【ネタバレ注意】ガラスの仮面第24巻その④【わたしの演技はもうすでに始まっている】

      2020/03/28

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てなわけでタクシーで帰宅した姫川亜弓と
半ば拉致された北島マヤ。

自動開閉の門扉をくぐりぬけ、玄関に入ると
恒例の梅乃ばあやさんを筆頭にメイド風制服の女性三人。
使用人がたくさんいるのはええとして、制服は必要なのか。
姫川貢監督の趣味であろうか。

「お嬢様その方は・・・」

「ばあや、北島マヤさん。知っているでしょう?」

「ええそれはもう・・・よ、ようこそいらっしゃいました・・・」

まさかのマヤの来訪に驚く梅乃ばあやとマヤを互いに紹介する。
亜弓とマヤの関係を知っているだけに梅乃ばあやを筆頭にメイドさんも複雑だ。

「素敵なおうちね。家具や調度品も洒落ていてとても素敵だわ。」

まずは広大なリビングで度肝を抜かれるマヤ。
白いピアノ。パパからの誕生日プレゼントだそうな。
そしてピアノコンクールの優勝トロフィー。
ラフマニノフのピアノ協奏曲を引いたそうな
ベートーベンしか知らんマヤには宇宙人同然である。

そして亜弓の部屋へ通される。

「わあ素敵なお部屋!」

「気に入っていただけた?
 ベッドのシーツも枕もすぐ取り替えさせるわ。
 あなたのために。」

「亜弓さん・・・!」

「今のままではわたしは役をつかむことに集中できないの。
 今の自分の環境から自分をひきはなしたいと思っているのよ。」

この恵まれた環境、自分の好みに囲まれ、
ここにいては自分に取り囲まれ、姫川亜弓として扱われる。

「恐怖、不安、猜疑心そして野心に復讐心・・・
 牢の中で育った孤独な王女オリゲルド・・・
 今のままではオリゲルドはつかめない・・・」

「亜弓さん・・・」

マヤに対しての恐怖、不安、猜疑心、野心、復讐心、
姫川亜弓は全て持っていることに本人は気づいていないのだろうか。

そしてもちろんマヤはアルディスを掴めないでいる。
稽古以外の日常は買い物をし家事をし、
そして地下劇場で自主練に励んでいる。
つきかげプラス一角獣のメンバーがアテネ座へ進出した今、
使い放題なのである。

「マヤさん!その地下劇場わたしに貸してくださらない?
 迷惑はかけないわ。そこでしばらく過ごすだけ・・!
 舞台が始まるまであなたはここで
 アルディスの研究をしながら稽古場へ通えばいい・・・!」

ノリノリで提案する姫川亜弓。
両親は仕事で長期にわたり家を空けている仮面家族。

「わたしたち自分たちの環境から自分を引き離したほうが
 互いの役をつかみやすいと思うの。
 生活をとりかえる・・・ね?やってみない?」

驚きと緊張、そして畏れ多さから迷っていたマヤも承諾。

「取引成立ね!乾杯!これ林檎酒よ!」

こいつら、未成年ちゃうか?
たしか高校卒業後の夏に、「真夏の夜の夢」をやってたはず。

 

そして翌日、マヤは自宅へ着替えなどの荷物を取りに行き、
姫川亜弓を地下劇場へ案内したのだった。

「まあ素敵!理想的な環境だわ!」

この理想的=牢獄である。
素敵の意味がよくわからん。
そしてその牢獄にも似た地下に起居するというお嬢様の気まぐれに
梅乃ばあやも気が気ではない。

「じゃああとは稽古場で会いましょう。
 どちらが先に互いの役をつかむか・・・
 二人で競いましょう。あなたはライバルよ。」

「亜弓さん・・・・」

ライバルという言葉が気にかかりながらも、
車で姫川邸へ送られるマヤ。
梅乃ばあや、メイドさん三人、執事風男性二人に挨拶すると
慣れない暮らしを始めるのだった。

一方の姫川亜弓もスーパーにて買い物。
缶詰を買っているだけで衆目を集めるオーラ。

「牢獄の中閉じ込められて育った少女オリゲルド・・・
 オリゲルドの心・・・
 毎日何を思い何を考えていたのか・・・」

地下劇場の床に地べたで座り
缶詰とサンドイッチを食す。

夜になるとマヤは豪華なベッドで、
亜弓は舞台道具に囲まれた床で眠りにつくのだった。

 

翌朝。
マヤは梅乃ばあやに起こしてもらう。

「朝食はこちらへ運びましょうか?
 それとも下でなさいますか?」

慣れない扱いに戸惑うマヤ。
顔を洗い鏡に映る自分を見つめる。

「だめだ・・・
 まだあたしは北島マヤのままでいる・・・」

そしてほぼ同時刻、朝やのに光が差し込まない地下劇場は真っ暗。
目覚し時計のベルで目覚めた姫川亜弓

「うう・・・もう朝なのね・・・
 真っ暗でわからないわ・・・・
 体がかったるい・・・
 慣れないコンクリートの上で寝たものだから体が痛いわ・・・
 少し冷えたみたい・・・」

コンクリートの上で寝ることに慣れてる人はそこそこやばい。

そして鏡に映る自らを見る

「オリゲルド・・・・」

なんやそれ。早速つかんでもうたんかい。

 

そして日帝劇場。
マヤは稽古場にたどり着くと皆に挨拶し準備運動。
他の共演者やスタッフも自主トレや打ち合わせを行っている。
そしてそこに現れた姫川亜弓。

「おはようございます」

入ってきただけで稽古場の雰囲気が冷たくなる。

「どうしたのかしら亜弓さん、
 今日はずいぶん不愛想ねえ。」

「亜弓さん・・・どうしたんだろう?
 亜弓さんの態度変だわ・・・いつもと違う・・・」

そして15分休憩、共演者とコミュニケーションをとることもなく稽古場から出て行く。

「オリゲルドよ、わたしはオリゲルド・・・
 役をつかみ切るまでオリゲルドのように振舞ってみせる・・・
 そのように振る舞うことで一歩一歩その役に近づいて行く・・・
 ふりをすることで役の心を理解して行く方法もあるのよ。
 わたしの演技はもうすでに始まっているのよ・・・!」

さすが天才姫川亜弓。
労せず役の本質を掴んでしまう北島マヤへのアンチテーゼのように、
オリゲルドになり切ることからアプローチ。

地下劇場で一泊し、冷たく固いコンクリートの上で就寝しただけで
オリゲルドの役を見事につかみ、その空気を稽古場にまでもたらす。
もはや天才、あるいはただの疲労。

おそらく後者。

しかしその様子を見て焦るマヤ・・・

「どうしよう・・・あたしのアルディス・・・
 華麗な王女アルディス・・・」

不安なまま稽古に臨むマヤ。
そして二人の様子を見つめる月影先生であった。

 

ちゅうわけで今回。
互いの生活を取り替えた二人。
ただ贅沢をして体験セレブとなった北島マヤ。
そして演技ではなくただ疲労した姫川亜弓。
進んでいるようで何も進んでいない。

しかしこの提案、考えてみれば見るほど不思議である。
姫川亜弓からマヤに提案し、
そして地下劇場の話を聞いてそこに泊まる選択をした。

せめてもの救いはこの提案が姫川亜弓からのものであったことか。
マヤからの提案であったらそれはそれで無礼。

「私は華麗な王女の役をつかむためにあなたの生活を、
 あなたは私の生活を。」

そんなジャイアンのような提案だったら身もふたもない。

しかし地下劇場の話がなかったら、姫川亜弓はどこに寝泊まりするつもりだったのか?
「互いの生活を取り替える」のだから、姫川邸に留まるとは考えにくい。
麗と同じ部屋に寝泊まりするつもりであったのだろうか

そして「華麗な王女」の役をつかむために姫川邸、
「牢獄の王女」の役をつかむために地下劇場。
たしかに姫川邸での暮らしは、華麗な王女の暮らしに近いかもしれないが、
地下劇場で寝泊まり=牢獄、というのもおかしい。
というか失礼。

「牢獄体験したいから、あなたの環境を貸してくれ」

ということである。甚だ無礼。
さすが、親の七光りと言われるのが嫌で
家を出たかと思うと父親の別宅に住むという
謎の決意をしたことがあるだけに、
姫川亜弓、相変わらずずれとる。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第24巻・冬の星座(2)