【ネタバレ注意】ガラスの仮面第24巻その②【仮面をかぶれる・・・?】

      2020/03/14

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昭和劇場「椿姫」

桜小路優がアルマンを演じる舞台、
名無しの手紙で招待されたアレである。

「きちゃった・・・桜小路くん・・・」

ベタなドラマの駆け落ち女みたいなことを言うマヤ。
しかし桜小路くんには会わない。

「チケットをありがとう桜小路くん・・・
 まだ忘れないでいてくれたことがうれしかったわ・・・
 やさしいのね桜小路くん今も・・・
 あんな別れ方をしたのに・・・」

なんか綺麗な物語になっているが、
里美茂にうつつを抜かして、桜小路くんを捨てたのはマヤである。

開演。雰囲気も変わり芝居も上達した様子。

「ごめんねあなたはあんなに優しかったのに・・・
 あんなに優しかったのに・・・桜小路くん・・・」

一応自責の念はあるらしい。
桜小路くんの好演にマヤのみならず
他の観客も魅了されファンをゲットする。

「今のあなたに会う勇気があたしにはないわ・・・
 今日はありがとう。思い出の中でいつもあなたは優しかったわ・・・
 さようなら桜小路くん」

誰もいなくなった客席、舞台袖に花束を置いて去るマヤ。
名無しの手紙とともに。

「すてきなアルマンでした。今日はどうもありがとう」

「なあにこれ名前も書いてないじゃないの」
「これじゃ誰からだかわからないわね」

「いや・・・わかるよ僕にはね
 来てくれたんだね。マヤちゃん・・・マヤちゃん・・・」

名探偵か。
名無しの手紙とともにチケットを送り、
名無しの手紙とともに花束を置いていく。
それぞれの活躍の場を見出した二人の成長とすれ違いの
機微を表現しているのだがなんともめんどくさい。

相変わらずマヤはあやまってばかり。
相変わらず桜小路くんのセリフの大半は「マヤちゃん・・・」

 

そして何もなかったかのように「二人の王女」の台本を熟読するマヤ。
切り替えが早いのかなんなのか、そういうところが小悪魔でもあり嫌われる理由でもある。

「難しいわこれは・・・
 あたしには難しい・・・
 ああ・・・どうやってアルディスをつかもう・・・
 そして・・・どうやって美少女アルディスになろう・・・?
 亜弓さんのオリゲルドを前にして・・・・」

一方の姫川亜弓も自宅にて鏡の前で一人作戦会議。

「牢獄の中で育った王女オリゲルド・・・
 アルディスが光ならば私は影・・・
 どう演じよう・・・暗い瞳のオリゲルド・・・
 北島マヤのアルディスを前にして・・・」

流石の梅乃ばあやも、お嬢様の異様な雰囲気に驚く。

「マヤ・・・あの子ならどう演るかしら・・・あの子なら」

何かに気づくと部屋中の窓からカーテンから雨戸から閉める。
かつてマヤがヘレン役を掴むため自ら目と耳を封じたように、
暗闇の中に身を置こうと言うのか。

「さあできたわこれでよしと・・・!
 ばあやしばらく私を一人にしておいて」

突発的に起こる役作りの発作にも慣れた梅乃ばあや。
他の使用人達にしばらく部屋に近づかないよう命令を下す。

電気を消し暗闇の中、ロウソクに火を灯す。

「暗いジメジメした牢獄の中で育ったオリゲルド・・・
 オリゲルドの心・・・
 どうすればオリゲルドの仮面をかぶれる・・・?
 オリゲルドの仮面を・・・」

そしてほぼ同じ時、マヤもスーパーで買い物しながら自問自答していた。

「華麗で美しい少女アルディス・・・
 アルディスの心・・・
 どうすればアルディスの仮面をかぶれる・・・?
 アルディスの仮面を・・・」

 

そして始まった稽古。
初めは着席して台本読みから。
国王役の役者がタバコ片手に稽古に参加しているのは時代だろうか。
月影先生が見たらブチ切れるかと思いきや、
稽古場の壁際に立って台本読み。
他の人たちは座っているのに、自由か。
常日頃死にかけている割には、立ち続ける体力はあるらしい。

そんな中、やはりミスキャストが話題になる。
マヤも亜弓も、台本を読みながらその役作りに苦心し、
そしてお互いのことを気にかけるのだった。

「北島マヤ・・・今までやったどの役よりも完璧に
 わたしはオリゲルドをやりとげたい・・・
 負けたくないああの子には・・・!」

「アルディス・・・きっとアルディスを掴みたい・・・!
 亜弓さんに軽蔑されるような演技だけはしたくない・・・!」

複雑な思いの中稽古終了。
姫川亜弓は送迎の車で帰っていく。

「亜弓さん・・・
 生まれた時からぜいたくな雰囲気の中で暮らしてきて
 動きも態度も洗練されている
 あの人なら簡単にアルディスを演れるだろうな」

若干の羨望と偏見が入っている。
そして一方の姫川亜弓

「北島マヤ・・・
 いつも不安定な運命の中で生きてきた少女・・・
 演劇をやるために家出をし
 全日本演劇大会では出演者が全員欠場というハプニングを
 あの子一人で乗り切り
 やがてスターになってそして身近な人に裏切られて絶望して
 それからまた立ち直って・・・
 人を信じられなくなったこともあるでしょう
 思い切り挫折感を味わったこともあるでしょう
 その反対に抑えきれないほどの情熱や感激も
 味わったことがあるにちがいないわ。
 不安定な運命のゆえに・・・
 あの子なら完璧にオリゲルドを演れるはずだわ・・・」

たかだかここ数年のマヤしか知らんくせに、不安定な運命よばわり。
もちろん不安定な運命であることは間違いないし、
マヤの数々のドラマチックな人生の悲劇、
あるいは感動や喜びを簡単に言い表せるものではないが
だいぶはしょりすぎである。
そして亜弓自身がマヤに二度ほど敗北したという事実も
はしょってお伝えしている。
そしてマヤは母親を亡くしてはいるが別に謀反人の娘なわけではない。

悩めるマヤには青木麗が相談に乗る。
マヤにとって華麗な王女役が難しいのは
マヤ自身がそう扱われたことがないからと分析。
アルディスの美貌は生まれつきのものかもしれないが
王女としての気品や態度は周りの環境によって作り上げられたものである。
環境が人間をつくる。
環境を理解できなければアルディスは掴めない。

合計2Pにもわたる、麗の適切で見事な助言もはしょってしまった。
そしてマヤは図書館で中世貴族の生活を調べ
地下劇場にて一人稽古に励むのだった。

そして一方の姫川亜弓

「こうやって一人闇の中に閉じこもってもまだオリゲルドは掴めないわ
 少しばかりの退屈さと陰気な空気を感じるだけだわ
 今のままでは孤独な王女のふりを演じるだけになってしまう・・・」

さすが、表面的に見えるものを技術で演じてしまうという自身の欠点をわかっている。
これまで不自由を感じることなく、ものも愛情も十分に受けてきた亜弓。
両親のことで妬まれ意地悪をされることがあっても不安定なときはなかった。

「オリゲルド・・・どうすればあなたを演じられる・・・」

 

と言うわけで今回。
自身の資質とは真逆と思われる役作りに苦しむ二人。
芝居の本質を見事に表した回である。

自分の中にないものは演じられない、
だからアルディスのような人生を送ってこなかったマヤ、
自身の持つ心のままに演じるタイプだけに、何一つ引き出しがない。
姫川亜弓の豊富な技量をもってしても、ない引き出しからは本質を出すことができないのだ。

環境が人を作る。名言である。
そういえば桜小路くんはどのような環境で育ったのだろうか。
カスみたいな母親と、クズみたいな妹がいる裕福な家庭。
その中から、温厚で優しい男前が育ったのである。
これといって欠点は見当たらない。
強いて言えば「マヤちゃん・・・」しか言わないことか。
それとも描写はされていないが父親が立派な人なのであろうか。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第24巻・冬の星座(2)