【ネタバレ注意】ガラスの仮面第29巻その⑧【嫉妬だと・・・?】

   

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紫のバラの人からプレゼントをもらったマヤ。
その晩、夜通し写真をあさる。

そして翌日。

「留守番電話を聞きました。
 僕に用があるとか」

アパート宛に電話してきたのは聖唐人さん

「プレゼントをありがとうございました。
 とてもうれしくて。
 それで、あの・・・少しでいいんです。
 聖さん、今日あたしと会っていただけませんか?」

さすが天然。当日のアポどりをする。

「あ、今日がダメなら明日でもあさってでもいいです
 ほんの少しだけ・・・」

さすがの当日はまずいと思って気を使ったのか
でも最短を希望するあつかましさ。

「わかりました。なんとかしましょう。
 ハイランドシティビルの地下2階。
 喫茶ロンロンで午後3時に」

 

聖さんの指定した場所にやってきたマヤ。
そこは4フロアくらい中央が吹き抜けになった高層ビル。

「これを・・・いつも紫のバラを贈ってくださるあの方に
 今まで出たお芝居の舞台写真のアルバムです。
 全部じゃないけれど紫のバラの人にもらっていただきたくて」

一部の描写ではあるが
「真夏の夜の夢」の妖精パックや、「ふたりの王女」のアルディスなどが見える

「おかしいでしょへんなのがいっぱいあるんです。
 でもこんなのしかなくて・・・」

「今までの舞台の大事な記念の写真ですね。
 きっとお喜びになりますよ。」

「よかったうれしいわ・・・」

「・・・・」

沈黙。そしてアルバムを片付け切り出す聖さん

「ところで最近どうですか稽古の方は。
 演出の黒沼先生は厳しい方だときいていますが」

「厳しいなんてそんな・・・
 あたし月影先生に指導受けていたから別になんとも・・・」

基準が基準だけに説得力ある

「他の役者たちの受けはどうですか?」

「さあ・・・あたしは他のみんなとは一緒に稽古してないので・・・
 みんな先生を怖がっているみたいだけど」

「最近大沢演劇事務所で何か変わったことは?」

「え?」

「例えば役者が変わったとか
 他の別の芝居をやるという話は?」

「さあ、あたしは別に・・・」

「そうですか・・・・」

普段はマヤペースで進む聖さんとのトークだが、
珍しく聖さんの質問が多い。

「そろそろ時間だ。じゃ、僕はこれで」

「あ・・・どうもご馳走様でした。」

会計伝票を取ると席を立ち去る聖さん
見送るマヤ。

「あ・・・!封筒!」

二人がいた座席の下に落ちている。

「紫のバラの人にあてた手紙・・・
 さっきのアルバムに挟んでおいたのが落ちたんだわ。」

慌てて店を出るマヤ。
しかし聖さんの姿はもうない。

「困ったわ・・・どこへいったのかしら?」

遠くに人影、廊下の陰に消える。
走って後を追うマヤ。
人気のない非常口
扉を開けるとそこは地下駐車場。
そこに聖さんの姿を認めた。

慌てて追うも聖さんはエレベータに乗ってしまう。
閉じるドア。点滅する階数表示。

「いったい何階までなんの用事で行くんだろ・・・?
 どうしようこの手紙・・・降りてくるまで待っていようかしら?
 それにしてもなんだってこんな所のエレベータを使うのかしら?
 こんな人気のない駐車場の・・・」

 

その頃同ビル45階にはサングラスをした速水真澄。

「3時43分・・・か」

廊下を進む。

聖さんはエレベーターにて上昇。
48階にて停まるも降りず。

「どうしよう、聖さんは48階で降りちゃったんだわ
 あたしも上に昇って探そうかしら?
 でも余計なことをするなって怒られたらどうしよう?
 人前では声をかけるなって言われているし・・・」

そして聖さん。

「時間だ」

48階からエレベータにて下降。
そして45階で扉が開く。
乗ってきたのは速水真澄。
同時に外国人二人が乗り込んでくるも39階にて下車。
二人きりになる。

「今日は思わぬ邪魔が入りましたね。
 このエレベータを使う人はあまりいないというのに
 真澄さまこれを。
 極秘裏に行われていた松宝社とオリエント社の重役会議の内容です。
 それから松宝社の未発表の新企画と
 新しく取締役になった丸山氏についての調査書類です。」

迅速に業務報告をする聖さん。

「それからこれを。
 北島マヤさまからです。
 今まで出た舞台の記念写真を集めたアルバムです。
 プレゼントのお礼に紫のバラの人にと・・・
 とても喜んでいらっしゃいました。」

「そうか・・・」

「ところで・・・その大沢演劇事務所のことですが
 最近妙な動きがあります。」

「妙な動き?」

「はい。演出家の藤本夜彦氏に「イサドラ!」の
 舞台演出を依頼しているという情報を耳にしました。
 主役のイサドラに赤木理恵が声をかけられ
 この秋のスケジュールを聞いてきたそうです。
 その他、忘れられた荒野に出演を予定されている
 役者数人も声がかかっているようなのです。」

「ほう・・・」

「ではわたくしはこれで
 次の連絡をお待ちしています。」

スパイだけに、あたかもスパイ映画のようにエレベータで報告。
そして3階で降りて行く聖さん
マヤにつけられたとも知らず。

「確かに妙だな・・・
 この秋には忘れられた荒野を上演するはずだが・・・」

そして地下2階で開く扉。
そこにはマヤがいますよ。
死ぬほど驚く速水真澄。
彼に落ち度はない。むしろかわいそうなほど焦る。

「速水さん・・・どうしてここへ・・・」

「これはまた奇遇だなチビちゃん。
 あまり大人をおどかすもんじゃないよ」

心の叫びである。
聖さんから渡されたブツを慌ててしまい込む。

「何をしてるんだこんな所で?」

「速水さんこそどうしてここへ?」

「俺はこのビルでの用事を済ませて帰る所だ。
 車をここに停めてあるのでね。」

「速水さん何階から乗ったんですか?」

「45階だが」

「前髪の長い紺の背広を着た若い男の人乗ってませんでした?」

「いや・・・」

何とかその場を乗り切った速水真澄。

「そうよねきっと48階で降りたんだもの。
 聖さんに会ってるわけないわよね
 あたしったらバカみたい・・・」

聖さんのエレベータートリックが功を奏した模様である。

「狼少女の稽古はどう?
 君なら心配ないと思うが・・・」

「ええ、噛み付く稽古がだいぶうまくなりました。」

「ところで・・・最近大沢事務所で何か変わったことはないか?」

「え・・・何だろう?聖さんと同じことを聞いている・・・」

聖さん、スパイのくせにがっつり痕跡を残してしまった模様

「ところで月影先生からなにか連絡はあったか?」

「いえ何も・・・
 速水さんの方は何か手がかりは?」

「知人や遠い親戚まで当たってみたが無駄だった
 残るは一つ・・・ダメかもしれないが・・・
 尾崎一蓮が昔過ごしたという、紅天女の故郷だ・・・」

「紅天女の故郷・・・!?」

「詳しいことがわかったら一番に君に知らせるよ」

「あの・・・あのー」

「まだ何か?」

「速水さんあの・・・
 お見合いしたってのは本当ですか?
 週刊誌で噂されていたのはその女性?」

「・・・・・そうだよ」

「ふ・・・ふーーん
 週刊誌の小さな写真をちょっとみただけだけど
 とても綺麗な人みたいね。」

「周りはみんな美人だというね。」

「そ・・・よかったですね
 でも冷淡で意地悪で仕事虫の速水さんと付き合えるなんてどんな女性かしら?」

「忍耐強くてとても優しい女性だよ」

なぜか白目になり激震するマヤ。

「速水さん・・・その人と結婚するんですか?」

「そんなこと聞いてどうする?」

「もしそうだったらお祝いをしなきゃと思って・・・」

動揺するマヤ、心にもないことをいう

「それはありがとう。
 だが残念なことに婚約もまだだ。
 彼女は僕にはもったいないくらいの女性だよ。」

「そ、そう・・・きっととても素敵な女性なんですね
 この間二人でいるところを見ました。後ろ姿だけだけど・・・
 速水さんはその人の方見ていて・・・
 速水さんのあんな笑顔初めて・・・」

「どうした顔が青いぞ」

「触らないで!
 どうかお幸せに!」

「チビちゃん・・・」

突如取り乱し去って行くマヤ。

「そういえば前にも確か
 何だというんだいったい・・・
 嫉妬している・・・?
 嫉妬・・・!?
 嫉妬だと・・・?
 あの子が俺に・・・?
 まさか・・・?」

 

ところ変わって大沢演劇事務所。

「きらいだあんなやつ!」

昼間の出来事を打ち消すかのように稽古に没頭するマヤ。

「そうよあんなやつ、あたし大っ嫌いなんだから・・・!」

 

そして速水邸

「あの子が俺に嫉妬だと・・・?
 そんなバカな・・・
 第一あの子は俺を死ぬほど憎んでいるはずだ・・・」

マヤが嫉妬しているのは速水真澄に対してではなく
速水真澄の見合い相手ではなかろうか?
よくわからんけど

「いつまでたっても信号は赤ではありませんよ」

水城さんの謎の一言が頭をよぎる。

「マヤ・・・嫉妬・・・まさかそんな・・・」

ようやく信号のくだりを理解し始めたようである。

 

そして稽古場。

「おいでジェーン!」

白熱する稽古。
死にかけるジェーンと抱きしめるスチュワート。

「マヤちゃん・・・」
「桜小路君・・・」

芝居のクライマックスでお互いを意識する二人。
ええかげんにせえ。

 

ちゅうわけで今回。
「大丈夫か聖さん問題」再燃。

企業スパイとして暗躍し、
大都芸能のため、速水家のため、影として働く聖唐人さんであるが
スパイとしての資質に疑いを持たざるを得ない。

まず、速水真澄の存在を秘匿するという条件で
聖さんの存在をマヤに明かしたはずであるが

マヤとの待ち合わせに、
速水真澄との待ち合わせと同じビルを使うという大失態。
いくら忙しいとはいえ、
いくらエレベータでカムフラしているとはいえ、
ありえないニアミスではなかろうか。

しかも簡単に尾行されている。
ちなみにマヤに尾行されたのは2回目であり
そのあたりの意識も低いと言わざるを得ない。

意識の点で言えば
マヤから預かった封筒を落としたことに気づかない。
自身の痕跡を簡単に残してしまう迂闊さ。

そして会話から雰囲気から聞きだすとかではなく
マヤに直球の質問ぜめ。
そら、天然のマヤですらおかしいと思う。

極め付けは自らの失態によるニアミスの修羅場の後処理を
速水真澄に結果丸投げしている。
今回ばかりは速水さんに同情せざるを得ない。

30巻につづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第29巻・紫の影(2)