【ネタバレ注意】ガラスの仮面第21巻その①【パック・・?あたしが?】

      2019/08/10

Pocket

地下劇場は大盛況。
つきかげ+一角獣による「フランケンシュタインの初恋」千秋楽が上演されていた。
一角獣の堀田団長演じるフランケンシュタインがはまり役。
劇場は爆笑に次ぐ爆笑だ。

そして舞台袖にはなぜかマヤ。
月影先生の命により謹慎処分をくらい、
つきかげの舞台への出演は許可されていない。
しかしスタッフをやるでもなく舞台袖にいる。

「ご覧よマヤを。手足が勝手に動いている。
 口の中はセリフでいっぱいなんだ。
 あの子演技をやりたくて仕方ないのね。」

心配げに見つめる沢渡美奈と水無月さやか。
本番中は本番に集中せえよ。
ほんで謹慎中にも関わらず舞台袖で芝居に没頭しているマヤも反省の色なし。

そして地下劇場では舞台の成功を祝し、ささやかな打ち上げが行われていた。
二週間の公演が全て満員。
中でもフランケンシュタインの堀田団長が実感こもっていたと
冷やかすのは田部はじめとさやか。
そして恋する伯爵夫人の美奈の演技が自然だったと
冷やかすのは細川悟と春日泰子。
泰子生存を確認したものの、何役にて出演していたのか
そもそも出演すらしていたのか不明である。
そして散々冷やかされ照れる二人の前途は明るい。

「あたしも演劇がやりたい・・・
 はやくみんなと一緒に・・・」

打ち上げの喧騒をよそに自分のことしか考えていないマヤ。
あと二年のうちに芸術大賞もしくは全日本演劇賞を受賞できなければ
紅天女は姫川亜弓のものとなるのだ。

「あきらめないわ・・・あと二年ある・・・
 闘う前に諦めたりなんてできない・・・
 ほんの少しでも可能性があればその可能性にかけて生きていきたい・・・
 紅天女・・・そうよあたしには演劇しかないんだもの・・・」

どうやらつきかげと一角獣との舞台も
マヤにとっては紅天女への肥やしでしかないらしい。

 

「ところでみんな。俺たちこのままでいいと思うか?」

そんな中突然堀田団長。

  • 今度の芝居は確かに成功した。いつも場内は満員だったしよく受けた。
  • だけど満員といってもこの狭い場内だたかが知れている。
  • それにいつも常連おお客さん達ばかりだ。このままじゃ俺たちは世間知らずになってしまう。
  • 常連のお客さんはファンだから少しのことなら大目に見てくれる。
  • 俺たちの芝居のやり方を納得して観に来てくれている。それに甘えちゃいけないと思うんだ。
  • みんな大劇場で芝居したくないか?もっとさまざまな大勢の客の前で。
  • もっとも今すぐには無理な話だ。大きな演劇界の中では俺たちは無名に等しい。
  • だがここで満足してちゃいけない。ここで終わっちゃいけないんだ。
  • ここは出発点なんだ。俺はもっと高みを目指したいと思う。
  • 一人でも多くの人に俺たちの芝居を見てもらいたい。
  • どうだみんなやってみる気はあるか?

団長の熱い長ゼリフに、テンション上がるメンバー達。
そして団長はすでに、オープンして二年目、500座席のホールに目をつけたらしい。

「電車で20分、めったやたらと人の集まる街。
寺に神社に繁華街、大学デパート住宅街、ショッピングアーケード、
喫茶店やスナックがやたらと多い。
池にボートに公園、いろんな人種が集まってくる。
圧倒的に多いのが学生に若者、
こういう街で演劇をやるときっと反応が大きいと思うんだ。」

やって来たのは吉祥寺だ。
今までなんとなく地下劇場は吉祥寺にあるものだと思っていたが、
電車で20分ということは新宿あたりにあるのだろうか。

そして訪れた劇場はアテネ座。
オープンして二年、大きくて新しくて綺麗。
おまけに有名劇団や俳優が出演している劇場らしい。

「君たちのような無名の劇団を使って赤字を出すわけにはいかんね!」

劇場の支配人らしき男も高飛車でいけ好かない。

  • ここは座席数こそ多くないが常に一流の役者、名の通った劇団の出演しかやってない。
  • 君たちが出たところでなんの話題性もない。世間は誰も注目などせんよ。
  • いくらえんぎがうまいといってもだね、話題性がなきゃ客は集まらんのだ。
  • ここに出してもらいたければ世間に注目してもらえるような劇団になってくるんだね。
  • そうすればこのアテネ座に出してあげよう

露骨に門前払いされたメンバー達。
中でも堀田団長の悔しさは人一倍だ。

「くそ!見ていろ!いつかあんな劇場問題にもならなくらい客を集めてやる・・・!」

「ねえ公園によらない?頭を冷やしましょうよ!」

公園で麗とボートにのるマヤ。

「次は何を演るの?麗」

「公園が夏だからね。シェイクスピアの『真夏の夜の夢』
 キャストはまだ決まっていないけれどどうせ私は
 ハーミアに恋する若者のうちの一人をやらされるに決まってるんだ。」

ため息をつく麗。
どうやら美男役の地下劇場のアイドルにも疲れたと言うことか。

「麗・・・あたしも舞台に出たい・・・」

「いつかそう言うだろうと思っていたよ。
 オーケー、マヤ。」

そしてメンバーに切り出す。

「マヤが今度の芝居の仲間に入りたいっていってるんだ。」

「みんなに迷惑かけないわ、一生懸命やる。
 何の役でもいいの・・・あたしもお芝居がしたい。
 月影先生にはみんなと一緒にやらせてくださいてお願いする・・・
 このまま何にもしないでいるのってなんだか死んじゃいそうなの。
 生きていたいの・・・お芝居しているときだけは生きているって気がするから。」

自己の存在証明のために仲間に入れてくださいと言う
ことごとく自分都合である。
しかし異議なく全員賛成でマヤを受け入れるメンバー達。
このマヤの厚かましさ、そして他メンバーのお人好しっぷり。
これが売れるやつとその他大勢の違いであろうか。
それとも芝居を成功させるにはマヤの実力を利用したいという思惑であろうか。

「ようし!キャストの発表をする!
 ここにいないものはあとで連絡する・・・」

おもむろにキャストを発表しだす団長。
マヤが出演を希望する前に決めていたのだろうか。

アセンズの大公シーシアス 細川悟
その婚約者アマゾン族の女王ヒポリタ 田部はじめ
小柄で黒髪麗しのハーミア 水無月さやか
嫉妬深いヘレナ 二の宮恵子
ハーミアに恋するハンサムな若者ライサンダー 青木麗
ハーミアに恋する若者デメトリアス 長谷川良一
妖精の王オーベロン 堀田団長
その妻で妖精の女王タイターニア 沢渡美奈
いたずら者の小妖精パック 北島マヤ

「パック・・?あたしが?
 本当にパックを演らせてもらえるの?」

「パック役といえば一番の芸達者が演るといわれている・・・
 表立って主役ではないがいわば陰の主役といった重要な役だ。
 この劇一番の人気者でもある・・君ならやれると思った・・・
 頑張ってくれよ!この劇の重鎮だからな!」

そして舞台の話は具体化して行く。
セットは森の中。しかしあまりお金はかけられない。
地下劇場は狭い。かといってアテネ座は借りられない。

しかしマヤはパックを演じられる喜び、芝居ができる喜びに満ちていた。

「真夏の夜の夢・・・森の中・・・」

マヤの目線位は野外ステージがあった。
ベンチもある。ライトもある。
風にそよぐ木立、涼しげな空気。

「そうよ真夏の夜の夢の舞台にぴったりよ!
 公園の中は木々もいっぱいだし大道具なんかいらないわ!
 ここがそのまま舞台になるわ。
 それにこのあたりいつもいっぱい人が来るんでしょう?
 地下劇場でやっていたときとは違う客層に見てもらえるわ
 駅も近いし、周りは繁華街、ポスター貼ったりしてきっと人が集まるわ!」

マヤの提案に言葉を失うメンバー達。

「そうだな・・・こいつは使える・・・
 成功すれば話題も呼ぶ・・・
 だがつまらなければ客はさっさと立ち去る・・・
 普通の劇場のように最後まで大人しく見ていてはくれない・・・
 こいつは実力を試されるぜ・・・」

アテネ座を見返して演るべく気勢をあげるメンバー達。
夏の夜三日間の上演を行うため、
そして団長自ら公園の管理局に貸し出しを申し込みに行くのだった。

 

と言うわけで今回。
何と言っても、劇団一角獣の堀田団長の活躍が嬉しい。

全日本演劇コンクールで全国2位となり、
華々しくスターダムに乗るかと思いきや
日本列島を北から南にバイトをしながら公演をするという
罰ゲームのような演劇人生。
そして劇団つきかげと仲良くなってしまったばかりに
吸収合併のような形で地下劇場に潜伏しカルト教団のようになっていた。

「劇団つきかげ+一角獣」

カルロストシキ&オメガトライブの
オメガトライブ部分である。
安室奈美恵 with SUPER MONKEY'Sの
SUPER MONKEY'S部分である。

しかし今回の堀田団長を見るに、劇団一角獣は死なずと言った感想だ。
「フランケンシュタインの初恋」では堂々の主役を張り舞台は大成功。
そして打ち上げにおいては、現状を打破し高みを目指すべく、
劇団メンバーに講釈を垂れ、そして地下劇場からの脱出を図る。
アテネ座や公園管理局との折衝も自らこなし、
そして次回公園のキャスティングも決めている。

劇団つきかげに吸収され、メンバー達も月影先生に顎で使われているような雰囲気であったが、
メンバー内における序列は
月影先生 > 堀田団長 > 青木麗 > その他
と言ったところであろうか。

そしてキャストの発表においては
長谷川良一なる謎の人物が初登場、
地下劇場を観て新規入団したメンバーだろうか。

そしてキャスト発表に名前が上がらなかった春日泰子。
キャスティングされなかったのだろうか。

「ここにいないものはあとで連絡する」

と言っていたからその場にいなかったのだろうか。
他のつきかげメンバー4人と一角獣の主要メンバーは一緒に吉祥寺に来ているのに。

この場に居てキャスティングされなかった=役者として存在感がないもしくは実力不足 なのか。
この場に居ない=陰が薄い・そんなに仲良くない・主要メンバーではない なのか。

考えれば考えるほど、春日泰子の存在が悲しい。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第21巻・100万の虹(4)