【ネタバレ注意】ガラスの仮面第25巻その④【あたしには演技がある・・・!】

      2020/05/16

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月影先生から一週間後のテストを予告された二人。

マヤはとある教会を訪れていた。
訪問した先は北白川藤子さん。
かつてオペラでアルディスを演じて評判になった方で
紫野郎の陰謀により、のこのことレストランにやって来たあの方である。
今日は教会で聖歌隊に合唱の指導をされているとのことだ。

「歌劇と普通の劇の差はあるけれど
 優雅で気品のある美貌のアルディスという役柄は変わらないわ。
 上品で優しそうな人・・・
 どんなアルディスだったんだろう・・・?」

そんな理由でアポなしで訪問するという失礼なマヤ。
合唱の指導が終わった北白川先生はもちろん優しくマヤを出迎える。

「もうすぐ舞台の初日ね。どうお稽古の方は?」

「それがその・・・いまいち王女らしくなりきれなくて・・・
 あたしってもともと上品でもないし優雅でもないし
 それにちっとも美人じゃなくて全然自信がないんです。」

ちょっぴり北白川先生と同じ系統の素材であると思い込んでいる失礼なマヤ。

「あの・・・北白川さんがオペラでアルディスをやったとき
 とても優雅で気品のあるアルディスだったって聞きました・・・
 で・・・今日はとてもお会いしたくなって・・・」

やはり北白川先生を若干見下している感が否めない失礼なマヤ。
しかしそんな無礼なマヤに対し怒ることもなく
むしろ昔取った杵柄をいじってもらえてまんざらでもない様子。
挙げ句の果てには昔が蘇り突然あの頃のように歌い出すことになってしまった。
そういう意味ではマヤと似た性格なのかもしれない。

しかし位置についた北白川先生、振り返るとそこには先ほどの上品な中年女性ではなく、
少女のような表情でマヤの度肝を抜く。
そして圧倒的な声量と表情、歌唱力。

「すごい・・・
 さっきまでのおとなしいおばさんとは思えないわ
 この堂々とした貫禄、気迫、それに輝き・・・
 もう一人のアルディスがここにいる・・・」

拍手喝采のマヤ。
やはり通常時の北白川先生をナメている。
通常時は貫禄も気迫も輝きもないということか。

「どう?こんなおばあちゃんのアルディスをみて自信が湧いたでしょう?」

「いえ・・・そんな・・・」

「ねえマヤさん、あなた私を美人だとお思いになる?
 いいのよ正直におっしゃって。」

やはり気づいていたのか笑顔で核心に迫る北白川先生。

「あの・・・上品で素敵な方だと思ってます・・・
 でも、あの・・・その美人っていうのとは・・・すみません」

「まあ!謝ることはないわ。その通りですもの。」

いや謝れ。

「ですから私、舞台に立つ前がとても楽しかったの。」

メイクをし衣装を身にまとい、美人になっていく過程が楽しかったとのこと。
歌舞伎の女形は、メイクや衣装で女性になり、
女性以上に女性らしい仕草や振る舞いをする。

「役者の素顔が美しいかそうでないかなんて大きな問題ではないわ。
 要はどれだけうまく変身できるか役を演じられるか。
 忘れてはならないのは演技する心。
 自信を持ちなさいな。あなたには演技がある。そうでしょ?」

「はい・・・!」

マヤに自信を与えてくれる懐の深い北白川先生。
まさにアルディスの心の持ち主である。
さらにはアルディスの気品や優雅さを得るためには
心の教養を得ることが大事だと力説。
音楽を聴いたり絵を見たりして、ただ知識として身につけるのではなく、
美しいと感じる心で見て聴いて愛する。
その豊かな心がアルディスを作ったのだと。

早速姫川邸に帰り、姫川亜弓のレコードを再生する。
もちろん作曲者も曲名もわからないが
その美しさに心が躍ってくる。
合わせてアルディスのセリフを言ってみる。
プレゼントをもらったお礼を言うセリフでは
紫野郎への感謝の気持ちを思い出す。

「できる・・・演れるわ・・・
 感覚の再現・・・自分の感覚でアルディスが演れる・・・」

さんざん北白川大先輩を小馬鹿にしていたにも関わらず
ちゃっかりヒントとコツを伝授され自分のものにしたのであった。

 

一方の姫川亜弓。

「さてこれで用意ができたわ。
 頬のあざはメーキャップでうまくできたし
 これで姫川亜弓とは誰も思わないでしょう。」

うす汚れた服装に不気味な顔のあざ。
相変わらず形から入ることを忘れない。

不気味な出で立ちで街をゆく。
自然人々は怪しんで避ける。
ファーストフードでハンバーガーを買う。
店員も気味悪がる。
そのハンバーガーを、繁華街の路地裏でゴミ箱に腰掛け食する。
酔っ払い男性が声をかけるも、振り返ったその不気味な表情に逃げていく。

その変相技術は認めるが、一体どこに向かっているのか。
オリゲルドのキャラとはまた別路線なのだが。

そして極め付け。路地裏からやってきたのは可愛い子犬。
姫川亜弓の足にまとわりつく。どうやら腹をすかせているのか。
ハンバーガーをちぎって分け与えようとするも我に返るオリゲルド。
子犬に本気のローキック。

「あっちへおいき!
 お前にやるようなものは何もないよ!」

動物虐待。

「オリゲルド
 重く垂れ込めた灰色の空・・・雪と氷に閉ざされた心・・・
 誰も信じず誰も愛さず
 人を憎み世を恨んでいる・・・」

からの動物虐待。
姫川亜弓、相変わらず自分を追い込む方向性がおかしい。

 

あくる日、感覚の再現をものにしつつあるマヤ。
次から次へと美しいものを見て回る。
美術館で絵を見て回り、
化粧品売り場で香水を嗅いで回り、
貴金属売り場で宝石を凝視して怪しまれ、
花屋で花に囲まれる。

「このおだやかで幸福感にあふれた気持ち・・・
 アルディスのセリフ・・・」

はたから見たらただただオフを満喫しているだけである。

「演れるわ・・・これがアルディスの感覚・・・
 光り輝く美少女アルディス・・・演技で美少女になれる・・・!
 あたしには演技がある・・・!」

有意義なオフで、もはや役を掴んでしまう天才。

 

その頃姫川亜弓は繁華街の有名人に。
最近この界隈に出没する不気味なあざの女として。
酔っ払いが絡むとグラスの酒を顔面にぶちまけ、フォークで応戦。
店からつまみ出される。

するとあたりにはスケバン三人組が。

「あんた近頃よくこの辺りで見かけるわね。
 目立つもんねあんたって。
 それに見かけの割にすごい時計してるしさ。
 一体どこでちょろまかしてきたのさ。
 痛い目にあいたくなかったらそれをこっちへよこしな!」

「欲しけりゃそこに土下座して頼むのね」

逆上したスケバン、あゆみに殴りかかる。
しかしその腕を取るとそのままいなして壁に激突。
さすが姫川亜弓。合気道の嗜みでもあるのであろうか。
しかしながらしっかりと暴力である。

続けて攻撃してくる二人目。
交わすも服の袖が切られた。
昭和のスケバンの定番、カミソリを装備している。
しかし手にしたカバンで殴ると、
そこいらにあった瓶を叩き割り、
ガラスの凶器でスケバンたちを威嚇。
逃げていくスケバンたち。
しっかりと暴行未遂である。

「アルディスあなたは間違っているわ・・・
 憎しみこそが最も人間を強くするのよ。
 ありがとう!おかげで私は強くなれるわ。
 この世の誰よりも・・・」

間違っているのはアルディスでもオリゲルドでもなく
姫川亜弓である。

 

と言うわけで今回。
月影先生に与えられた一週間の過ごし方。

天才北島マヤと努力家姫川亜弓の違いでもあるが、
やっぱりこいつらイかれてる。

北白川さんを心の底でさえないおばさんと思いながらも取り入り、
アルディスのコツときっかけを伝授、あとは優雅な日常を送るだけでアルディスの役を掴む。
姫川亜弓の努力が虚しくなるほどの天才である。

そして姫川亜弓の努力の、間違った方向性。
野心に満ちた孤独な心、それはあってます。
しかし不気味な出で立ちに変装し、
街の鼻つまみものに成り下がり、
挙げ句の果てに動物虐待と喧嘩上等。
立派に反社会行為である。
梅乃ばあやが見たら卒倒したであろう。

二人の紅天女候補はやはりイかれている。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第25巻・冬の星座(3)