向けるべきはお前や。

「それとも君は姫川亜弓などは問題にもしないほどの天才なのか?」

しかし乗りに乗って来た速水真澄。
得意の挑発でマヤの負けん気を奮い立たせる。

「行けばいいんでしょう!行けば!」

「チビちゃんを借りていきますよ。
 帰りはちゃんと送り届けますからご心配なく。」

心配げなメンバーたち。そら心配やわ。

「ええ。よろしくお願いします。」

仲間をよそに、マヤを送り出したのは青木麗だ。
車で去って行く速水真澄とマヤ。

「麗ったらいったいどうしたの?
 あの人にあっさりマヤを預けたりして!」

麗に食ってかかる水無月さやか。

  • あの人なら信頼できる・・・そんな気がしたんだ
  • 姫川亜弓の舞台がマヤのためになると考えてあの子を連れに来たんだ
  • わざわざ憎まれ役を買って・・・!
  • なぜかはわからない・・・
  • ただあの人が本気でマヤのためを思ってくれてるって気がするんだ・・・
  • 冷淡な言葉の裏に優しさすら潜んでいるように感じられたんだ

さすが劇団つきかげの兄貴分にして、劇場では名解説振りを誇る麗。
速水真澄の仮面に隠された屈折した恋愛感情すらあっさり見抜く。

 

そして劇場に着いた速水真澄とマヤ。
支配人自ら慌てて出迎える。

「申し訳ございません。
 本日は満席でお席がとれませんで・・・」

「かまわん立見だ!」

不思議がる劇場職員たちを尻目に入場。
そして今まさに開演しようとしていた。

「ロミオとジュリエット・・・
 そのジュリエットだけの一人芝居・・・
 亜弓さんはいったいどんなジュリエットを・・・」

鳥のさえずりが響いたかと思うと、
バレエのように舞台に登場する姫川亜弓。

「あれは鳥?飛んだ・・・」

その無駄もなく華麗な動きにさすがのマヤも解説者にならざるを得ない。

「鳥からジュリエットになったわ・・・
 なんの不自然さもなく・・・」

不自然な演出ではあるがそれを不自然さもなく演じる姫川亜弓である。
これまでマヤが見て来た姫川亜弓の演技にはない動きであった。

そしてかの有名なポーズ。
左足をあげ、後ろにそらし、右足1つでそれを支える。
姫川亜弓のジョジョ立ちである。
長椅子にすわって指の止まった鳥を見ている芝居だが
物理的におかしい。

「うまくなった・・・
 以前にも増してうまくなったんだ・・・」

感嘆のマヤ。しかも若干上から。
姫川亜弓の芝居に打ちのめされたマヤ、
なぜか突然よろめき、
速水真澄の腕にすがりつき震える。
変態若社長、一瞬チビリそうになる。

絵になる1つ1つのポーズ、
相手役がいない不自然さすら感じない演技、
スローモーションで恋するジュリエットの気持ちを表現し、
リズミカルなセリフで観客を魅了する。
まさに完璧である。

「演技の天才少女・・・
 一流の指導陣に囲まれて・・・
 さらにその才能に磨きをかけて今までの倍も成長したんだ・・・
 比べ物にもならない今のあたしなんか・・・」

芝居への感動と、自分と亜弓の差に打ちのめされ大粒の涙を流すマヤ。
そして終幕。劇場は割れんばかりの拍手とアンコール。
今日も舞台は大成功だった。

そして誰もいなくなった劇場に二人残る。

「まだ俺の腕が必要ならこのまま歩いていこうか?」

たいして気の利いていないセリフを言う速水真澄。

「あ!あたしいつの間に・・・」

「光栄だな。舞台の間中君に頼りにされるとは・・・!」

ひどくご満悦の様子。

「舞台の間中・・・
 そんなに長く・・・」

自分の失態に気づきよろけるマヤ。
それをまた抱きとめようとする速水真澄。まだやるか。

「大丈夫か?さ、家まで送ろう。」

「いいえ・・アパートへは帰らない・・・
 月影先生の元へ・・・
 あたしを月影先生の元へ連れてってください」

ムーディー感じかと思いきや出て来たのはまさかの鬼師匠である。

「ああどうすればいいんだろ・・・
 亜弓さんにはかなわない
 月影先生・・・」

結果頼りにしたのは月影先生。
速水真澄は足としてこき使われたのであった。

 

と言うわけで今回。

今まで水城さんと聖さんくらいしかしらなかった
速水真澄のマヤへの屈折した感情。
それに青木麗がうっすら気づき始めてしまった。

うっすらというか、もはや満点の正解すら叩き出している感がある。
11も離れた年下の少女(女子高生)に
異常な執着を見せているということが露見しつつある。
その現実に目を向けたまえ!

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第20巻・100万の虹(3)