【ネタバレ注意】ガラスの仮面第28巻その③【君を誘い出したわけは・・・】

   

Pocket

夕暮れ、文化会館を出た二人。

「信じられないわ。あれだけの星がこの空にあるなんて。」

「本当は今も満天の星が輝いている。
 スモッグや地上の灯りで見えないだけだ。」

真顔で沈黙する速水真澄。
赤面するマヤ。
なんやねんそれ。

「さてと夕食までにはまだ時間がある。
 どこか君の行きたいところがあれば。」

「速水さんのお好きなところへ!
 約束だからおともします。」

脅迫の元締結した契約は無効にもかかわらず
きっちり約束を守ろうとするマヤ。

二人が向かったのは神社。
大勢の人で賑わっている。

「毎月この日はこの神社のお祭りなんだ」

なんだかよくわからんが、可愛い飾り物を買ってくれる速水真澄。

「すっかり忘れていたな縁日なんて。
 子供の頃はよくきたのに。
 どうした不思議そうな顔をして。」

「いえ・・・速水さんに子供の頃があったなんて想像できなくて。
 どんな子供だったんですか?」

「当ててみろ。」

「ひねくれて意地悪で冷淡で
 強引でいじめっこのガキ大将。」

「ははははは
 素直で真面目だったよ。
 ガキ大将というのはあたっているがな。」

「へー、じゃ途中で変わったんですか?」

意地悪そうに笑うマヤ。

「そうだ。」

真顔で過去をリフレインする速水真澄。

  • まわりの人間に甘い顔は見せるな
  • 笑顔で近づいて来る人間は疑ってかかれ
  • お前はわしの息子として命を狙われるかもしれんのだぞ!
  • 誰かが助けてくれると思うな
  • 自分の命は自分で守るんだ
  • 牙はいつでもといでおけ!

義父に説教される少年時代。
口から血を流しているが折檻を受けたのだろうか。

「疑い深くて冷淡で計算高くて野心家で・・・
 牙を持たなければ生きていけなかった。」

そのわりには隙だらけで、水城秘書に散々いじられているのはもはや定説。

 

そんなおり、神社の人混みで迷子になった幼児が母を探して泣いている。

「迷子になったのね。
 この人混みじゃ探すのは難しいわね。」

「どれどれ」

いきなり幼児を肩車する速水真澄。
長身の速水真澄が大泣きする幼児を頭上に担ぐ。
目立つ目立つ。
見ようによっては、なんらかの犯罪の現行犯である。

「そら!もっとしっかりママの名を呼べよ!」

幸いにも母親は見つかり、
疑われることなく感謝までされて無事幼児は帰っていった。

「速水さん・・・
 大都芸能の冷血漢・・・
 あたし・・・ときどきあなたがわからなくなります。
 もしかしたら本当はとても温かい人なんじゃないかって
 あたし・・・ときどき自分がわからなくなります。」

マヤは手にしていた、ストローの先に紙袋がくるくるなってる
ピーヒョロロ(名前知らん)を吹く。
すると突然、マヤの手からピーヒョロロを奪うと
真顔で吹く速水真澄。
たしかにいきなりピーヒョロロ吹き始めるおっさんはわけわからん。

「速水さん・・・
 今日あたしを誘ったのはなぜですか?」

 

 

「地上も満天の星だ。」

高層階のレストラン窓際に座る二人。
食後だろうか。

「どうしたさっきから黙りこくって。
 俺と一緒ではつまらないか?」

「いえ・・・」

しかし、尋常ではないのは速水真澄の心中であった。

  • 俺は一体今何をしようとしているのだ真澄
  • 俺より11も年下のこの少女に
  • しかも誰よりも俺を憎んでいるはずのこの少女に・・・
  • どうしたことだ仕事ではやり手と言われているこの俺が赤ん坊のようになにもできずにいるとは・・・
  • それどころかおそれている・・・
  • この少女の反応を・・・はっきりとした拒絶を・・・
  • たった一言真実を口にすれば済むことなのに・・・
  • なぜこんなに苦しい・・・・

字面だけ見ると、変質者の告白である。
本当に仕事ではやり手と言われているのかすら疑わしくなる。

  • 速水さん教えてください
  • 時折あなたの眼に宿る優しい光は何ですか?
  • あたしを見る眼のその淋しそうな陰は何ですか?
  • あなたの心を教えてください・・・!

一方のマヤの問いかけも、前述の変質者の告白と照らし合わせると
眼の優しさや淋しい陰も変質的に思えて来る。

「今日・・・君を誘い出したわけは・・・」

ためらう速水真澄、黙り込むマヤ

「速水様お電話です。至急とのことです。」

レストランスタッフに呼ばれ電話に出る速水真澄。
携帯のない時代。レストラン宛に会社から電話がかかったのか。

「はい速水です。
 なに!?月影先生が行方不明?」

「なんですって?先生が!?」

立ち上がるマヤ。

 

 

レストランを後にし、車で移動する二人。

「月影先生が失踪・・・!
 そんなバカな・・・!」

行く先はアパートだろうか?
すると都合よく道路を疾走するさやか。
都合よく、マヤを探しに川辺を走っていたらしい。んなあほな。
そして月影先生から劇団メンバーへ書かれた手紙を渡される。

「麗・・・さやか、泰子に美奈、それからマヤ・・・
 一角獣のみなさん
 みんなに黙って東京を離れることを許してくださいね。
 余計な心配をかけたくなかったのです」

いや、余計に心配やわ。

「今のままではアクターズ・スタジオやみんなに心配と迷惑をかけるばかりです。」

アクターズ・スタジオへの迷惑は認識していた模様。
そして心配と迷惑が解消されたわけでもない。

「医者からの勧めもあり、少し体力を回復するまで
 よその土地で静かに暮らそうと思います。
 居所はあえて知らせませんが、どうか心配しないように・・・・
 源造といっしょです。いつかきっと戻ります。」

源造さんがいるのは安心だが、源造さんの負担が心配である。

「それからマヤ、遠くからあなたをみていますよ。
 どんなことがあってもくじけないように・・・
 月影千草」

そして最後はトッププロスペクトのマヤへの依怙贔屓。
冒頭の「麗>さやか>泰子>美奈>それからマヤ」という順番もなんか気持ち悪い。
リーダー格の麗、便利屋のさやかは妥当。
マヤは別格であるから最後でよいとして、
泰子>美奈というのが以外。
マヤ以外の序列は、月影先生の中でこうなっているのだろうか。

以下、川辺を疾走していたさやかから補足説明

  • お医者様の話では先生の容体はかなり悪かったらしい
  • 講師の仕事もできなくなってみんなに心配かけまいとしたのよ
  • お気の毒に先生・・・
  • 源造さんと一緒だっていうけれど何処に行ったか皆目わからない
  • みんなに、マヤが見つかったことを知らせて来る。

迷惑と心配を被っているにも関わらず先生に同情的なさやか。
見事に便利屋として、状況の説明とストーリーの展開を果たす。
地味にマヤも行方不明扱いになっていたのがじわる。

「行き先を教えるとみんな余計な心配や負担をかけると思い
 ひっそりとでていったというわけ。」

要らんことを言った速水真澄に食ってかかるマヤ。
かつて「先生のことは責任をもって見る」と約束してのだ。
しかし、先生の容体悪化は、「ふたりの王女出演」によるものと説明する速水真澄。

「心配するな。先生はきっと探し出してやる。」

「本当ですね。その言葉を信じていいんですね。
 もし先生が・・・
 もし先生があたしの母さんみたいなことになったら
 あたし一生あなたを許さないから!」

顔面に亀裂が入り、白目を剥く速水真澄。
かつてマヤの母親を死に至らしめた負い目がプレイバックする。

「わかった約束しよう。
 今日はつきあってくれて楽しかったよ。ありがとう。
 今日君を誘い出したのは・・・ただ・・・」

またここでフリーズする二人。

そして青い顔で車に乗り込みさって行く速水真澄。

「何を言おうとしたのですか?速水さん
 ただ・・・それから・・・?
 満天の星・・・東京のこの空に・・・
 満天の星の群れが輝いているのに・・・
 スモッグや地上の灯りで見えない
 真実が見えない・・・速水さん・・・」

なんか綺麗にまとめるマヤ。

 

 

ちゅうわけで今回。
マヤを芝居をダシに騙して誘い出し、強引に連れまわすことに成功した速水真澄。
スイーツをたらふく食わせ、自身の思い出のプラネタリウムに連れて行き、
縁日では優しさアピール。そのあとがいただけない。

速水真澄は順調にいけばどうしたかったのだろうか。
芝居をみて、美味いもの食って
「実は紫のバラの人なんです
 好きです。だから見合いも断ろうと思います。」

という流れだったのだろうか。
見合いを受けざるを得ないというタイムリミットに抗うべく、
焦ってマヤに真実を伝えたかったのだろうか。

しかしやり手のはずの速水真澄。
真実を伝えることもできず、月影先生は失踪。
「先生を責任もって見る」という約束も果たせず、
「先生を探す」とその場で約束をしてしまい
さらには過去の母親殺しまで蒸し返される。

ほんで麗の元に月影先生失踪の連絡が入ったのは朝か昼前。
速水真澄の元に連絡が入ったのは夜。
アクターズ・スタジオから大都芸能に連絡が先に言っているはずである。
携帯電話がない時代、緊急事態にようやく夜になって連絡がつく社長。
このあたりも「本当にやり手なんですか?」
と疑いたくなる部分である。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第28巻・紫の影(1)