【ネタバレ注意】ガラスの仮面第26巻その⑥【光の王女・・・】

      2020/07/18

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一人の男が地下牢につながれている。
壁の鎖に両手をつながれ、目隠しをされている。

「ディーン、起きろディーン」

「誰だお前は!
 顔が見えん何者だ?
 お前か?俺をこの牢に連れてきたのは?」

「そのとおりだ。赤ユリ党の党首ディーン。」

覆面とマントに正体を隠した男は、赤ユリ党の味方であるという。
そしてバラバラになった仲間を呼び戻し、
かつてのように赤ユリ党を結成するため力を貸して欲しい。
資金は出すから、ラストニア王家と政権を倒す手助けをしろとのことである。

「いったい何者だ!名乗るまでひきうけんぞ」

「かつてラストニア国を追われた者だ・・・
 罪もない前の王妃には気の毒なことをした・・・」

「オーギュスト伯か・・・・?
 ラストニアのかつての反乱軍の首謀者と噂の・・・
 行方不明だと聞いていたが生きていたのか・・・?」

解放されたディーン、馬と金、そして一人の仲間をあてがわれ、
オーギュスト伯を手助けするべくさっていったのであった。

「これでよろしゅうございましたか?オリゲルド様」

「ええ、グリエル大臣。
 これであの男思う存分ラストニアで暴れてくれることでしょう。
 我々の後ろ盾とも知らず・・・」

オリゲルド、かつて自らが牢獄になるために利用し壊滅させた赤ユリ党を、
今度はラストニアを揺さぶるため、支援するのであった。
そしてグリエル大臣を腹心に、野望を遂行しようとする。

「グリエル大臣・・・大変なタヌキだわ。
 この男は信用できない。気を許してはならないわ。
 そうよオリゲルド、誰を信じてもならない・・・
 誰を愛してもならない・・・どんなことがあっても・・・
 この世に信じるものなど誰もいやしない・・・
 なくてもいい、なまじ人を信じるとこの身が危ない・・・」

自らに言い聞かせるオリゲルド、何かを思い出す。

「アルディス・・・
 何があっても私を信じるといった義妹アルディス・・・・
 どうしてだろう、今あの子を思い出した・・・
 今にその言葉を後悔するときが来るわ・・・アルディス・・・」

誰も信じないと言いながら淋しそうな表情を見せるオリゲルド。
その芝居に復讐と野望に満ちたオリゲルドに対し、
観客も共演者も惹きつけられていくのであった。

 

その頃ラストニア。
ユリジェスに連れられて街に出たアルディス、
ラストニアの現実を目の当たりにし、城に戻ると
戦う決意をしたのであった。

「わたしにあるには人を愛する心と信じる心・・・
 そして微笑みだけ・・・私の武器はそれだけ
 戦をやめさせ国民の心を取り戻すために戦わなければ
 北の離宮へ!おばあさまの所へ行きます!支度を!」

芝居を通り越してマヤの胸の中には熱い想いがこみ上げて来る。
その情熱は観客にも共演者にも伝わり、
芝居ではない本物として、心を打つのであった。

でもなんかおかしい。
「復讐と野望」を常に自身に言い聞かせてきたオリゲルドが
人を信じないというのは理解ができる。
しかし性善説である意味御花畑で生きてきたアルディスが、
私の武器が「愛する心と信じる心と微笑みだけ」と把握するのがなんとも唐突すぎる。
ラストニアの惨状を目の当たりにし、使命感に目覚めたのかもしれない。
しかしこれまでのお子様だったアルディスが、
いきなり客観的に自身の性格を分析していることに違和感を覚える。
もちろんこれはマヤの演技ではなく、脚本の落ち度であるのだが。

そして突然使命感に目覚めたアルディス、
北の離宮の皇太后ハルドラの元を訪れた。

「この北の離宮を戦争で傷を負った者のために
 病院として貸してほしいというのですか?アルディス」

「はい・・・おばあさま
 ・・・いいえ皇太后陛下」

急に大人になったアルディス、皇太后の敬称すらマスター。

  • この度の長引く戦いのために国民は重税を課せられ街には失業者が溢れ盗人が昼間から横行しております。
  • 戦で傷を負った者全てを収容するには病院は小さすぎ
  • また負傷者たちは入院する費用すらないと聞きます・・・
  • 私は知りませんでした。このラストニアが今こんなにもすさんでいたなんて・・・
  • 一日も早くハーランドとの戦をやめなければ
  • 今は何よりも国民の心を取り戻すことが大切
  • 国民が苦しんでいるのを王家の一員として黙って見ているわけにはいきません。

アルディスの願いを聞いた皇太后、いきなり自分語りを始める。
皇太后の目が見えなくなり足が不自由になったのは
10年前オリゲルドの母、先の王妃カタジーナの無実を晴らそうとして暴漢に襲われたものだそうな。
王宮の権力争いや陰謀が嫌になり、
それ以来この北の離宮にひきこもり、王家や政治から離れ余生を送るつもりでいたとのこと。

「そなたは王家の娘なのですね・・・
 そなたの言葉を聞いて私も自分の体を流れる血がなんなのか思い出しました・・・」

さすが月影先生、威厳ある皇太后から国多もう一人の王族、そして優しい祖母の芝居。

「戦はそう簡単に終わらせることはできないでしょう
 けれどアルディス・・・そなたならこの国の光になれるかもしれない・・・
 希望と励ましと生命を育む春の光・・・
 国民にとってそなたはいつも春の光であっておくれ・・・
 光の王女として生きておくれ」

「光の王女・・・」

「私は城へ戻りましょう。この北の離宮をそなたに貸しましょう。」

アルディスの熱意は皇太后を動かし
由緒ある北の離宮を平民たちの病院にすることに成功したのだ。
そして今度は病床の父王に願い、
王家の財産を医療費に寄付するよう頼む。
愛娘アルディスの願いと、母である皇太后ハルドラの後押しもあり、
国王は寄付を実行。
すると貴族たちも王家の機嫌をとるために競って寄付を申し出たのであった。

アルディスの情熱が国を動かし、
国民の信頼を取り戻そうとしていたのであった。
その報告がエリンワルドのオリゲルドの耳に入る。

「北の離宮を負傷兵のための病院に・・・?
 王や貴族たちがそのための寄付を・・・
 信じられない、まずいことになったわ・・・」

しばし黙り込むオリゲルド。その絶妙な間合いで観客を注目させる。

「そうだわ!
 この状況をうまく利用する手がある・・・・」

高笑いのオリゲルド。
その凄みに観客は恐怖すら覚えるのであった。

 

というわけで今回。
先ほど述べたように、アルディスがいきなり成長して違和感あり。
そして皇太后もいきなり優しくなって違和感あり。
前者は脚本に由来するものかもしれないが、
後者は月影先生の芝居に由来するものであろう。

あれだけマヤと亜弓の芝居をこきおろし
その人物の役どころの背景にあるものをつかませるべく
鬼のしごきを見舞ったにも関わらず、自分の芝居は????
大女優久々の復活だけに、感覚が鈍ってしまったのであろうか。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第26巻・冬の星座(4)