【ネタバレ注意】ガラスの仮面第30巻その①【気のせいよね・・・】

      2021/02/19

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大沢演劇事務所
ものすごい剣幕と足音で廊下をいく黒沼先生。
関係者も思わず仰け反る。

稽古場でも一大事。

「何だって!?
 俺たちの芝居の役者が4人も他の芝居に引っこ抜かれたって?
 どういうことだよいったい!」

「わたしも初耳だけどここの事務所でこの秋もう一本別の芝居をやるんですって!
 そっちの方へ社長のお声がかりで行ったってことだそうよ!」

「別の芝居?聞いてないぜそんな話・・・」

突然の展開に驚き戸惑うマヤと桜小路君

 

怒りの黒沼先生、社長室へ怒鳴り込む。

「いったいどういうことですか社長!
 俺の演っている芝居から黙って四人も役者を引っこ抜くなんて
 いったいどういう了見ですか!?」

「まあ落ち着きたまえ黒沼君。
 コーヒーでもどうかね?
 ブルマンのいい豆が手に入ったんだ。」

「ごまかさんでください!
 どういうわけだと聞いているんです!!」

「乱暴はやめたまえ黒沼君・・・
 君のような短気な暴君では役者たちが逃げたくなるのもわかるな。
 君はわしが無理に彼らを引き抜いたと思っているらしいが
 そいつは見当違いというものだ。
 彼らが君の芝居を辞めたがっていたので別の芝居に出てもらうことにしたんだ。」

「やめたがっていた?」

「そうとも。君は自分の使っていた役者の気持ちも知らなかったのかね?
 自分の稽古ぶりがどんなだったか思い出して見たまえ」

思い出してみる
役者の発音に怒声を浴びせる黒沼先生。

「いくらTVの名刑事役で人気者だったからといって
 実力もないのに舞台を甘くみるな!
 役者15年だと?笑わせるな!」

稽古中怒鳴られているのはビクトール男爵役の影山さん
見た目は50手前くらいのダンディーなおっさん
役者歴15年て、若手でもないしベテランでもないやろ
役者を始めたのは遅かったのだろうか。

「黒沼先生、私はちゃんと発音しています。
 あなたの耳がおかしいのではないですか?」

中途半端なベテラン、黒沼先生に盾突き激昂させる

「お前観客にもそのセリフをいうつもりか?
 私の発音が変に聞こえるのはあなた方の耳がおかしいからです
 ふざけるな!」

台本で顔面をしばかれるベテラン

「おい!発声をやってみろ!
 次の稽古に移る。ビクトール男爵は抜きだ!
 早くやらんと稽古ができんぞ!」

中途半端なベテランにも関わらず
稽古場の隅で演劇初心者のような発声練習をさせられる影山さん。
屈辱に震えている。

また別の被害者。

「腰の曲がった年寄りらしい歩き方ができるようになるまでそうやっているんだ!
 俺がいいというまでそうやって歩いていろ!」

結構大きめのソファーを体に縛り付けられて歩行練習をさせられる。

また別の被害者
大泣きする女性

「聞こえんのか!ここを出て行けといってるんだ!
 ちょっと稽古がきついくらいで泣き出すような役者なんかいらん!」

「わたし・・・先生のおっしゃるような演技ができません・・・
 もう同じ稽古を20回も繰り返しているのに・・・
 先生の要求される演技がどんなものなんかわかりません」

「泣く暇があったら考えろ!
 20回でわからなきゃ30回やればいいじゃないか!
 これ以上できないというんならお前には才能がないんだ!
 役者なんか辞めてしまえ!」

さらに大泣きする女性。

「目障りだ!さっさと出て行け!」

追い討ちをかけるように灰皿を投げつける。

もはや前時代的なヤバイ演出家である。
ただ一人目の中途半端なベテランにも非はある

 

「仕事熱心なのはいいがやりすぎは困るんだよ黒沼君。
 他にも君の芝居を降りたいと言っている役者が多いそうだよ。」

「そうですかあの程度で辞めたいというような役者ならどうせろくな芝居はできんでしょう
 あんたにあげますよ社長。
 そんな役者を使ってどんな芝居をやろうってんです?」

「少なくとも君の演出するものよりは客の呼べそうな芝居だよ。
 演出は君も知っているベテラン藤本夜彦氏
 主演は星歌劇団の大スター・円城寺まどかだ」

その頃稽古場でも噂に

「ええ!?あの円城寺まどかがこの事務所で芝居を!!」

「そうよ星歌劇団をこの前退団して話題になったばかりよ。
 退団後初の舞台ですって!」

「これだったんだわ・・・
 この前、聖さんや速水氏が言っていたのは・・・」

「おい円城寺まどかが下のロビーに来てるぜ!」

皆がロビーに降りると
とんでもない芸能人オーラをまとった長身の女優と
取り巻きのおっさん。そしてマスコミ。

「円城寺さん、退団後初めての舞台でイサドラ・ダンカンを演るそうですね。
 どうですか?お気持ちは」

「退団して初めてのお仕事がこんな大役なんて責任重大だわ
 でも今イサドラにのめり込んでいるの。
 イサドラって、なんていうのかしら
 似ているところあるのよねあたくしに。
 この役は円城寺まどかにしか演れないって言われるような舞台にしたいわ。」

初登場にしてめんどくさい大女優確定。

「秋の公演ですね。
 アカデミー芸術祭に参加したいと思いますか?」

「あら!もちろんそのつもりよ。
 芸術祭目指して頑張るわ
 いい芝居にしたいわ。天才舞踊手イサドラ・ダンカンの生涯ですもの。」

「アカデミー芸術祭に参加・・・
 このひとが・・・
 裸足の天才舞踊手イサドラ・ダンカンの生涯・・・」

「あら?」

突然周りに気がつく円城寺さん

「あなた確か劇団オンディーヌの・・・」

「桜小路です」

「そうだわ、前に舞台を拝見したことがあるわ
 椿姫のアルフレッドをおやりにになったことがあるでしょう?」

こんなめんどくさい大女優にも認められるほどに成長したらしい

「素敵だったわアルフレッド。
 劇団オンディーヌでは人気実力ともに若手No.1なんですってね。
 今度はこちらの事務所でお芝居を?」

「ええ、黒沼先生のもとで この秋に公演を・・・」

「あなたのようなハンサムならきっと舞台が映えるでしょうね。
 で、相手役の幸せな女主人公はどんな方?」

「紹介します。北島マヤ君です。」

「あ!初めまして北島マヤです」

突然紹介されたマヤ。
そして突然現れた平凡な小さい子に驚く円城寺さん。
そして役は狼少女、なんか変な空気になってさっていく円城寺さん。

「僕たちも行こうかジェーン」

「うん」

マヤの肩に手をおく桜小路君、避けるようにさっていくマヤ。

「だめだわ、あの時の稽古以来何と無く桜小路君を意識しちゃう・・・
 あの時・・・桜小路君に抱きしめられたような気がした・・・
 狼少女ジェーンとしてではなくあたしを・・・
 気のせいよねそうよきっと・・・
 桜小路君には舞さんっていうひとがいるんだもの。
 きっとあたしの・・・気のせいよね・・・」

気のせいではない。
その証拠に、スチュワートではなく桜小路君が複雑な表情で
マヤの後ろ姿を見つめている。

 

ちゅうわけで今回。
自分らの芝居が大変なことになっているにも関わらず
お互いを変な風に意識している主役二人。
そして鬼演出で出演者が逃げている演出家。

こいつら稽古中こんないちゃいちゃしてるくせに
鬼演出家の眼鏡には叶ったのであろうか。

そして初登場の円城寺まどかさん。
星歌劇団のスターが退団して初の舞台というなんかよく聞くような話。

何人目かのマヤのかませ犬兼紅天女の肥やしであるが
ここまで悪意ある登場も珍しい。

大女優としての美貌や技量経験は推測できるが
それ以上に、大女優としてのイカれたプライドとめんどくささが前面に押し出されている。

そう言った意味ではマヤの敵としては最適なのであるが
「人気歌劇団出身のスター」というイメージはこんな感じなのだろうか。
あくまでも個人的な感想であるが

つづく

 - あらすじ・ネタバレ注意, 第30巻・紫の影(3)