【ネタバレ注意】ガラスの仮面第27巻その①【必要なのは力よ・・・】

      2020/08/23

Pocket

「ええ!?ラストニアとハーランドが停戦!?
 和平を結びそうだと!?」

使者の報告を受けておったまげたオリゲルド。
ハーランドはラストニアの要求を受け、
鉱山権利の調整が済めば和平調印の運びとのこと。

アルディスは敵国ハーランドに乗り込み、
ハーランド王家と貴族たちの心をすっかり掴んでしまった様子。

自らが殺されるあるいは人質となる危険を知りながらも
神の御心に従い平和を訴えるアルディス。
愛と微笑み外交、大成功である。
そしてお付きのユリジェスも、アルディスをただの世間知らずと思っていたが
その愛と優しさに触れすっかり改心してしまった。

「アルディス・・・
 愛で国が治められると思っているの?
 必要なのは力よ・・・・
 人々は平和より富を欲しているのよ!
 権力を欲しているのよ・・・!
 アルディス!今その証を見せてあげる・・・!」

治まらないオリゲルドは一石二鳥の策を打つ。
エリンワルドがラストニアに援軍を申し出たのだった。
ラストニアとエリンワルドは婚姻関係とはいえかつての敵国。
オリゲルドが義父国王に頼み、ラストニアを救うべく援軍を動かしたと
貴族や国民たちのオリゲルド評はうなぎのぼり。

そしてエリンワルドの後ろ盾を得たラストニア、
和平調印を前にハーランドを滅ぼしたのだった。

ラストニアとハーランドの和平をぶち壊し、
自らの力をラストニアに示すことに成功。
そして何よりもアルディスの悲願を打ち砕いたのだった。

ハーランドの国王一家は処刑。たまらんのはアルディス。
「和平のふりをしてだまし討ち」の片棒を担がされたも同然。
「私も死にたい・・・!」と泣き叫ぶ。

あれ、戦争を続けさせるのが目的なのに
ラストニアの勝利で戦争終わってもうたやん。
そんなツッコミも受け付けないほどに、オリゲルドは次の策を打つ。

 

ラストニアの後継者・ヨハン王子が狩に出た際に暗殺された。
現場にはハーランド王家の矢が残されており、ハーランドの残党による犯行と断定。

悲しみにくれるアルディス。
そして焦っているのはゴッドフリード伯。
かつてオリゲルドの母・王妃カタジーナを陰謀で葬った男である。
ゴッドフリードの血を引く第一王位継承者・ヨハン王子が死に、
第二王位継承者はエリンワルドのオリゲルド。
オリゲルドがラストニアを継いだら、ゴッドフリード家の没落は間違いなし。
なんとかアルディスを王位を継げるべく画策するのであった。

しかし国内ではエリンワルドにあるオリゲルドの声望が高く、
そしてその中ラストニア国王は重病に。
ゴッドフリードは同志を募り、密かにオリゲルド暗殺計画を立てる。

 

「ラストニア国第一王女オリゲルド、ただいまもどりました。」

父王の見舞いのため、エリンワルドより帰ってきたオリゲルド。
野望と復讐で白目に、体からは妖気を発し、笑い声は「クックッ
もはやなんらかの妖怪である。
そんなオリゲルドの気品と風格を褒め称える貴族たち。
ラストニアの体たらくは、この無能貴族どもの落ち度も大きいと言える。

ゴッドフリード伯はこのタイミングでオリゲルドを暗殺する予定であったが
なかなかスキを見せない。
そんな最中に、国王が崩御したのであった。
オリゲルドを呼び寄せ、暗殺しようとするゴッドフリード伯。

父の亡骸に対面したオリゲルド。
ほくそ笑むゴッドフリード伯。
そしてバラバラと現れた抜刀した男たち。

「陛下、この度は王位を賜りありがとう存じます。」

「負け惜しみもそれまでだな。オリゲルドどの。
 そなたはここで死ぬのだ!
 健康を回復した陛下に毒を守ろうとしてそれを見つかり、
 陛下のお付きに剣で成敗されるのだ。
 その騒ぎで陛下はにわかに容体が悪化。
 発作を起こされてお亡くなりになるという筋書きだ。」

「ゴッドフリード伯
 せっかくの狂言、上演できずにもったいのうございますわ。」

「なに!?」

その刹那、王宮に鳴り響く鐘の轟音、弔いの鐘であった。

「国王が崩御されたぞ!」
「国王が亡くなられた!」
「陛下がお亡くなりになったぞ!」

「なんだ・・・!一体だれがこんなことを・・!」

「国王の死を知っているもののうちの誰かが外部へ漏らしたのでしょう。」

「男爵・・・裏切っていたのか!」

オリゲルドの背後に立つ男爵と呼ばれたおっさん。誰やねん。

「先ほどの狂言、筋書きが変わってきたようですわね。
 新しい筋書きを説明いたしましょうか?
 ラストニア国乗っ取りの陰謀を企む悪大臣は
 国王陛下の死を隠し、
 隣国の妃殿下でもある第一王位継承者次期女王の暗殺を謀ったが
 計画が漏れていたとも知らず失敗。」

「なんだと!?」

そこになだれ込むオリゲルドの護衛。
ラストニアの衛兵を蹴散らし、ゴッドフリード一味を包囲する。

「そして次期女王に味方する貴族たちは皆、兵を差し出し忠誠を誓ったのです。
 兵は悪大臣の部下や彼の息のかかった城の軍を抑えてしまいました。
 どう?素晴らしい筋書きでしょう?」

そしてエリンワルド軍が到着したとの報告。

「どうやら勝負は終わったようね伯爵。
 国王亡き後私がこの国の女王です。
 その女王を暗殺しようとしたからにはタダではすみませんよ。
 ゴッドフリード伯、それにラグネイド様。」

返す言葉もない一味のもの。

「ラストニア国女王に対し暗殺の陰謀を企んだものを根こそぎ捕えておしまい!
 一族の者すべて一人残らず!」

オリゲルドの迫力に圧倒される観客。

「陛下・・・
 毒がよく効いたと見える・・
 時間がかかったわね。」

凍りつく客席。

 

「ええ!?お父様がお亡くなりになった?
 お祖父様にお母様がオリゲルドお義姉様暗殺のかどで逮捕・・・!」

「一緒に来ていただきますよアルディス様」

そしてアルディスはかつてオリゲルドが捕らえられていた「白の監獄」へ収監されたのであった。
極寒の監獄の中、祖父と母の無事を祈るアルディス。

その切ない表情に心打たれる観客。
息を飲むつきかげと一角獣の面々。

「マヤ・・・」

大したこと言わない速水真澄。

小野寺先生は相変わらず冷や汗。
マヤの一発逆転を何回も食らっている人である。

「マヤちゃん・・・」

説明不要の自動音声。

 

ちゅうわけで今回。
手に汗握る王宮サスペンス、
かつて陰謀を用いたゴッドフリード伯は陰謀によって陥れられ、
国王は暗殺、アルディスは収監され、オリゲルドがラストニアを支配。

今回際立つのはラストニアという国の惨状である。
国王は愚鈍、王家周辺は姻戚含めて権力闘争と陰謀、
貴族は無能で事なかれ主義。
国は乱れ、民が疲弊するのも無理はないと言える。

そういった意味では、愚鈍なラストニア国王や、
野心満々のゴッドフリード伯、グリエル大臣、名もなき貴族など、
主役二人を支える役者陣の名演が光っているとも言える。
脇役端役に至るまでなかなかの実力者ぞろい。

芝居やセリフの一つ一つも外連味たっぷりでとても良い。
これでオリゲルドが殺陣でも始めたら悪い暴れん坊将軍である。
さすが天下の日帝劇場である。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第27巻・冬の星座(5)