【ネタバレ注意】ガラスの仮面第28巻その⑤【自分の運を賭けてみよう!】

      2020/11/07

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「だめだ!こいつもだめだ
 これもよくない。こいつはイメージに合わん!」

スタッフに役者の資料を集めさせ一通り目を通す黒沼先生。
昭和50年からの舞台・映画・TVのファイルを集め役者を探す。

「いるはずだきっとどこかにいるはずだ。
 俺のイメージにあった役者が。
 自分が人間であることを忘れることのできる役者が・・・!」

劇場や稽古場を何箇所も見て回る。

  • 年齢は12。そう、それくらいに化けられればいい。
  • 反射神経が鋭く、打てば響くような勘の持ち主。
  • 目に強い光を持つ少女
  • 人間としての自覚も役者としての気取りも気負いも何もかも捨て去ることのできる役者

となかなかその条件は厳しい。
めぼしい劇団はあらかた調べ尽くした。
ここ数年のドラマや舞台の映像を集めさせる。

「これを・・・
 最近日帝劇場で上演された『ふたりの王女』です。
 天才と評判の高い姫川亜弓の演技が見ものです。」

「ふむ、評判は聞いている。
 ご苦労さん。家へ電話して当分帰らんからといっておいてくれ。
 日に二度食事の差し入れとポットにコーヒーを用意してくれ。
 それから何か軽くつまめるものをなんでもいい買ってきてくれ。」

スタッフに命じるとVTRルームにこもる黒沼先生。
考えようによっては飲食つまみ付きで観劇三昧。悪くない。
家に電話、ということは家族持ちなのだろうか。

「始まったぜ黒沼将軍のおこもりが・・・
 演出プランを練る時など半月も仕事場にこもるっていうものな。」

どうやら恒例行事らしい。
トイレ以外は外に出ず、ソファで仮眠するのみ。
そして四日目。
「ふたりの王女」のVTRを観ていた。

闇の王女・オリゲルドを演じる姫川亜弓と
光の王女・アルディスを演じる北島マヤ。
二人の芝居を見ながら、随所で早送りや巻き戻しをする。

「いた・・・ここにいた・・・これだ・・・この少女だ・・・」

急いでスタッフが集めた資料を持ってきたときも、
黒沼先生は芝居に魅入っていた。

「見つかったぞ。この役を演れる役者が・・・」

 

 

「どうしよう・・・
 せっかくたくさん出演の依頼が来たというのに・・・
 どの芝居を選べばいいのか私迷っている・・・
 月影先生どこへいってしまわれたんですか?
 ああこんなときに先生がいてくれたら・・・
 ううん、自分の運命なんだ
 自分の運命の道は自分で選びとらなくちゃ・・・」

その頃、つきかげと一角獣のメンバーは公演を行なっていた。
I公園野外劇場「真夏の夜の夢」でアテネ座支配人との賭けに勝ち、
そして大都芸能のバックアップを受けてアテネ座での公演を勝ち取ったアレである。

ド派手で奇抜な演出はまさに一角獣テイスト。
満場の観客を魅了し、公演は大成功。

「いいな・・・ああはやくあたしもお芝居がしたい・・・」

仲間の成功を客席で、そして舞台袖で見つめるマヤ。
そんなおり、突然マヤ宛の来客が。

「おい!あれ黒沼龍三じゃないか?」
「あ・・・鬼将軍と言われる演出家の・・・!」

スタッフを一人従え、
舞台袖にくわえタバコで現れた黒沼龍三。

「君がアルディス姫を演った北島くんかね?
 ここにいるときいてやってきたのだが」

「はい、そうですか・・・なにか?」

突然マヤの頭に手を置く黒沼先生。

「身長はいくらある?」

「は?156cmですけど・・・」

「最近の子にしちゃチビだな。
 理想的だ。」

速水真澄も黒沼先生も言うが、156はチビなのだろうか。

「俺の芝居に出て見ないかね?
 君のことは過去の経歴や実績など調べさせてもらった。
 君なら演れると確信をもってここへきたんだ」

渡されたのは脚本。

「忘れられた荒野・・・
 あの一体どう言う役なんですか?
 あたしの演るのは・・」

「君の演るのは人間じゃない。
 野生の狼に育てられた狼少女の役だ。」

「狼少女・・・!あたしが・・・!」

「赤ん坊の頃から狼に育てられた人間の少女が
 やがて人間の社会へ連れ戻され
 その中で野生の本性と闘いながらどう生きていくかと言う話だ。
 まずは台本を読んで見てくれたまえ。
 多くの役者の中からただ一人君を選んだんだ。
 是非とも引き受けてもらいたい。
 決心がついたら連絡をくれたまえ。」

去っていく黒沼先生たち。

「黒沼先生、アルディス姫を演ったあの少女に
 どうして狼少女の役など・・・」

「目だよ。あの子は役者の目をしている。
 それに時は平凡なあの顔!
 だが役者の才能が満面に輝いている。
 どんな役の仮面でもかぶりこなすに違いない。
 美少女も狼少女も、あの子にとってはわけないことだ。」

平凡な顔が絶賛される

「狼少女・・・」

台本を熟読するマヤ。

「ジェーン!
 狼として荒野に育ったジェーン。
 野生のジェーン。狼少女ジェーン・・・
 演りたい・・・あたしジェーンを演りたい・・・
 そうよ今わかったわ・・・
 私が選ばなければならないのは、私に一番ふさわしい役。
 私が本当に魂を打ち込める役。それなんだわ。
 紅天女まであとわずか・・・これで賞が取れなかったら・・・
 賭けてみよう!この狼少女に自分の運を賭けてみよう!
 狼少女ジェーン・・・!」

そして黒沼先生を訪れたマヤ。

「君はきっと来ると思っていたよ。北島くん。」

「忘れられた荒野の狼少女ジェーン役、引き受けさせていただきます。
 よろしくお願いします。」

「うむ。」

 

ちゅうわけで今回。
紅天女候補復帰をかけての出演
マヤが選択したのは「忘れられた荒野」の狼少女ジェーン役である。
黒沼先生は多くの役者の中からマヤを選び、
マヤは数ある役の中からジェーン役を選んだ。
最強の相思相愛である。
黒沼先生とマヤ、周囲との軋轢を生むところや
没頭する性格など、似た者同士でもある。
そしてただ与えられた役を演じるのではなく、
初めてマヤが役を選んだ瞬間でもある。

そして何より嬉しいのはつきかげ&一角獣メンバーの活躍。
マヤ抜きで大劇場へと打って出た彼ら。
どうやら芝居は大成功。スターダムへの道が拓けそうである。

ただ悲しいことに、マヤが自身の手で演劇界復帰を果たし、
そして次回作への出演が決まった今、
ストーリーの中においては脇道。
かつて紅天女候補をマヤと競ったつきかげメンバーと、
全国大会でつきかげと競った一角獣メンバー。
敗者たちの互助会的なニュアンスがある。

彼らは今回の出演に際し、新しい団体名は決まったのだろうか。
演出やストーリーなど、コマを見る限り、一角獣テイスト満載
それでも「つきかげプラス一角獣」なのだろうか。

カルロストシキ&オメガトライブの
オメガトライブ部分
安室奈美恵 with SUPER MONKEY'Sの
SUPER MONKEY'S部分に甘んじているのだろうか。

いろいろ気になる。

つづく。

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第28巻・紫の影(1)