【ネタバレ注意】ガラスの仮面第20巻その⑤【二年の間あなたをまっているわ。

      2019/06/22

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マヤは改めて自分を振り返って見た。
一ツ星学園高等部三年生、卒業間近。
成績・・・悪し
趣味・・・TVに映画に舞台のお芝居観ること
美人って顔ではない

それにひきかえ姫川亜弓。
美人で何でもできて勉強も優秀、演技の天才。
何の取り柄もない自分と比較するとライバルであることが信じられないのだった。

ぼーっとしていると友人が呼びに来た。

「こんなところにいたの?北島さん。
 今すぐ校長室へ行きなさいって先生のお呼びよ。」

「校長室へ?何かしら?」

普通の学生生活をしていたら校長室に呼ばれることはまずない。
何用かと疑問に思いながら校長室に入るマヤ。
そこには思いがけない人物が。

「聖さん・・・!」

しかし人前で話をしてはいけないという彼との約束を思い出し口をふさぐマヤ。

「いいんだよマヤさん。校長先生は僕をご存知だ。」

あれほど念を押されて約束したにも関わらずいきなりイレギュラー対応。

「君の後見人の使いのこの方が君の今後について話したそうだ。
 もうすぐ高校も卒業だ。君の希望さえあれば
 大学までやってあげようといってくださってるんだよ。」

「ええ!紫のバラのひとがあたしを大学に!?」

「そうだ。きみの希望次第だが遠慮することはないんだよ。
 君さえよければといってらっしゃるんだ。」

感謝しながらもマヤ。

  • 大学なんてあたし考えたことも・・・
  • 高校へやっていただいてるだけでもありがたいと思ってるのに・・・
  • 大学までなんてそんな・・・
  • ありがとうございます。でもあたしもうこれで十分です。
  • これ以上ご迷惑かけたくないんです。
  • それにあたしあまり勉強得意じゃないし・・・
  • 高校を卒業したら演劇をやっていきたいんです。
  • バイトでもしながら演劇の稽古をしていきたいって思ってるんです

「わかりました。あの方にそう伝えておきましょう
 これを・・・あの方からです」

「紫のバラ・・・いつもいつもあたしの心を支えて励まし続けてくれた紫のバラ・・・」

「それではわたしはこれで・・・」

「聖さん!あたしの卒業式の日にもう一度あってもらえますか?」

「卒業式の日に?」

「あたし紫のバラのひとに差し上げたいものがあるんです。
 それを預かってその方に渡していただきたいんです」

笑顔で去っていくマヤ。見送る聖さん。

「不思議な少女だ。
 あの方にいったい何を差し上げようというのか・・・?」

あんたが一番不思議や

 

地下劇場へ向かうマヤ。
劇場前には謎の黒服男性二人と青木麗・水無月さやか。

「失礼、北島マヤさんですね
 お待ちしていました。月影先生の使いのものです。
 一緒に来ていただけますか?」

「行っておいでマヤ。月影先生のお呼びだ。
 アカデミー芸術祭の発表会場へだ。そこに亜弓さんもいる。
 亜弓さんがアカデミー芸術大賞をとったそうだ。
 あのジュリエットで・・・」

「亜弓さんが芸術大賞・・・!?」

「今、その席に月影先生もいらっしゃるんだが
 紅天女についての重大な発表をしたいとかでマヤをお呼びなんだ・・・!」

思わず手荷物を落とすマヤ。
しかしさすが語り部の麗がいると話の展開が早くてわかりやすい。

そしてあからさまな高級車で会場に向かうマヤと麗。
こんな高級車を運転する黒服男性二人をアゴで使う紅天女、恐るべしである。

会場では案の定、報道陣が姫川亜弓に集中していた。
有名監督と大女優を親に持つ美貌の天才少女が
最年少で大賞を受賞しただけのことはある。
そこにやってきた場違いな普段着のマヤたち。
口さがない観客は、芸能界を追放されたマヤの登場にざわつく。

しかし姫川亜弓は報道陣を押しのけるとマヤに向かって行ったのだった。

「芸術祭大賞受賞、どうもおめでとう・・・亜弓さん・・・」

「ありがとう、あなたがお祝いに来てくださったなんてうれしいわ。誰よりも。」

そして振り返ると同じく普段着の黒い服を着こなす月影先生。

「よくきたわね。マヤ。」

「ほう、これは役者が揃ったようですね。」

不敵な笑みを浮かべる小野寺先生もいる。
そしてマヤと亜弓が紅天女候補のライバルであることを知るマスコミが月影先生に質問する。

「月影さん、紅天女の後継者としてどちらをお考えですか?
 もうお決まりですか?亜弓さんをどう思いますか?」

「今日私がここへ来たのは、
 そしてこの場へもう一人の候補である北島マヤを呼び寄せたのは」
 紅天女の後継者を発表したいと思ったからです。」

すると月影先生はこの受賞発表の場に呼ばれたわけではなく、
勝手にやって来た上に弟子まで呼び寄せ、
芸術祭とは直接的には関係ない「紅天女」の後継者発表の場に利用しているわけである。
さすが往年の大女優、私物化が甚だしい。

そしてまさかの展開に驚くマヤ、亜弓、そして速水真澄。

「亜弓さんが名誉ある芸術大賞の候補になっていると聞いた時から考えていたことです。
 たとえ受賞にならなくても同じことを発表したでしょう。
 演劇界幻の名作・紅天女の後継者は
 姫川亜弓に決めたいと思います。」

どっと歓声が湧く会場。

「月影先生!」

この発表には亜弓も合点がいかず手放しで喜んではいない。

「ただし!
 もう一方の候補にも最後のチャンスを与えようと思います。」

以下、マヤのチャンス詳細

  • すなわち姫川亜弓と同等の資格を持った場合・・・
  • 今から二年以内に同じ芸術大賞かもしくはそれに匹敵する全日本演劇協会の最優秀演技賞を受賞した場合
  • 姫川亜弓と互角とみなして二人に紅天女を競わせる
  • その後に正式にどちらか一方を決定したい
  • もしその二年の間に私の身に何かあった場合
  • そしてもう一方の候補者が棄権した場合
  • 紅天女は姫川亜弓のものとしその上演権も彼女に譲るものとする

圧倒的姫川亜弓有利の条件に驚くマヤと亜弓。

「演劇協会理事長どの。
 立会人になっていただけますわね。
 ではあとでこの書類にサインを。」

乱入したにも関わらず、理事長に立会人を強引に承諾させる大女優。

「二年以内に亜弓さんと同等の資格・・・
 芸術大賞か最優秀演技賞・・・」

条件を反復するマヤ

「無茶だ・・・今のマヤにそんな大それた賞が取れるわけがない・・・
 出られる劇場もないというのに!
 月影先生は一体なんてことを・・・!」

マヤの状況をつぶさに解説する麗。

「月影先生・・・これがあなたの言っていた荒療治というわけですか・・・」

複雑な表情の速水真澄。
そして彼を見つけ近づいて言ったマヤ。

「速水さん・・・
 教えてください。どうすれば芸術大賞や最優秀演技賞を取れるんですか?」

マヤの質問に会場から失笑が漏れる。

「過去の実績、観客の支持率、そして大抵はその舞台の主人公というのが今までの条件だ。
その上で全日本演劇協会から選出された審査員たちが
賞にふさわしい演技力を身につけ、演劇界に貢献したと決めたものだけ賞を授与することになっている。」

その条件を聞いたところで今のマヤには出演する舞台すらない。
会場ではマヤのその無謀な挑戦をあざ笑う声が沸き立つ。
麗に連れられ会場を後にしようとするマヤ。

「待って・・・!」

呼び止めたのは姫川亜弓だ。
マヤをあざ笑う取り巻きたちを押しのけると、
マヤにつかつかと近寄り、マヤの腕を強く掴むのだった。

「二年よ。二年の間あなたをまっているわ。
 いいこと!途中でくじけたりしたらわたし・・・
 あなたを許さなくてよ・・・!
 もし棄権なんてマネをしたらわたしあなたを軽蔑するわよ!
 いいわね。二年よ!
 あなたはきっとわたしと紅天女を競うのよ!」

「亜弓さん・・・」

「二年後にあなたが私の前から消えていたら・・・
 一生あなたを許さなくてよ・・・!」

去っていく姫川亜弓に取り巻きたちが近寄る。
口々に亜弓の勝利とマヤとの実力差を話すのだった。
しかしそんなことでは納得がいかない。

このまま紅天女になってしまうなんていや!
 あの子と競って、あの子より勝っているとわかってからでないと
 私は紅天女を演じることなんてできやしないわ!
 紅天女を演れる女優は日本でただ一人!
 ライバルを残したまま、おめおめと紅天女を演れるとでも思うの!」

しかしまだマヤを見下す取り巻きたち。

「あきれた・・・あの子のことをその程度だと思っているの?
 私は一度もあの子に勝ったと思ったことがないのよ。
 そしてあの子の前で私は三度も敗北感を味わっているわ・・・」

マヤに向けた痛烈なエールと見せかけて、自己都合であったという。
自分が負けた気がしたまま、自動的に紅天女になるのは嫌だというわけである。
しかも通算成績は0勝3敗だということ。
記憶力が良いのか、執念深いのか。
その三度は全日本演劇コンクール予選での「たけくらべ」
全日本演劇コンクール本大会でマヤが観客投票で一位になったこと
そして母・姫川歌子に裏切られた「奇跡の人」であろうか。

そして最後のチャンスといいながらとてつもない条件を出されたマヤ。
途方にくれ、月影先生の思惑もわからないまま、月日は過ぎていった。

そしてマヤの卒業式。約束通り聖さんがやって来た。

「卒業おめでとう。これはあの方からの伝言です。
 今日あの方に渡したいものがあると・・・」

マヤが手渡したものは卒業証書だった。

「私が卒業できたのも紫のバラのひとのおかげ
 あたしの卒業証書をこの人に受け取っていただきたいんです・・・」

三年間の素敵な学園生活、友人にも恵まれ、
その感謝を卒業証書と写真とともに聖さんに託す。

「わかりました。あの方に伝えましょう。」

果てしもなく迷惑な贈り物を託された聖さんであった。
そんな聖さんの迷惑など顧みないマヤ。

「この体育倉庫ともお別れなのね。
 もう二度とここでお芝居できないなんて寂しいわ」

体育倉庫には盟友の草木さん、吉沢くんも現れた。
ここで上演された一人芝居を懐かしむ。
すると騒がしい屋外、なんと大勢の生徒たちがマヤを迎えていた。
ここから一人の役者を送り出すために、マヤのファンとなった生徒たちが集まったのだった。
口々にマヤにエールを送り、拍手で送り出す。

「演劇やっててよかった!
 演劇がやりたい!もっとうまくなりたい・・・」

笑顔と涙で学園を去るマヤ。
演劇への感謝と情熱を燃やすのであった。

 

その頃別の情熱を燃やしていた速水真澄。

「俺にこの卒業証書だと・・・?」

「それにこのクラスの記念写真です。ぜひ受け取っていただきたいと。」

「馬鹿な。こんな大事なものを・・・いますぐこれを!」

「いいえ!
 大事なものだからこそあなたに受け取っていただきたかったのです。
 学校を卒業できたお礼をあなたにしたかったのです。
 返したりすればあの子が傷つきます。」

見事な切り返しの聖さん。
マヤから迷惑な贈り物を預かってから必死で考えたのだろうか。

「この俺に卒業証書を・・・
 マヤ・・・君はなんて少女だ・・・なんて・・・」

お前もなんて男だ。
見ようによっては「11も年下の少女への思いを卒業しなさい」みたいに見れておもろい。

そしてその頃マヤは、紅天女への険しい二年間の試練を思い悩むのであった。

 

というわけで今回。相変わらずキャラが濃い。
月影先生は相変わらずの大女優っぷりを発揮。
アカデミー芸術祭の発表の場に呼ばれてもないのに乱入し、
弟子のマヤを勝手に入場させ、自らの後継者発表の場にすり替えてしまう。
誰も文句が言えないという状況がなお恐ろしい。

そして姫川亜弓。
かつてマヤの仇を取るべく
乙部のりえを叩き潰した時のような男気発言かと思いきや、
限りなく自己都合によるマヤへの無茶振り。
通算成績は0勝3敗で自分が紅天女になるのは嫌だとのたまう。

やはり、紅天女はこれくらいのわがままでないと演じられないのかもしれない。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第20巻・100万の虹(3)