【ネタバレ注意】ガラスの仮面第22巻その④【実力では・・・負けないつもりです】

      2019/12/07

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「ええ!?マヤが出演者の中に入らないってどういうことですか!?」

マヤがアテネ座の企画から外されたことを伝える大都芸能制作部主任と
それを聞いて驚くつきかげ&一角獣のメンバー

「北島マヤさんはここの正規の団員ではないと聞いています。
 月影先生の許可がないとだめだとか・・・」

「だからってそんな・・・!」

「そうよ!マヤはあたし達の仲間なのよ!」

意外なことに、ものすごい剣幕で一番怒っているのは水無月さやか。
かつてはマヤの最初のライバルとして役を争い、マヤに取って代わろうとした過去を持つだけに意外。
それほどマヤに対しての思い入れが強いのか、それとも純粋に戦力がマイナスすることを危惧しているのか。
おそらく後者。

「いいのよみんな
 あたしね、大都のもとではお芝居したくないってまえにいったでしょ。
 あたし・・・昨日自分で断ってきたの
 だからあたしのことは気にしないで。」

とんだ大嘘である。
速水真澄から自分が外されたなどと口にもせず、
自ら断ったなど、変にプライドが高い。
しかもその中途半端な嘘のせいで、仲間との絆を自ら一刀両断している。
仲間にしてみたら自分たちとの繋がりよりも大都との因縁を重要視したと捉えらえるのだから。

「そうよあたしのことでみんなに迷惑かけちゃいけないわ・・・
 大都芸能とあたしの問題はみんなとは関係ないわ。
 一流のスタッフに日向英治氏の脚本、資金に宣伝力・・・
 みんなの成功がかかってるんだもの・・・
 あたしさえ離れればいいんだ・・・あたしさえ・・・」

売り言葉に買い言葉で速水真澄憎しのあまり離れたにも関わらず、
仲間のためと白々しくも自分に言い聞かせるマヤ。
早速気持ちを切り替えて日帝劇場に向かう。

「この大きな劇場で亜弓さんと月影先生が共演?
 来春て言ってたっけ?
 一体どんな芝居なんんだろう・・・?
 どんな役をやるのかしら・・・?
 月影先生・・・最近は電話にも出てくれない・・・
 芝居のことでお忙しいのかしら・・・?」

次から次へと疑問だらけのマヤ。
その答えは全て日帝劇場にあるからはよ行け。

 

「あの・・・事務所はどっちですか?」
「事務所?ああそこ右へ曲がったとこ。
 今立て込んでるからね。用があるんなら後からにした方がいいよ。」

大劇場にも関わらずノーセキュリティの通用口を抜け、
マヤが目にしたものは戦場のように殺気立った事務所。
電話が鳴りまくり、大勢のスタッフが連絡や指示で大騒ぎだ。

なんでも姫川亜弓の相手役に決まっていた
青春ドラマで人気の女優・北園ゆかりが急遽降板したことにより、
パンフの手配やスケジュールの段取り、マスコミ対応に追われているのだった。
そしてマヤが目にしたもの。

「ふたりの王女」姫川亜弓 相手役オーディション予定

「亜弓さんの相手役・・・オーディション・・・!」

そこいらにいた女性スタッフを呼び止め詳細を聞くマヤ。

  • 姫川亜弓と一緒にもう一人の王女役を演ることになっていた北園ゆかりが突然役を降りてしまった
  • それであわてて代わりの人を探している
  • 姫川亜弓より出番を多くしてくれだの見せ場を増やしてくれだの散々注文をつけておきながら
  • 結局姫川亜弓とは一緒に舞台に立ちたくないって降りてしまった
  • 何しろ姫川亜弓は芸術大賞をとったほどの実力の持ち主
  • いくら北園ゆかりが青春ドラマのスターだからといって、同じ舞台に立てば実力の差ははっきりしてしまう
  • 結局のところ姫川亜弓を恐れたんだってもっぱらの噂。
  • 来春の公演とはいえ予告や宣伝で秋までには役者と配役を決めなければならない
  • でもむずかしい
  • 亜弓さんほどの実力ある人はそういないし
  • かと言ってもう一方の王女が亜弓さんに貫禄負けする人じゃね
  • ふたりの王女共に主役だから、堂々と張り合える人でなきゃ
  • 推薦された各劇団生え抜きの役者の中からオーディションで決めることになった

女性スタッフの方長々とご説明ありがとうございます。

「オーディション・・・亜弓さんの相手役・・・
 もしも・・・もしもこれに出られたら・・・」

仲間のことなどすっかり忘れ、次回出演に意欲を燃やすマヤ。
女性スタッフさんに食らいつき、オーディションを受けるすべを聞く。
マヤのことなど知らん女性スタッフさんも呆れている。

「さっきも言ったように推薦された各劇団生え抜きの実力ある役者だけがオーディションを受けられるのよ。
 なにしろあのあゆ遺産と舞台で対等に張り合える人でなきゃダメなんだから・・・
 あなた自信あるの?」

「やってみなければわからないと思います・・・!」

そらそやろ。
しかしそんな遠回しに自己主張するマヤを不気味がるスタッフの皆さんに食らいつくマヤ。
とうとう制作主任の兼平さんなる方が、今夜の8時か9時に劇場に来るという情報を仕入れた。

「あの・・・あたしここで待たせてもらっていいですか?」

「君!兼平さんに頼むつもり?
 無駄だから帰りなさい!」

「いいんです無駄でも!何もしないより可能性があるでしょう?」

謎理論でスタッフを煙に巻くと一時退場。

「よしそうと決まったら本格的にここに落ち着いてしまおう!」

許可されたわけでもないのにハンバーガーと飲み物を買い込むと、
劇場事務所前の椅子に座り込むのだった。

「とにかく頼んでみよう。
 オーディション受けさせてくださいって・・・」

ダメでもともと、自分の運命を自らの手で切り拓こうと誓ったマヤ、
事務所前で爆睡。

その気合いと度胸に呆れるスタッフの皆さん。
追い出すわけにもいかず困ってしまう。
そしてやってきたのは制作主任の兼平さん

「変な子が来てるって?」
「ええ、オーディションを受けたいって夕方から待ってるんですよ。
ずうずうしんですよ、やってみなきゃわからないって・・・」
「ほうそいつはすごいな。
世間知らずな子ほど実力もないのに自惚れが強いもんだ。」

案内された兼平さん、マヤを見て立ちすくむ。

「この子がなんと言ったんだって?姫川亜弓のことをだ。
 やってみなければわからないといったんだな・・・
 いうかもしれないな・・・この少女なら・・・」

「は?ご存知なんですか?」

「気がつかなかったのか?北島マヤだ。」

「北島マヤ・・・あの大河ドラマに出てた・・・」

  • わけがあって芸能界を追放されたが、姫川亜弓がライバルと認めるただ一人の少女
  • かつて全日本演劇大会でただ一人で舞台をつとめ
  • 劇団オンディーヌを抑えて一般投票で一位
  • 「奇跡の人」ではやはり姫川亜弓を抑え助演女優賞を受賞
  • そして演劇界幻の名作「紅天女」の姫川亜弓と同じ候補でもある。

さすが日帝劇場の制作主任だけあって、アテネ座の支配人とは違い、
北島マヤ伝説をカンペもなしに説明できる情報力。

「最近ある野外ステージで真夏の夜の夢のパックを演ったらしいですね。
 なんでも三日間で6000人からの観客が集まったとか・・・」

起こそうとするスタッフを制止すると、何を思ったか手を叩く兼平さん。
その合図に、マヤの役者モード発動するかと思いきや、
目覚めたのはただのマヤであった。

「お願いします!オーディションを受けさせてください!」

「これは王位継承権を巡って対立する二人の王女の対照的な生き方を描く舞台だ。
 亜弓くんが主役なら対するもう一人の王女も主役。
 いわば二人の主役が舞台の上で演技を競うわけだ。
 決して亜弓くんに見劣りすることなく
 しかも王女としての役柄にふさわしい人物でなければならない。
 君にそれだけの自信があるかね?」

一瞬ためらうマヤ。

「実力では・・・負けないつもりです・・・」

マヤの強い情熱を感じ、兼平さんの表情が優しくなった

「オーディションに集まるのは各劇団の名実ともに生え抜きの役者ばかりだ。
 まあしっかりやるんだな!」

無事オーディション参加を認められたマヤであった。

「日帝劇場・・・もしもここに出られるようになったら・・・大きく飛躍できる・・・
 亜弓さん・・・それから月影先生との共演・・・
 亜弓さん・・・きっときっとあなたにたどり着いてみせる・・・」

アテネ座の仲間のことなどすっかり忘れて情熱を燃やすマヤであった。

 

というわけで今回、
速水真澄の真意がわかった回であった。
そして次回はその真意を水城さんにネチネチといじられる速水真澄が見られる。

今回思ったのは日帝劇場は大都芸能の参加ではないのだろうか?ということだ。
もちろん、姫川亜弓が出演する以上なんらかの協賛はあるだろう。
しかし、姫川亜弓主演の舞台にあの稀代の政治家・小野寺理事が演出を演っていないのが奇妙である。
小野寺理事がいれば、マヤのオーディション参加は認めないであろう。
また、直接的に速水真澄が関わっていないことから、
日帝劇場「ふたりの王女」は大都芸能の制作ではないようだ。
まあ大都芸能制作の舞台を自己都合で降板などしたら、北園ゆかりは生きていけないであろう。

ということは姫川亜弓は大都芸能の系列である劇団オンディーヌに所属してはいるものの
必ずしも大都芸能関係にしか出演しないというわけではなさそうである。

そしてマヤもあれだけつきかげ&一角獣の芝居への出演を熱望しなからも、
あっという間に別の芝居へ心を動かしてしまう。
「所属」などというものは得てしてそんな儚いものなのかもしれない。
結局「所属」にとらわれない実力を持った奴が偉いんだ
天才ってずるい。

しかし気になるのはマヤの発言「実力では負けない」とのことだが
他に何があるというのか

マヤが姫川亜弓に勝てないのは
美貌・芝居の技術・経験・芸歴・金・親の七光り・世間の注目度・事務所のバックアップ・イエスマンの数
といったところであろうか。
それらを踏まえた上での「実力では負けない」発言なのだとしたら
意外と自分のことがよく見えているのかもしれない。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第22巻・100万の虹(5)