【ネタバレ注意】ガラスの仮面第26巻その①【君は一体誰なんだ?】

      2020/06/06

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極寒の演技で客席を凍りつかせた姫川亜弓。
かつて月影先生に「演技に気温がない」と酷評されるも見事乗り越え、
観客たちを凍えさせる。

そして照明が明るくなると今度はマヤ演じるアルディス登場。

「ラストニア・・・わたしの国・・・
 一年の半分は雪と氷に閉ざされた冬将軍の治めるこの国・・・
 わたしは王女アルディス・・・」

観客の男性陣をメロメロにするマヤ。
かつての速水真澄や桜小路優の姿に重なるものがある。

「不思議だ・・・先ほどまでの冷気が消えた・・・
 かわりに春の暖かさを感じる・・・
 なぜだ?あの子の周りに春の日差しが見える・・・
 春の暖かさが漂う・・・マヤ・・!」

俺との賭けに勝て!とかいっていた紫野郎は
さっそく賭けに負けたようである。

そしてふたたび姫川亜弓のターン。
オリゲルドはばあやとともに、極寒の牢獄で暮らしている。
そんなオリゲルドに修道院行きを勧めるばあや。
しかしオリゲルドは承諾しない。
修道院に入ることはラストニア国第一王女の座を手放すことなのだ。

そんな牢獄に来客が。
ビョルソン男爵。家庭教師と神父以外、ただ一人牢獄で面会できる
国王の信頼の厚い男である。
彼によるとラストニアと敵対関係にある隣国のエリンワルドが
大国デンマークと同盟を結んだとのことである。

「おかわいそうなオリゲルドさま。
 父であるラストニア国王からこんな酷い仕打ちをされて・・・」

ビョルソンに背を向けしばし沈黙すると白眼になるオリゲルド。

「あんな男は父と思ってはいません。」

「わかっております。ですからオリゲルド様に我ら反国王派の頭となっていただきたいのです。
 幸い国王陛下はわたしを信頼しております。
 反国王派の組織のリーダーの一人とは気づいてもいますまい」

「いよいよ時が来たというわけね。時が・・・」

往年の橋本真也のようなことをいうと
ゾフィーばあやに修道院へ入るための支度をするよう指示。
渡りに船とばかりに支度に走るゾフィーばあや。

オリゲルドが牢獄から出られるのは修道院へ入るときのみ。
その道中で反国王派と落ち合い、リーダーの1人ホルム伯爵の別宅へと行く段取りだ。
そしてかつてオーギュスト伯を中心とした反乱軍の残党は赤ユリ党を名乗り、
オリゲルドを迎えてラストニアを改革しようというのであった。

「いよいよここをでるのでございますね、姫様」

「そうよ。でも修道女になるためじゃないわ。
 そして赤ユリ党の頭になるためでもないわ・・・」

胸に野望を秘めたオリゲルドの演技。
姫川亜弓のソーシャルイメージとは異なる凄まじさとは裏腹に
観客たちは惹きつけられていくのであった。

その頃、オリゲルドが修道院へ入る決心をしたと聞いた国王。
オリゲルドを白の監獄に入れ八年もあっていなかったことを後悔。
それをたしなめる王妃ラグネイド、
そしてその話を聞いたアルディス。
自身に牢獄でくらす姉がいるとの噂が本当であることを確信したのだ。

囚人番号04・オリゲルド=ヴェルハーレンが釈放された。
ヴェルハーレンは亡きカタジーナ王妃の実家の名前である。

ビョルソン男爵がオリゲルドを待っているとそこには国王の兵が。

「はやく!あの男です。ビョルソン男爵は反国王派のリーダーの一人です!
 ホルム伯爵の別邸が赤ユリ党の隠れ家になっています!」

「裏切るのですか?オリゲルド様!」

「わたしは裏切ってなどいないわ。
 わたしは国王陛下の娘なのよ。
 初めからあなた方反国王派とは敵同士ではありませんか。」

逆上し斬りつけるビョルソン男爵。
しかし刀を抜いたオリゲルドに刺される。

「男爵・・・あなたは甘すぎたわ。
 容易に人を信じるものではないことよ
 わたしは誰も信じない・・・誰も愛さない・・・
 わたしの野望への旅は今始まったばかり・・・
 いつかきっと王座に登ってみせる・・・!」

その冷たい演技は観客を恐怖させ、
そして共演者たちもその行く末がわからなくなるのであった。
ざわつく舞台袖。
しかしマヤの心は凪いだ海のように平穏であった。

「やはり亜弓さんはすばらしい・・・・
 すばらしいオリゲルドだわ・・・
 あの人がこの舞台の中心になってしまってもおかしくない
 今まであの人に負けないように演技しなきゃって思ってた・・・
 でも今そんなことどうでもいい。
 わたしはアルディス・・・王女アルディス・・・
 この舞台の上だけでアルディスとして生きられる・・・
 普通の人がたった一つの人生しか生きられないのに比べ
 あたしは千も万もの人生を生きられる・・・」

オリゲルドの忠誠により赤ユリ党は壊滅。
母親を処刑され、八年も監獄に閉じ込められたにも関わらず
国王そして父への忠誠と愛情を持ち続けたオリゲルドには称賛の声が。
国王もその気持ちに心打たれ、
修道院ではなくキルゲ将軍のもとへ引き取らせたのであった。
公の場には出ておらず、王妃ラグネイドとその実家ゴッドフリード家に遠慮してはいるものの
8年前の事件の裏にある陰謀を噂するのであった。
そしてそんな大人の事情も知らないアルディス。
義姉のことを聞いて回るも誰もが口をつぐむ。
そしてまだ見ぬ義姉を思い、プレゼントを画策する。

ラストニアをめぐる情勢は風雲急を告げている。
隣国エリンワルドがデンマークと同盟を結んだ以上、
軍事的劣勢に立たされ、エリンワルドとの和平案すら上がっていた。
そんな中アルディスの美貌と優しさと明るさは皆を癒し、
そして観客の男性陣を魅了していく。
デレデレになった男性客を意味ありげな表情で見つめる桜小路くん。
かつての自分を見ているのであろうか。

「チビちゃん・・・
 君は一体誰なんだ?
 ときたま役者を観ているのだということを俺は忘れる・・・
 全く別の人間がそこで演技ではなく動いているという気になる・・・」

完全に賭けに負けた紫野郎。
なんかそれっぽいことをかっこよく言うてはいるが、
要約すれば「マヤは演技超うまい」である。
大したことは言うてない。

「真澄さま・・・!」

そんな若社長を見つめる水城さん。
若社長、演劇関係のプロ中のプロであり、
役者や芝居を数多く観ているにもかかわらずこの感想。
そら心配になる。

 

というわけで今回。
ストーリーの描写に大半を費やしてしまいました。
というかなかなか重厚で興味深いストーリーです。
ガラスの仮面において、ここまで克明にあらすじやセリフが描写されている芝居は他にはないであろう。

どれもだいたい、途中はしょったり、マヤの美味しいところや目立つところだけを
ダイジェストでお送りしているようなパターンですが、
「二人の王女」ではかなり二人のキャラクターやバックにあるストーリーを説明しています。

またこの「二人の王女」編ですが、22巻の途中からオーディションが始まり、
二次に渡るオーディション。二人の奇妙な生活や月影先生の特訓を経て、
24巻にて開幕、この25巻はまるまるお芝居の描写。

ここまで紙数を費やすのは、同じく二人が出演した「奇跡の人」以来、いやそれ以上です。

北島マヤと姫川亜弓の二人主役の芝居だけに気合が入っているのか、
あるいは二人の演技のすごさを描写するためには
そのキャラクターや背景をしっかりと説明しないことには
ストーリーとして伝わりにくかったのであろうか。

それに答えて二人の王女はそれぞれの持ち味を発揮し、観客を魅了します。
それにひきかえ、レギュラーメンバー、代わり映えなすぎや。
小野寺先生、またしてもマヤに敗北決定。
桜小路君は相変わらず、マヤを好きになりそうな男のチェックに忙しく、
水城さんは若社長をみて複雑な表情。
そして若社長、期待以上に芝居を堪能。
プロの演劇関係者とは思えないほどにお芝居を見て感動中である。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第26巻・冬の星座(4)