【ネタバレ注意】ガラスの仮面第27巻その②【その時のあなたの笑顔はどんなものか・・・】

      2020/08/31

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白の監獄に収監されたアルディス。
侍女だったビエナがアルディスの世話係として牢に伴う。
再会し抱き合って喜ぶ二人。しかしアルディスの生活は一変した。

  • 召使いは一人
  • 週に二度は家庭教師をよこす
  • 週に一度は神父が来る
  • 食事は日に二度
  • 散歩は日に一度、中庭と塔の上を歩くだけ。

様変わりした主人の暮らしに涙にくれるビエナ。
しかしそんなビエナを気遣い、そして希望を捨てずにと前を向くアルディス。

「看守!そなたたちの名はなんというのですか?」
「モズリにグズリであります」
「ここにいる間は世話をかけますがよろしく頼みます。」

王女が自分たちの名前を聞き、
しかもよろしく頼むと声をかけられたことに感激する看守たちであった。

 

ラストニア国王葬儀の日。
アルディスは参列も許されず、牢獄の中喪服を与えられただけであった。
獄中より父への祈りを捧げるアルディスの姿に劇場が涙ぐむ。

葬儀は全てオリゲルドがとりしきり、
国内外へ実力者であることをアピールするのだった。
100日間の喪に服した後、いよいよ戴冠式を行う予定である。

「親愛なるオリゲルドお義姉様。
 喪服を届けてくださってありがとうございます。
 お父様の葬儀はいかがでしたでしょうか?
 死に顔が安らかであったことを祈ります。
 謀反の件についての裁判はいかがなのでしょうか?
 お祖父様やお母様がお義姉様にしたこと、
 おいかりはごもっともですが何卒お慈悲を持って命ばかりはお救いください。
 神かけてアルディスはお義姉様に背く気持ちは持っておりません。
 私の愛と誠意をわかっていただくことだけが、今の私の願いです。」

獄中の暗闇でアルディスが義姉への手紙をつづる。
すると突然スポットライトが灯され、白目向いたオリゲルド登場。
アルディスからの手紙を握りつぶす。
観客驚く。芝居とかやなくてお化け屋敷的な驚きも盛り込んだ演出。

「無視し続けられる苦しみというものもあるのよ、アルディス・・・」

自らが受けた苦しみの別パターンを用意し復讐。
もはやお義姉様やなくてお姐様に思えて来た。

 

アルディスがオリゲルドに手紙を送ってから返事はない。
取り乱すビエナ。たしなめるアルディス。

「来る日も来る日も見えるのは鉄格子の向こうの同じ景色ばかり。
 気が変になりそうですわ。
 あいすみません、お辛いのはお姫様の方なのに。」

常人のメンタルでは我慢の限界である。

「なんでしょう今日はカラスがあのように騒いで・・・
 街の上の方で群れになっておりますわ・・・」

すると鉄扉が開かれた音が。
現れたのは衛兵たちを従えたオリゲルド。

「オリゲルドお義姉様!」

無言&白目のオリゲルド。

「立場の入れ替わったアルディスとオリゲルド・・・」
「いったいどんな演技をやろうってんだマヤも亜弓さんも・・・」

芝居の行方が気になる青木麗と堀田団長。
もはや劇場で本番中にただの私語を言っている人たちである。

「マヤ・・・!」

こちらは冷や汗を流しながら心の私語を発する速水真澄。
この人は結構芝居に没頭するタイプである。

 

「やっぱりきてくださったのねお義姉さま!」

笑顔で駆け寄ろうとするアルディス、しかし衛兵に取り押さえられる。

「アルディス姫
 ラストニア国第一王女にして、エリンワルド国アシオ王子妃殿下
 オリゲルド様暗殺未遂および新ラストニア国女王陛下に対する
 謀反の容疑によりこれより取り調べを行う!」

「なんですって!
 し、知りません!わたしは何も!
 お義姉様を亡き者にしようなど考えたこともありません!」

「だがそなたの祖父ゴッドフリード伯とその息子ハンス、
 そなたの母王妃ラグネイドの三人が暗殺計画の首謀者なのだ。
 誓約書に署名した仲間の12人の貴族はすでに自白。
 その目的はアルディス姫を女王の座につけること。
 当事者であるそなたがこの計画を知らぬわけはあるまい!
 素直に白状して改心すればオリゲルド様もお慈悲を示してくださるだろう!」

「嘘ではありません。わたしは何も知りません!
 お義姉様・・・まさかわたしがそんなことをするとお考えではないでしょう?
 お義姉様を裏切るなど・・・」

「・・・・
 かつて私の母もそうやって必死に無実を訴えたわ。
 でも誰も耳を貸さなかった。
 そうして仕組まれた罠に落とされたのよ・・・」

「オリゲルドお義姉様・・・」

「アルディス・・・わたしの義妹・・・
 半分だけ血の繋がった義妹・・・
 春の女神のように美しく・・・・
 誰からも愛される義妹・・・アルディス・・・
 誰にも優しくて天使の微笑みを持つ義妹・・・」

アルディスを前に立ち止まったオリゲルド。
しかし白目化するとアルディスの胸ぐらを掴み、
胸元のペンダントを引きちぎった。

「囚人にこんなものは似つかわしくないわ」

「亜弓さん・・・本物の憎悪を感じるぜこりゃぁ」
相変わらず解説ではなくてただの感想の私語をのべる青木麗。

「さ!本当のことをおっしゃい!
 言えば処刑は免れさせてあげるわ!」

口々にアルディスを質問攻めにし追い詰めるオリゲルド。
当然何も知らないの一点張りのアルディス。
オリゲルドに慈悲を求める。

「慈悲・・・?
 牢の中にいた私に慈悲をかけてくれる者など
 一人もいやしなかったわ・・・
 残念だわアルディス。あなたなら本当のことを言ってくれるかと思ったのに。」

牢を後にしようと階段を登るオリゲルド。

「お義姉様を愛しています!
 お願いです!お祖父様やお母様たちにお慈悲を!」

「それは無理よアルディス。
 彼らはラストニア国の女王陛下を暗殺しようとしたのですもの。
 裁判では有罪。二人は今朝処刑されました。」

「処刑・・・」

ここでアルディスの背後に処刑シーンが再現されるというお化け屋敷演出。
断頭台に登った王妃ラグネイドとゴッドフリード伯は斬首、
見せしめとして死体は街の広場にさらされたのであった。

絶望し、泣き崩れるアルディスであった。

 

「何も知らなかった・・・
 それが正しい答えね。あの天使は・・・」

牢を後にしたオリゲルド。
アルディス姫の今後を腹心と話し合う。
なんせ形ばかりの裁判、証拠をでっち上げることも可能。

「アルディスはまだ処刑にはしないわ。
 姉が時期王位継承者である姫を処刑したのでは他国への対面が悪い。
 かといって自由にさせたのではあの子を利用するものが出てこないとも限らない・・・」

政治的・外交的側面からアルディスの処刑を保留したオリゲルド。
しかしそれだけではない。

「アルディス・・・
 今まで私が暮らした牢の中で今度はあなたが暮らすのよ!
 来る日も来る日も壁だけを見て、あてのない吉報を待ち、
 窓の向こうを季節が通り過ぎていくのを黙って見送るだけの日々・・・
 人恋しさと不安と苦しみで人の心は醜く曇るわ!
 アルディス・・・春の女神のような義妹・・・
 その時のあなたの笑顔はどんなものか・・・私は見て見たい・・・!」

 

というわけで今回。
オリゲルドの復讐は第一段階完了である。
かつて母を無実の罪で処刑し、自身を監獄へと追いやった
王妃ラグネイドとゴッドフリード伯を罠にはめ処刑することに成功。
まあこの二人については因果応報、残念でもなければ当然、とも言える。

しかしアルディスに対しての刑がすさまじい。
簡単に処刑せず、春の女神のような清らかな心と笑顔を持ったアルディスを
自身がかつて過ごした監獄に押し込めることによって
その心と笑顔がすさんでいくのを見るという
究極の仕返しである。
その憎悪に仰天する観客。

「本物の憎悪」と表現した麗の感想もあながち間違っていない。
なぜなら「本当の憎悪」である。

優しく美しく誰からも愛されるアルディスに対して
オリゲルドは嫉妬し憎悪を抱いている。

同じように、何の苦もなく芝居の本質を捉え(亜弓目線で)、
稽古ではグダグダのくせに、本番では150%の出来で芝居をし、
観客や関係者の評価をかっさらってしまうマヤに対して
姫川亜弓は嫉妬し憎悪を抱いている。

マヤに対する本物の憎悪を利用し、この場面で表現したのである。
オリゲルドお姐様、おそるべし。
そう言った意味でも、このキャスティング、秀逸である。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第27巻・冬の星座(5)